最大1.5m、10kg以上の怪魚“クロアナゴ”
アナゴの仲間は世界に150種類
天ぷらや蒲焼でお馴染みのアナゴ(マアナゴ)は、食用としてはもちろんのこと、釣りの対象としても人気な魚ですよね。
しかし、日本にはマアナゴの他にも様々なアナゴの仲間が生息しています。
今回は中でも1m以上に成長する巨大アナゴの生態や釣り方をご紹介いたします。
安直なネーミングセンスに惑わされないでください
一見するとマアナゴと間違えそうになりますが、このアナゴはクロアナゴと呼ばれ1m以上に成長します。
名前の通りマアナゴと比べてやや黒ずんでいるようにも感じますが、体色は生息環境や時間帯によって変化するのであてになりません。
そこで、側線の上にある白い点にご注目ください。白い点があればマアナゴ、無ければクロアナゴですね。
クロアナゴは2種類います
アナゴは本当に沢山の種類がいるんです。黒あなごと一括りに呼ばれることが多いこの魚ですが、厳密に言うと「クロアナゴ」と「ダイナンアナゴ」の2種類に分けられます。
分かりやすく言えば、アマゴとヤマメ、おすぎとピーコといったところでしょうか。似たもの同士ということですね(笑)
今回は、これら2種をまとめてクロアナゴとして扱わせていただきます。
“巨大さ”こそクロアナゴ最大の特徴
クロアナゴは最大で1.5m以上に成長し、1mを超える個体も珍しくありません。
体重も10kgを超え、僕の中では怪魚と表現しても良いレベルと思っています。
世界に目を向けますと、2m以上に成長するクロアナゴも知られています。
謎に包まれたクロアナゴの生態とは
広大な生息域
クロアナゴは日本全域に生息し、中国、朝鮮半島、台湾など太平洋の北西部に広く分布しています。
何故、そんなにも広範囲に生息しているのでしょうか?
ウナギのように稚魚が流されてくるからなのでは?
レプトケファルスという、なんともアナゴの形とは思えない稚魚は、海流に乗って日本各地へ運ばれてくると考えられています。
クロアナゴの繁殖生態は未だに謎に包まれていますが、現状ではウナギと同様に日本から遥か彼方、南方の海域で産卵しているのではないかと考えられています。
商業価値の高いマアナゴについては、研究が進んでおり現在では沖ノ鳥島南方380kmの海底山脈の頂上で産卵していることが明らかとなっています。
クロアナゴについても、場所は違うかもしれませんが同様の大規模な産卵回遊を行っていると考えられています。
遠くで産まれたレプトケファルスは沿岸域に到達すると、さらに変態を繰り返しだんだんアナゴの形になっていくのです。
ハードボトムが大好き
科学的なエビデンスが伴わないのですが、実際に僕がクロアナゴを釣った場所やダイビングで目撃してきた環境から。
「クロアナゴは、硬い物が好き」というのが僕の持論です。
硬い物と言えば、磯などの岩礁帯や工業地帯などに見られるテトラや捨て石といった人工物ですね。
その硬い物に砂地が隣接していればなお良しです。
昼間は岩場で休憩、夜は砂地で狩る
伊豆半島でダイビングしていると、岩の隙間で身を隠しているクロアナゴを見かけることがあります。
釣れるポイントは砂地であることもありますが、よく思い返してみると、500mから1km圏内には何かしら硬い物があるということに気づきます。
つまり、日中は砂ではなく、岩礁帯やテトラと言った物陰で休息し、夜になると餌を捕食しやすい砂地に出てくるということですね。
何でも食べる夜の死神的存在
クロアナゴの胃内容物調査では、魚類、甲殻類、軟体類などが確認されるということですが、コレってほぼ全ての生き物ですよね。
そう、実際に釣りをしていても、サンマの切身や活きアジ、アオイソメでもイカでもオキアミでも……。 時にはワームにさえ、本当に色んな餌に食いついてきます。
ただ、活き餌よりも切身などの匂いが強い餌への反応が良いことから、発達した嗅覚をいかしたスカベンジャー(腐肉食)の傾向が強いことが伺えます。
低水温でも活動します
クロアナゴの釣れる時期は通年です。ウツボと同様に、釣り物が減ってしまう真冬のブッコミ釣りでも掛かってきてくれる癒し系なんですね。
一年中沿岸域に生息しているのは釣果をみると明らかであり、どのタイミングで沖ノ鳥島へ向かうのか全く解明されていないようです。
東京湾では釣りの対象魚!船から狙うタックル
僕も一度は憧れた怪魚
10年以上前、初めてクロアナゴの存在を知った時、いてもたってもいられずにクロアナゴを釣らせてください! と船頭さんに懇願したのは良い思い出です。
当時は、クロアナゴ狙いで出船している船は数艇だけで、それもお願いして出ていただく形でしたが、今ではクロアナゴを専門で狙ってくれる釣り船も増えているようなので是非チャレンジしてみてください!
