アメマスについて
アメマスは、サケ科サケ亜種イワナ属に分類される魚です。
最大80センチ程度まで成長するアメマスは、強烈な引きを見せ釣り人を楽しませてくれます。
しかし釣ることが難しく、群れが入っていたと思えば次の日には釣れなくなってしまう「神出鬼没のターゲット」でもあります。
本記事ではそんなアメマスに関する情報を詳しくまとめました。
形態
アメマスは、銀白色や黄金色の体色に、白く丸い斑点があるのが特徴です。
この体色には孵化後2~3年でなり、「スモルト」と呼ばれて海の環境に対応することが知られています。
体型は丸みを帯びた紡錘型、背中にはマス類特有のアブラビレがあります。
生態
水温20度以下の冷水を好むアメマス。河川で孵化後2~3年過ごしたあと、降海して大きく成長します。
降海後の生態について詳しいことは解明されていませんが、主に河口近くの海域に生息していることが多いようです。
また一部地域では、海まで降海せず、川や湖で成長する個体も居るようです。
産卵期は9~11月で、川を遡上して上流域で産卵を行います。食性は肉食性で小魚やアミエビ、甲殻類を捕食します。
分布域
日本海側では山形県以北、太平洋側では千葉県以北での分布が確認されています。
冷水を好む魚であるため、釣りのメインフィールドとなっているのは北海道の海や川。
近年では関東近辺での放流活動も行われているため、目に出来る地域が増えるかもしれません。
イワナとの関係・見分け方
アメマスはエゾイワナと同種。
川の上流域に残る陸封型の個体をエゾイワナ、川を下り海に出ていく個体をアメマスと呼びます。
エゾイワナは褐色がかった体色をしていて、白い斑紋の他に薄いパーマークが見られることもあります。
一方のアメマスは場所によって色が異なり、淡い銀白色や黄金色の体色に白い斑紋があります。
名前の由来
アメマスは漢字で書くと「雨鱒」。
その由来は雨が降っている時によく釣れたり、川を遡上したりすることが多いことから来ているようです。
また雨が降ると数が増えるとのことから、「雨に増す」を名前の由来とする説もあります。
人との関係
海で釣れるアメマスは「海アメ」の愛称で釣りの人気ターゲットとなっています。
大型に成長し、非常に強い引きを見せるためです。
食での関わりは一般的ではなく、市場に出回ることは少なめ。サケに比べると味がさっぱりしていて淡白、身の水分も多いことがその理由のようです。
アメマス釣り
北海道や東北において、アメマス釣りはとても人気。
水産魚種に指定されていない北海道においては、海でも川でも狙うことが出来るため、強い引きを見せるルアーの好ターゲットとして人気です。
以下に海・川それぞれのタックルやおすすめルアーをご紹介します。
海のアメマス釣り
海のアメマス・通称「海アメ」。海アメはサーフや磯からルアーを遠投して狙います。
タックルは遠投性に優れたものを使いましょう。
河口付近で狙う場合は、禁漁区域などに注意し、事前に調査などを行って釣りを楽しむようにしてください。
海のアメマス釣りのタックル
ロッドは10フィート前後のシーバスロッドなど、リールは3000~4000番のスピニングリールを使用します。
ラインはPE1号前後を150~200メートル巻いておきましょう。
ショックリーダーはナイロンもしくはフロロの16ポンドを使います。
おすすめのルアー
海アメ狙いでは飛距離が出せるルアーを選ぶのがポイント。
以前はジグやジグミノーが主流でしたが、現在はイワシやオオナゴといったベイトサイズに合わせた大型ミノーも流行しています。
▼デュオ タイドミノー120LD
水絡み重視のデザインでしっかり泳ぐミノー。設定はスローシンキングで重心移動システムを搭載。
向かい風であってもそれを切り裂くように飛んでいきます。
標準カラーラインナップの他に北海道限定の海アメリミテッドカラーもあるので、ぜひチェックしてみてください。
デュオ タイドミノー120LD
▼シマノ カーディフ モンスターリミテッド ウインドリップ
海アメ・海サクラをターゲットに開発されたウインドリップは、AR-CVRシステム搭載で圧倒的な飛距離を出せるジグミノーです。
自重が増すとアクションが悪くなりがちですが、そのバランスを上手く取り、スローからファストリトリーブまで様々な巻きスピードに対応します。
シマノ カーディフ モンスターリミテッド ウインドリップ
