タウナギは穴が大好き!無ければ掘っちゃいます……
タウナギはウナギではありません
タウナギは、タウナギ目タウナギ科タウナギ属に分類され、ウナギ目に分類されるニホンウナギとは大きく離れた種類の魚です。
姿かたちが似ていれば、何でもかんでも「ウナギ」と名前を付けたがるのは英語圏でも同様で、タウナギの英名はSwamp eel(スワンプイール・沼のウナギ)と呼ばれます。
タウナギとウナギの見分け方
ウナギは立派な胸ビレや背ビレ、尾ビレがあるのに対し、タウナギには胸ビレと腹ビレがなく、その他のヒレもないと言っても良い程小さいのが特徴です。
ウナギは魚らしく、タウナギはどちらかと言えばヘビに近い印象を受けます。
泳ぎ方はどちらもクネクネと身をうねらせて泳ぎます。
タウナギの生息地(南西諸島:在来分布 本州:外来分布)
今回の記事の主人公である、タウナギは東南アジアから東アジアにかけて広く分布し、日本においても南西諸島に在来分布(もともと生息)しています。
タウナギは外来種(本来は生息していなかった)として局所的ではあるものの、本州各地に定着しており、これらのタウナギは研究の結果、南西諸島由来ではなく、中国産タウナギである可能性が高いことが明らかとなっています。
2020年現在、釣ったタウナギのリリースは禁止されていません。しかしこれ以上、生息域が拡大しないようにタウナギの移送放流は絶対にやめましょう。
タウナギが定着してしまっている場所と理由
最も古い記録では、1900年前後に朝鮮半島から奈良県にタウナギが持ち込まれたという記録が残っており、その他にも東京、茨城、神奈川、静岡、長野、愛知、三重、和歌山、京都、大阪、徳島、香川、愛媛、鹿児島でタウナギの生息が確認されています。
観賞魚としてタウナギが1990年代に多く流通したこと、ドジョウの養殖場で相次いで発見されたことから中国産ドジョウに混じっていたことなどが日本に入ってきた経緯として考えられています。
特に、タウナギの生息数が増えてしまっている関西地方の生息地ではとても簡単に釣ることができます。
タウナギの生態
タウナギは、動物食性で生死にかかわらず口に入る生き物であれば、水棲・陸棲昆虫やエビ、小魚からヒルまで何でも食べます。
タウナギは極端に水深の浅い泥底が大好きです。小さな生き物が豊富で水深も浅い泥底と言えば?
そう! 水田こそタウナギにとっての楽園なんですね。
タウナギは田んぼの水を抜いてしまう厄介者
夜間に田んぼで活発に活動するタウナギですが、日中は自分で掘った巣穴に隠れて過ごします。
この巣穴が厄介なんですね。当たり前な話ですが、田んぼって水を張る必要があります。
感の鋭い方はもうお気づきかと思います。そう、タウナギが畔(あぜ)に巣を作ってしまうと、ごく稀に田んぼの水が漏れだしてしまうことがあるんですね。
空気を使って呼吸する変わった生態を持つタウナギ
水温が上がると、タウナギは鰓や皮膚以外に空気呼吸を行います。
浅い水深を好む理由には、空気呼吸を行うというタウナギならではの生態が関係していたんですね。
さらっと流しましたが、皮膚で呼吸できるってのも驚きですよね。
その他にも、成長に伴いメスからオスへ性転換したり、オスが巣を作り卵や稚魚を守ったり、冬は湿った泥の中で冬眠することができたりと生き物として面白い生態を沢山持った魚なんですね!