▼東京湾でクロアナゴ狙える船
怪魚に備えた強い仕掛を用意しましょう
1mを超えてくると、アナゴとは思えない強烈な引きで対抗してきます。
船釣りの場合、バスロッドXHクラスやジギングロッドを用意しましょう。
TRANSCENDENCE LateBloomings510+/レイトブルーミングス
対応魚種:ピーコックバス、トーマン、パプアンバス、ビワコオオナマズなど怪魚全般
ピース:5ピース
仕舞寸法:50cm
ポイントの水深は15〜30m程度です。
ラインはPE4号を100m程巻けるリールであれば、ベイトでもスピニングでも対応できるでしょう。
シマノ カルカッタ コンクエスト400
ギア比:6.2
ドラグ力:最大 7kg
巻上長:84cm
糸巻量:PE 4号-260m、5号-210m、6号-170m
リーダーはフロロ40lbを1.5m程入れると良いでしょう。
仕掛やオモリは船宿によって方針が異なりますので要確認です。
根掛かりが多いポイントもあるので、仕掛けの予備は5-10セットくらいはあると安心。仕掛を船上で購入できるか確認しておくよいでしょう。
メインラインよりもリーダーの強度をほんの少し下げることで仕掛をロストした際に毎回リーダーを組まずに済みます。
▼ちょっとした手返しの差が乗合船などでは釣果を左右します
150g前後のメタルジグに4/0前後のシングルフックをつけて餌を用いる場合や単純な胴付き仕掛で狙う場合など様々です。
メタルジグはグローが効果的です!
鋭い歯によるラインブレイクを避けるためにも、ジギング用のアシストフックがオススメです。
エサ釣りの場合は、サンマやサバなど匂いが強い切身が最適です。持参する必要があるか船宿に確認しましょう。
岸から狙うならブッコミ釣りで
岸からでもクロアナゴは狙えます!
船で出船すれば高確率で釣ることができるクロアナゴですが、普段通りの岸釣りでも狙うことができる魚です。
関東近郊ですと、特に横浜周辺から三浦半島、伊豆半島の堤防やゴロタ浜、磯場では概ねどこでも生息しています。
関東に限らず、日本全国に生息しています。肝心なのは夜釣りと硬い障害物が隣接する場所です。
ブッコミスタイルで気長に狙ってみて下さい
毎晩必ず釣れる! といったストロングパターンはなかなかありませんが、どんな釣り場でも硬い障害物が隣接していれば可能性があります。
サンマやイカを餌に夜釣りをしていると時々遊びにきてくれるので、何でも釣ってやるという気持ちで狙ってみてはいかがでしょうか?
ヤスリ状の歯が意外とキツイので確実に取り込みたい方は、20号前後の太目のハリスを使用してください。
針や仕掛にあまりこだわらないでも良いのですが、僕は安くてバレにくいがまかつの管付きソイ針を好んで使っています。
サイズは19号前後がオススメですよ!
仕掛は釣り場によりけりですが、基本的には石鯛用の誘導天秤を使ってシンプルに組んでいます。
筆者紹介
山根 kimi ヒロユキ
“初めての1匹”を求めて、世界中どこへでも行く怪魚ハンター「山根ブラザーズ」の兄。釣りに留まらず、ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017