▼アイビーライン ティーランチャー
スプーンのように多彩なアクションで使える対マス・サケ用のジグです。
絶妙なボディーバランスによってジグの持つ圧倒的な飛距離と、スプーンが持つ誘いの力を上手く融合させてあります。
遠くまで浅いポイントを狙う場合や、強い向かい風や横風時など、活躍する場面は非常に多いです。
アイビーライン ティーランチャー
川のアメマス釣り
アメマスは川で狙うことも可能です。
一般的なサケ類だと漁獲規制の対象となりますが、アメマスにおいてはイワナの一種として扱われるため、漁獲規制の対象外となっています。
ただし、川や河口部によっては禁漁期間や禁漁区域があるので、そのルールに沿って釣りを楽しみましょう。
またクマと遭遇する可能性もあるため、クマ対策の鈴や撃退スプレーを忘れず携帯してください。
川のアメマス釣りのタックル
タックルは7フィート前後のトラウトロッドやシーバスロッド、2500~3000番クラスのスピニングリールを使用。
ラインはPE0.8号前後、ショックリーダーは12ポンド前後を使用します。
おすすめのルアー
川ではミノーとスプーンを中心に揃えていきましょう。
サイズは7センチ前後がおすすめで、キャスタビリティーが高く川の流れに負けないような、ちょっと重めのものが使いやすいです。
▼スミス D-コンタクト63
ネイティブトラウト用シンキングミノーとして大人気のD-コンタクト。
ハンプバックした極薄のボディーによる慣性スライドで、アメマスを魅了します。
さらにウエイトが欲しい方は、自重が0.5グラムアップしたタイプⅡもおすすめです。
スミス D-コンタクト63
▼ラパラ カウントダウンCD7
カウントダウンは魚種を問わず、世界中で大人気のバルサ製シンキングミノーです。
スイミング姿勢はキビキビしながらもとてもナチュラル。
素直にまっすぐ沈む沈下姿勢はレンジを細かく探れる他、不要なフックとライン絡みのトラブルを抑えます。
ラパラ カウントダウンCD7
▼コーモラン タスマニアンデビル
ボディー左右にフィンを持ち、大きなウォブルでアメマスを誘うルアーです。
レイクトローリングでよく使われるルアーで、川においては流れの緩やかな場所で使うのがおすすめ。
使い方はスローに巻くだけです。
コーモラン タスマニアンデビル
著名な釣り場
ここでは北海道における海アメ釣りの著名な釣り場をまとめました。
海では西側、川では東側にポイントが集中している傾向があります。釣りに行く際はぜひ参考にしてみてください。
海…島牧江ノ島海岸、積丹川河口、浜益海岸、瀬越海岸、野塚海岸
川…釧路川、茶路川、当幌川、春別川、風連川、音別川、十勝川
アメマスを食べる
一般的なサケに比べて味がさっぱりしているとはいえ、アメマスも美味しい魚です。
ここでは食べ方に関する情報をまとめました。
身質と旬
アメマスは脂肪分が少ない淡白で柔らかい身質をしています。
また水分が多いため、油で上げる調理法との相性が良いです。
旬は市場に流通することが少ないため定まっていませんが、産卵前の夏が美味しいとされています。
寄生虫のリスク
アメマスにはアニサキスが寄生しているリスクがあります。
アニサキスはアニサキス症と呼ばれる食中毒を起こし、激しい胃の痛みや吐き気をもたらします。そのため生食することはおすすめ出来ません。
食べる際には十分に熱を通して食べるようにしましょう。
主な食べ方
▼塩焼き
マス類定番の塩焼き。
アメマスに関しては淡白な味で水分が多いため、酒やみりんで味を足したり、塩を振って一晩干したりしてから塩焼きにすることをおすすめします。
▼ムニエル
ムニエルは身が柔らかく水分が多いアメマスと相性の良い調理法です。
アメマスの旨味を身にしっかり閉じ込めつつ、バターや塩・胡椒の風味が味を引き立ててくれます。
▼フライ
アメマスはフライとの相性も抜群で、身が柔らかく食べやすいです。
塩・胡椒で下味をつけて、タルタルソースなどを添えて召し上がってみてください。
貴重なゲームフィッシュ・アメマスを狙ってみては?
アメマスは海・川ともに楽しめるゲームフィッシュの好敵手。その魅力に魅せられ、遠征するアングラーも少なくありません。
近年では温暖化の影響やダム建設の影響で、アメマスの見られる場所も少なくなりつつあり、その貴重性が増しています。
一度はアメマスを狙いに出掛けてみてはいかがでしょうか。