ベイトフィネスってどんな釣り?
ベイトフィネスとは、5gに満たないようなライトリグや軽量プラグを、ベイトタックルで扱う釣り方を指します。
スピニングタックル(細いライン)では攻めることのできないカバーを、太いラインで攻略するために普及しました。
ロッドもリールも、「ベイトフィネス専用」と呼ばれるものがラインナップされるようになり、今日では釣り方の一つとして定着していますね。
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ベイトフィネスリールの定義
ベイトフィネスリールとは、軽量ルアーのキャストに対応したベイトリールの一種。
一般的なベイトリールが軽快にキャストできるルアー重量は、9〜10g以上といった所ですが、ベイトフィネスリールはそれ以下、中には1gのキャストにも対応した機種も存在します。
ベイトフィネスリールは、ベイトタックルならではのキャストコントロール性の高さ、手返しの良さ、それでいて軽量ルアーに対応可能といった特性を生かし、バス・ライトソルト・渓流など幅広いフィッシングシーンで重宝されています。
軽量&小口径スプール
ベイトフィネスリール最大の特徴は、軽量かつ小口径のスプール。
※機種によっても様々ですが、ベイトフィネス機のスプール径は28〜32mm前後。糸巻き量は8lb:50m程度のものがスタンダードです。
通常のベイトリールが、スプール径34mm、糸巻き量12lb:100m程度ですので、それと比べてもかなりの差がありますよね。
小口径かつ軽量なスプールは、軽量ルアーのわずかな負荷でも回転を始め、スムーズなライン放出を可能にします。
また、ベイトフィネスの釣りは細ラインの使用が前提の為、スプールの溝は必然的に浅くなり(シャロースプールとなり)、ラインの巻きすぎによるスプール重量の増加を防いでいます。
軽量ボディー
ベイトフィネス リールは130~180g程度の軽量な機種が多くリリースされています。
ベイトフィネススタイルの釣りは、手返しの良さや優れた操作性、キャストの正確性が魅力。
ボディが軽いことで、それらのメリットが享受しやすくなると言えます。
ブレーキシステム
ベイトフィネスは軽量ルアーの使用や、飛距離よりも安定した手返しを優先しています。
その為、断続的に一定のブレーキがかかるマグネットブレーキシステムを採用しているメーカーが主流です。
ベイトフィネスリールの注意点
ベイトフィネスリールをオーバーバワーのロッドと組み合わせてしまうと、テイクバック時にルアーの重みがロッドに乗らない為、飛距離を稼ぎにくくなります。
ML・Lといったベイトフィネス にマッチしたパワーのロッドのと合わせることで、ベイトフィネスリールの本来の力が発揮されます。
ベイトフィネスのメリット
太いラインが巻ける
太いラインを使い、軽量ルアーを使った繊細なアプローチができることこそ、ベイトフィネスの強み。
もちろん、スピニングリールに太いラインを巻くこともできますが、そのぶんゴワつきや糸ヨレなどのトラブルが増え、扱いにくくなります。
フロロカーボンの8lb前後を基準に、カバーの濃さや用途に合わせ、ラインセレクトの選択肢が広がるのもいいですね。
軽いリグ・ハードプラグを手返しよく投げられる
スピニングタックルに比べて、手返しのよいアプローチができるのもベイトフィネスの長所。
これは「ベイルアームを起こす動作」を必要とせず、片手でクラッチを切るだけでキャストができるベイトリールの構造によるもの。
バンク沿いを手返しよく探っていくシャローゲームでは、キャスト数が釣果に直結することも少なくありません。
キャスト精度が高い
スピニングよりも高い精度で、ピンポイントキャストが決まるのもベイトフィネスのいいところ。
親指でラインの放出量を微調整(サミング)しながら、ロッドワークでルアーの軌道を変えられるので、スピニングリールより、キャスト精度が上がります。
達人レベルであれば、スピニングでも精度の高いキャストを行える人はいますが、一般的にはベイトの方がキャスト精度は高くなる傾向にあります。
ベイトフィネスのデメリット
極端なライトリグは向かない
