日本に生息するナマズ属は4種類
ナマズと言えば?地震!ヒゲ!ヌルヌル!
太く長いヒゲやヌルヌルとした体つきが特徴的な『ナマズ』。
地震を予知する生き物とも言われる程、淡水魚の中では知名度の高い魚ですよね。釣りをしない方でも名前だけは聞いたこともあると思います。
そんなナマズですが、日本に何種類生息しているかご存知でしょうか?
答えは、20種類
ひとえにナマズと言っても、こんなに色んな形があるのです。世界には3000種以上が知られ、ズズキ(約1万種)やコイ(約4千種)に次いで多い種類なのです。
そんな多種多様なナマズの中でも、皆さんがイメージする姿はきっと左上のナマズ属でしょう。
今回は、日本に生息するナマズ属4種類についてご紹介します!
ナマズは釣りの人気ターゲットです
僕たち釣り人にとってのナマズは、手軽に狙える庶民的な魚として人気の対象魚です。
水面を泳ぐルアーに食らいつくナマズ釣りは、とてもエキサイティング!
そんなナマズですが、日本にも色んな種類がいたり、身近な川で釣れるナマズも所によっては外来種だったりするんです。
日本に生息する4種類のナマズ達
現在日本では4種類のナマズが生息しているとされています。改めて並べて見るとどれも似てますね。
図鑑の写真でさえ間違って掲載されていることもある程、外見から正確に見分けるのがとても難しい魚なのです。
それでは、1種類ずつ生息地や釣り方をご紹介していきますね。
大衆魚・ナマズ(Silurus asotus)
最も一般的なナマズ
僕たちが普段よく目にするナマズといえば、全長70センチ前後まで成長する『ナマズ』です。
正式名称はナマズですが、他の種類と分けて表現するためにマナマズとも呼ばれます。
現在では、沖縄など離島以外の日本各地の河川中流から下流域や湖沼に生息しています。生息域が広いというのがマナマズの特徴ですね。
近所の川にも生息してるかも?!
マナマズは夜行性であるため、昼間に川を覗きこんでもコイのように人目につくことが少ない生き物です。
住民:「ここはコイ以外何もいないよ!」
釣り人:「実はナマズが釣れるんですよ!」
住民:「えー!ナマズがいるの?!こんな川に!」
住宅地を流れる川で、よくあるやり取りです(笑)
手軽にルアーで狙ってみましょう
マナマズを手っ取り早く釣り上げたければ、水面を泳ぐトップウォータープラグを使った夜釣りがオススメです。
通年釣ることができますが、暖かくなる時期、すなわち4月から6月がベストシーズンと言えるでしょう。
ルアーで簡単に釣れるというのもマナマズの特徴の一つです。
アーボガスト ジッターバグ
マナマズを釣る上で一番オススメなのが、ジッターバグというルアーです。
マナマズの豆知識
本来は滋賀県以西にしか生息しておらず、東海地方から東では外来魚とされています。
江戸時代に人為的かつ積極的にに移植されたマナマズ。当時、在来種にどんな影響を与えたのでしょうか。
ブラックバスやブルーギルの陰に隠れて、実に多くの外来生物が身近に暮らしているのです。
怪魚・ビワコオオナマズ(Silurus biwaensis)
最大の特徴は巨大ということ
120センチ前後まで成長する『ビワコオオナマズ』は、世界で琵琶湖および瀬田川、宇治川、淀川にのみ生息する固有種です。
もともと生息数が多くないため、姿を見ようと思っても簡単に見ることはできません。
食物連鎖の頂点に立つ生き物の生息数は少ないのが健全である。ということが、ビワコオオナマズを見ていて感じることですね。
最も釣るのが難しい三大怪魚
日本三大怪魚と言えば、アカメ、イトウ、ビワコオオナマズでしょう。
いずれも最大1メートルを超える大魚です。
それぞれ釣獲した僕の経験から、ビワコオオナマズを釣ることが輪をかけて一番難しいと断言します。
どうしても釣ってみたい! そんな方は琵琶湖から流れ出す河川がいくらか可能性が高いです。それは何故でしょう?
琵琶湖は広すぎるんです
広大な琵琶湖からビワコオオナマズの回遊ルートや捕食場所を特定するとなると、何年もかかってしまいます。
また、縄張り意識がとても強いビワコオオナマズは、1か所のポイントに複数いるといった状況は産卵期を除きありません。
琵琶湖は僕みたいに数より1匹との出会いを大切にしたい方向けですね。
とりあえず「ビワコオオナマズを釣る」という目的では、琵琶湖はオススメできません。
魚の密度が濃く、流れのある瀬田川や宇治川がオススメです
瀬田川や宇治川は、ご覧の通り川幅が狭く急流という環境です。この流れがビワコオオナマズを釣るうえで重要なポイントになります。
意外と思われるかもしれませんが、ビワコオオナマズは捕食態勢に入ると離底しサスペンドします。
急流でサスペンドするとなると、ヨレや反転流といった流れの緩む場所に限られます。
ただでさえ面積が狭い川なのに、さらにポイントを絞ることができましたね!