タウナギ釣りに適した時期とポイント
水田に水を張る6月から8月がタウナギ釣りシーズン
タウナギが人間の目につくようになるのは田植え後から。
地域によっても差がありますが、概ね5月末から8月上旬がタウナギ釣りのシーズンです。
昼間に探そうとしても、巣に籠っているためなかなか姿を見ることはできません。タウナギを探す場合は夜に限ります。
マナーを必ず守りましょう
■マナー・ルール
- ・田んぼの中に入らない
- ・あぜを壊さない
- ・夜に騒がない(田舎は20時でも夜)
- ・住宅や農業施設をライトで照らさない
- ・迷惑駐車をしない(駐車禁止でないからOKではありません)
- ・すれ違った人には挨拶をする
- ・ゴミを捨てない
タウナギはコンクリートの隙間が好き
コンクリートには穴を掘れないため、3面コンクリートの側溝などではちょっとした亀裂などの隙間にタウナギは潜んでいます。
夜になると頭だけ出していたり、大胆にもオープンウォーターに出ていることもあります。
水路や側溝でタウナギを探す場合、水深は浅ければ浅い程良いでしょう。5cmもあれば充分です。
タウナギ自体は止水環境を好んで生息する魚ですが、ちょっとした流れがある程度なら全然問題なく生息していますよ。
タウナギ釣りに用意したい釣り具と餌
必要な釣り具は針と糸のみ
基本的には4号(16lb)前後の糸と小さな針があれば、竿もオモリも浮きも要りません。
重要なのは小さくて太軸の針です。バス用のマス針の小さい物やチヌ針の小さい物を使いましょう。
どうしても、タウナギの超強烈な引きを味わいたい方は、短いジギングロッドや怪魚ロッドを持ってコンクリートの側溝でタウナギを探しましょう。
あえて、コンクリートに半身隠れている個体をヒットさせることで、想像の10倍の強い引きを味わうことができますよ!
タウナギ釣りの餌
動物性たんぱく質なら何でも大丈夫です!
僕はいつもコンビニで魚肉ソーセージを一袋買ってタウナギ釣りを楽しんでいますが、ミミズでも魚の切身でもOKです。ガルプなどのワームでも問題なく釣れますよ!
タウナギの釣り上げ方
タウナギ釣りはサイトフィッシングが基本です。
タウナギを見つけたら、気づかれないようにそっと口先に餌を落とし込んでみましょう。
一発で食ってくれなければ、人間の気配に気づいているため何しても無駄です。
どんどん次を探しましょう。
食いついてくれたら、素早いアワセと同時に一気に抜きあげましょう。モタモタしていると巣穴に潜られてしまいますよ!
この釣りにはヘッドライトが必要不可欠です。
携帯のライトでも充分ですが、僕の友人はものの見事に落としてました(笑)皆さん気を付けましょうね!
ジェントス HW-V533H ヘッドウォーズ
タウナギはルアーでも問題なく釣れる魚です
生きた魚も捕らえることのできるタウナギは、ルアーへの反応も良好です。
2インチ前後のメバル用ワームが一番ですが、根気よく狙えば小さなポッパーなどトップでも釣ることができますよ!
Berkley ガルプ! ソルトウォーター サンドワーム
食材としてのタウナギの価値“気になるお味”は?
タウナギの味ってどうなのよ?
「タウナギの本来の味を知りたい」という若気の至りで、現地の人の反対を押し切り素焼きで食べた経験がありますが、はっきり言って泥臭いです。
素焼きで食べるのはオススメしませんね。人の言うことは素直に聞きましょう(笑)
香辛料を使うと美味しい料理になります
とはいえ、山椒や生姜、ニンニクといった薬味と一緒に炒めた現地料理では美味しくいただけます。
どちらかというと、タウナギは滋養強壮に良い食材といった扱いをされています。
東アジア・東南アジアでは庶民的な食材
タウナギは、東南アジアや中国を旅していると市場でよく目にします。
空気呼吸で生き続けられるため、桶に水を張って活かした状態で売られています。
タイでは、計り売りで100gあたり60円と言ったところ。うーん……安くなくも無いって感じですね(笑)
皆さんも、近所の田んぼや側溝でタウナギを見つけたら釣ってみてはいかがでしょうか?
田んぼや側溝にはタウナギ以外にも、ザリガニやイモリ、カエルやミズカマキリなど生き物が豊富です。
夕涼みがてら、ザリガニ釣り感覚で家族で楽しむのも良いかなぁと思います!
筆者紹介
山根 kimi ヒロユキ
“初めての1匹”を求めて、世界中どこへでも行く怪魚ハンター「山根ブラザーズ」の兄。釣りに留まらず、ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017