ウマヅラハギってどんな魚?
ウマヅラハギはフグ目カワハギ科に属する魚です。名前の由来は、顔が長く馬の顔を連想させること、また皮を「剥ぐ」ことから来ています。
最大で30センチ前後まで大きくなり、釣って楽しく食べて美味しいことから人気です。
分布
北海道から九州まで、日本海・太平洋側問わず幅広く分布しているウマヅラハギ。海外に目を向けると、赤道に近いマレーシアあたりまで分布が確認されているので、かなり広域に分布していることが分かります。
生息域
ウマヅラハギは、浅い海藻の繁茂する岩礁息を好みます。近縁種のカワハギよりはやや沖合に生息することが多いようです。
海底から中層を群れで泳ぐ習性があり、一度に多数釣れたり漁獲されたりすることが多い魚です。
生態
ウマヅラハギの産卵期は、4~7月にかけて。産卵は複数回に分けて行われ、卵の数は一回あたり平均7万粒。水槽内では19回の産卵行動が見られた記録があり、自然界においてもこれに匹敵する回数が行われているのではないかと予想されます。
食性は雑食で、強力な門歯を使い、海藻や甲殻類、底生動物など様々なものをエサとしています。特にエチゼンクラゲが好物で、毒のある触手を気にせず群れで食べつくしてしまうことが知られています。2009年にエチゼンクラゲが大発生した際には、ウマヅラハギの数も増加したことが確認されています。
また公害が多かった昭和40年代に大発生したため、ヘドロなどの悪条件に強いと言われていますが、こちらは因果関係が分からず定かではありません。
見た目の特徴
体色は全体的にねずみ色で、不規則なこげ茶の斑模様が入っています。目の上部には1本の長い棘があり、ヒレは青緑色をしています。
体表は鱗ではなく硬い皮で覆われていて、調理の際には切れ目を入れて引っ張るとと簡単に剥ぐことが出来ます。
地方での呼び名
ウマヅラハギの名前は、神奈川県三崎での呼び方が発祥とされています。地方によって呼び方は大きく違います。以下にその例をまとめました。
北海道・青森県…チュンチュン、チュッチュ
宮城県…ギハギ
京都府…コングリ、マガリ
岡山県…ツノギ
広島県…クロハギ
鳥取県…チューコー
山口県…ジビチヨ、メンボ
熊本県…ナガベコ、ベトコン
ウマヅラハギの見分け方
ウマヅラハギとよく比較されるのがカワハギ。カワハギとの見分け方は以下の通りです。
カワハギとの違い
カワハギとウマヅラハギの見分けは、体型で見分けるのが一番です。カワハギは菱形、ウマヅラハギは長い菱形をしています。
他にもウマヅラハギのほうが頭部の棘が長い、ヒレが青緑色をしていることも見分ける際の目安となります。
ウマヅラハギのさばき方と食べ方
秋から春にかけて旬を迎えるウマヅラハギ。この時期になると肝が膨らみ、より美味しく食べられます。
身は脂肪分が少なく、カワハギと比べるとちょっと硬め。どちらかと言えばフグの身に近い印象を受けるかもしれません。
以下では捌き方とおすすめの食べ方をご紹介します。
ウマヅラハギのさばき方
ウマヅラハギは、硬い口や棘に注意すること、また皮を上手に剥ぐことを考えながら捌いていきましょう。皮を剥ぐのは頭を落としてからでも構いませんが、手間を考えると最初のほうに一気に剥がしておくのがおすすめです。以下に捌く手順の一例をまとめました。
さばき方の手順
- 1.口、頭部の棘を切り落とす。
- 2.頭部と口の下の皮に包丁を入れてから皮をはがす
- 3.目とヒレの後方に両側から、肝や内臓をつぶさないように薄く包丁を入れる。
- 4.中骨を断つ
- 5.頭ごと肝や内臓を取る。肝はつぶさないように綺麗に取る
- 6.3枚におろして腹骨を削ぐ
- 7.中骨に沿って包丁を入れ、包丁を滑らせながら薄皮を取る
刺身
ウマヅラハギ本来の味を楽しめる刺身。身はカワハギより硬いので、身は薄造りに。醤油やポン酢、薬味にネギを添えて召し上がってみてください。
肝醤油和え
大きな肝を贅沢に使う肝醤油和え。水・酒・塩を入れた鍋で茹でて火を通したら、すり鉢で醤油や出汁と合わせて混ぜ合わせます。肝の濃厚な味わいが口いっぱいに広がる、特におすすめの食べ方です。
煮付け
身を余さず食べられる煮付け。酒・みりん・醤油・塩などでシンプルに味付けするだけでOKです。雄は赤い筋繊維が多く、刺身だと見た目が悪いため、その部分だけ煮付けにするのも良いでしょう。
天ぷら
素直な白身のウマヅラハギは、天ぷらで食べるのもおすすめです。身は熱を通すと引き締まります。その食感はフグに似た感じとも。熱々の揚げたてをシンプルに塩だけで召し上がってみてください。
鍋物
頭や骨といったアラは、鍋物にして食べるのがおすすめ。味の極めつけは肝を入れること。ウマヅラハギの肝は大きく、カワハギと違って熱で溶けるため、鍋全体に肝の濃厚な味わいが広がります。
ウマヅラハギの釣り方
ウマヅラハギの釣りシーズンは、6月から11月頃にかけて。基本的に船から狙いますが、堤防からの投げ釣りで狙う人も居ます。餌はアサリや海エビをメインに、アオイソメやオキアミも使用します。
船釣りのタックル例は以下の通りです。
竿
竿は誘いとアワセが行いやすい2メートル前後の船竿がベスト。だいたい30号前後のオモリが使いやすいものを選んでみてください。
専用竿は少ないので、カワハギ竿やカレイ竿を代用しても構いません。
■タカミヤ 伝衛門丸 舷天(げんてん) UMADURA-SP 210
ウマヅラハギ釣り専用設計の竿。視認性の高い柔らかく繊細な穂先でウマヅラハギのアタリを捉え、強いバットで硬い口に針をしっかり掛けられます。
多点掛けとなった場合も、つぶれ・ねじれ剛性の高いブランクスがやり取りをサポートしてくれます。
タカミヤ 伝衛門丸 舷天(げんてん) UMADURA-SP 210
自重:132g
継数:2本
仕舞寸法:109cm
錘負荷:10-40号
リール・道糸
リールは小型両軸リールが基本。カウンター付きのものだと水深が把握しやすいです。道糸は2~3号のPEラインを使用します。
リールの大きさは、200メートル程度巻ける糸巻量の番手を選びましょう。
■シマノ バルケッタBB 600HG
NEW LEDバックライト付液晶カウンターで、水深をしっかり把握出来るカウンター付き両軸リールです。ギア比はハイギアで、エサを取られた時の回収が早く、スピーディーな釣りを可能としてくれます。
シマノ バルケッタBB 600HG(右)
自重:245g
最大ドラグ力:5.5kg
巻取り長さ:72cm
PE糸巻量(号-m):2-300/3-200
■よつあみ ヴェラガス 船 X8
コストパフォーマンスに優れた船用PEラインです。10メートルごとに5色+1メートルのイエローマーキングで、タナ取りが行いやすいです。
ウマヅラハギを釣って食べてみよう!
マダイのコマセ釣りや、メジナのフカセ釣りなどでエサ取りとしてやっかいもの扱いされることもあるウマヅラハギ。しかしいざ狙ってみると釣るのは難しく、食べてみればその美味しさに病みつきになること間違いなしの魚です。ぜひ釣って食べてみましょう。