ビワコオオナマズにはミノーがオススメです
ゆっくり巻いても大きく動くミノーが効果的です。
これは琵琶湖でも河川でも同じで、ビワコオオナマズは基本的にただ巻きによく反応します。
他にもバイブレーションでリアクションやマッチザベイトとしてビッグベイト。ルアー釣りをされない人向けの餌釣りなどなどパターンは様々です。
タックルハウス K−TEN ブルーオーシャン BKF140
ルアーサイズは12〜16センチ、潜行深度が1メートル前後のミノーがオススメです。
僕は、タックルハウスのK-TENブルーオーシャンの115と140を好んで使っています。
幻の鯰・イワトコナマズ(Silurus lithophilus)
その名の通り岩が大好きです
『イワトコナマズ』は漢字で岩床鯰と書かれる程、岩礁帯を特に好んで生息します。
生息域はビワコオオナマズと同様に琵琶湖・淀川水系の固有種でありますが、岩礁帯が無い場所では殆ど姿を見ることはありません。
いる場所といない場所がハッキリとしていることが一番の特徴でしょう。
狙って釣るのは難しい
最大で60センチ前後まで成長しますが、マナマズよりも一回り小さい印象を受けます。
はっきりとした夜行性を示し、毎朝気に入った岩陰に戻って休むという可愛い一面があります。ハゼやエビの仲間といった底生の比較的小さな生き物を餌にしています。
バス釣りやビワコオオナマズ釣りの外道として稀にミノーやバイブレーションなどにヒットすることはありますが、狙って釣るとなると非常に難しい魚です。
まさに幻のナマズと言っても良いでしょう。
黄色い個体の存在
マナマズの黄色い個体が釣り上げられ時々話題になることがありますが、イワトコナマズはこのように一部黄色い個体の出現頻度が高いのが特徴です。
また僕の経験では、黄色い個体が多いポイントとほとんどいないポイントがあります。
新種・タニガワナマズ(Silurus tomodai)
謎だった第四のナマズ
『タニガワナマズ』は、2018年に新種であることが発表されました。その名の通り谷川(渓流より若干流れが緩やか)に生息しています。
姿はマナマズに似ているものの、系統的にはイワトコナマズに近いとされています。
生息域は、三重県、愛知県、岐阜県に多く、静岡県、長野県、新潟県でも極少数の捕獲例が確認されているようです。
ルアーで釣ることが難しい魚です
今まで何度かタニガワナマズを狙って釣行していますが、残念ながらルアーで釣れたことがありません。一方で、ミミズを使った餌釣りで釣った経験があります。
食性や繁殖生態など、気になることがまだまだいっぱいのナマズです。
ナマズを見分けるポイントは?!
大きさと釣れた場所である程度検討をつける
ビワコオオナマズだけは、色合いと大きさが特徴的なので、幼魚を除き見分けることができるかと思います。残る3種はどうでしょうか?
難しいですよね。因みに右からタニガワ、マナマズ、イワトコです。せっかく4種類もナマズがいるのですから、素人なりに見分けて楽しみたいものですよね。
1つだけ簡単に見分ける方法があります! それでは、ナマズの口の中を見てください。
鋤骨帯の形で推察できる
今から説明する特徴は、あくまで傾向的な特徴であります。100%見分けられるものではありません。素人なりにナマズ属4種類を手っ取り早く見分けて楽しむ程度の情報として捉えていただければと思います。
ミトコンドリアなんちゃらが……。
こことそこの長さの比率がとか……。
正確に計測している間に弱っちゃいますからね。
鋤骨帯が一帯~くびれる程度の場合
マナマズやビワコオオナマズは、このように鋤骨帯が一帯です。
極稀にマナマズで二分に分かれている個体がいるようですがそれはとても珍しい個体かと思います。
また、ユーラシア大陸産の外来魚の可能性も考えられます。
鋤骨帯がハの字に分かれている場合
イワトコナマズはこのように鋤骨帯が2つに分かれます。
タニガワナマズは2つに分かれるものから真ん中がギリギリ繋がったものまで確認されています。
以上のことから、生息地と鋤骨帯を組み合わせることで、素人なりにある程度見分けることができます。
琵琶湖・淀川水系で鋤骨帯が2分だったらイワトコナマズ。
東海地方や長野・新潟で鋤骨帯が2分だったらタニガワナマズの可能性ありです。
皆さんも是非、ナマズが釣れたら口の中を観察してみてはいかがでしょうか?
筆者紹介
山根 kimi ヒロユキ
“初めての1匹”を求めて、世界中どこへでも行く怪魚ハンター「山根ブラザーズ」の兄。釣りに留まらず、ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。
どえらい魚を獲った!もはや釣りを越えて!色んな人と繋がって!特大天然メコンオオナマズ! 240 cm175 kg 捕獲です!!ホント色んな人に助けられてこの魚と出会うことができました!メコンオオナマズに関わる全ての人に感謝でいっぱいです!! pic.twitter.com/JHWpNdLAvX
— 山根ブラザーズ(兄)@kimi (@chillkimi) September 16, 2017