標準和名を2つ持つ“エゾイワナ/アメマス”(Salvelinus leucomaenis leucomaenis)
陸封型を「エゾイワナ」と呼ぶ
エゾイワナ/アメマス(Salvelinus leucomaenis leucomaenis)は、千島列島および北海道から日本海側では山形県、太平洋側では千葉県にかけて生息します。
生息地からも分かるようにイワナ4亜種の中では最も冷水を好みます。
「はっきりとした白色の丸い斑点」が、エゾイワナおよびアメマス最大の特徴です。
後ほど紹介するニッコウイワナとは、黄や橙色の斑点がない事で見分けることができます。
また、通常エゾイワナは生後約2年間の河川生活の後に、海へ下るものと河川に残留するものに分かれます。
しかしながら、大きな滝や砂防ダムなどによって海に下れない個体群もあり、これら陸封型と呼ばれるものにエゾイワナという標準和名が与えられています。
降海型を「アメマス」と呼ぶ
2歳から4歳まで川で過ごし、体長20cm前後まで成長した一部のアメマスは、4月から5月にかけて銀毛(ぎんけ・スモルト化)し、雪解け水にのって海へ旅立ちます。
そして、その年の8月前後になると体長30cm前後まで成長して川に戻り、10月から11月に産卵します。
アメマスは、サケやサクラマスと違い、産卵しても死ぬことはなく、11月から4月にかけて再び海に降りていきます。
標識放流によって、毎年産卵の為に遡上と降海を繰り返す個体も確認されています。
同じく標識放流により、9歳魚で80cmまで成長することが明らかとなっています。
ちなみに、アメマスがイワナ4亜種の中でもっとも大きくなります。
※標識放流で分かることについては、コチラの記事もご覧ください。
白い斑点が全くないのが特徴 “ヤマトイワナ”(Salvelinus leucomaenis japonicus)
一番見分けやすいヤマトイワナ
「魚体に白い斑点が1つも無いこと」がヤマトイワナ最大の特徴です。
富士川から紀伊半島にかけての太平洋側の河川の源流域に生息しています。
ヤマトイワナは、アメマスと違い海に下ることはありません。
ヤマトイワナは、大きい物で全長35cm程度まで成長しますが、25cm程度が平均的でしょう。
イワナ釣りでは尺(30cm)が一つ大きな目標ですね。シーバスでいうところのランカーと言ったところでしょうか。
ヤマトイワナは源流域の中でも最奥にひっそりと暮らしています
「どこに川があるの?」ってくらい水の少ない環境にヤマトイワナは残されています。
とにかく源流の極みを攻めるのがヤマトイワナ探しの楽しみです。
残されているという言葉を使う理由は、最後に説明しますね。
頭の天辺まで白い模様が特徴 ゴギ(Salvelinus leucomaenis imbrius)
ゴギの見分け方は頭の模様
エゾイワナの頭部には白い模様が無かったのに対して、ゴギは「鼻先までしっかりと白い模様」が入ります。
これはゴギだけに見られる特徴なので、鼻先までしっかり白い模様があればゴギ確定です。
ゴギは、瀬戸内海に流出する岡山県吉井川から山口県錦川までの源流域と日本海側における島根県の斐伊川から高津川にかけて生息しています。
ゴギもヤマトイワナ同様に海に下ることはありません。
小柄というのもゴギの特徴です
イワナ4亜種の中で、平均的な大きさが最も小さいのもゴギの特徴と言えるでしょう。
概ね20cm前後の個体が多く、大きさを求める釣りではなく、雄大な自然に身を置く時間を楽しみましょう。
▼ゴギを求めた釣行記はコチラ