使うワームの大きさにもよりますが、例えば1gを下回るシンカーを使ったネコリグなど、とても繊細な釣りはスピニングに分があります。
中には1gを投げれると謳うベイトフィネス リールもありますが、わざわざ1g以下をベイトリールで投げる必要性は低いと感じます。
ベイトフィネス リーグがあるから、「スピニングタックルがいらない」とまではならないのが現実です。
太いラインを使うと飛距離を稼げない
そもそもベイトフィネスが生まれた背景には、「太いラインを使い、近距離からシャローカバーにライトリグをアプローチする」という明確なコンセプトがありました。
ベイトフィネス用のリールは、スプールの回転性能を上げるため、浅溝を採用していることがほとんど。(無駄な下巻きを減らし、スプール自体を軽量化するため)
そのため、8lb.以上のラインを使うと、場合によってはラインキャパが足りないという現象に陥ってしまいます。
ベイトリールのスペック(糸巻き量)以上に、飛距離を稼いでアプローチしたい場合は、スピングタックルでの遠投が無難ではないでしょうか。
ではいったいどんな場面であれば、ベイトフィネスの長所が生きるのか? 次のページで考察していきます。
ベイトフィネスが有効な場面
カバーの周辺を手返しよく探りたいとき
たとえば、写真のようなカバーの周辺をピン撃ちするときこそ、ベイトフィネスの出番だと思っています。
ライトラインを巻いたスピニングタックルでは、掛けることはできても、キャッチ率は下がってしまうでしょう。
ベイトフィネスであれば、スピニングよりも太いラインが巻けるため、多少なり強引にファイトもできます。
「キャストアキュラシーの高さ」「手返しの良さ」「カバーをライトリグに送り込める」という、ベイトフィネスならではの強みをフルに活かせるシチュエーションです。
小型のプラグを使って、手返しよくショートキャストで探りたいとき
写真のようなバンク沿いを、ショートキャストで手返しよく探る場合はベイトフィネスを使っています。
バンク沿いを流しながらも、良いカバーを見つけたらそのままワームやスモラバに結び変えて撃つことも。
シャッドなどのライトルアーをメインに使うなら、なかなかおかっぱりでも重宝するタックルじゃないかと思います。
パワーフィネスとの使い分けは?
パワーフィネスはベジテーションに強い
パワーフィネスとはM~MHクラスのロッドに、PEライン1.5~2号を合わせたスピニングタックルでカバーを攻める釣り方。
「ストラクチャーに対してライトリグをアプローチする」という用途は同じですが、ベイトフィネスとは得意とする場所に大きな違いがあります。
PEラインは直線強度に優れ、感度も高く、ベジテーション(植物系のストラクチャー)との相性がピカイチ。引っ掛かりが少なく、スルスルと隙間に送り込むことができます。
より繊細さが求められる、連続した「中層シェイク」や、虫ルアーを扱うときなどもパワーフィネスの出しどころです。
ベイトフィネスはハードストラクチャーに強い
しかし、PEラインは消波ブロックなどのハードストラクチャー(石・岩系)に弱いという弱点があります。
たとえば、写真のような複合カバー。このようなシチュエーションで繊細なアプローチが求められる場合、根ずれに強いフロロカーボンの特製が活きてきます。
カバーフィネスはPEライン直結(リーダーなし)で使われることが多く、ハードストラクチャーを攻める場合、ラインブレイクのリスクがつきまといます。
フロロカーボンリーダーを介せばいいのですが、フィールドで結ぶのは手間もかかりますよね。なので、結果的にベイトフィネスに頼ってしまうというわけです。
ラインが傷ついても、その部分をカットして結び変えるだけでOK。仮にパワーフィネスタックルでは、リーダーごと結び変えなければいけませんから……。
筆者のベイトフィネスのタックル
ロッド:ポイズンアルティマ 1610L
リール:アルデバランBFS XG
ライン:フロロカーボン 8lb.
参考までに、僕が使っているベイトフィネスタックルです。
ベイトフィネスはリールの性能(スプールの回転性能など)が使いやすさに大きく影響するので、特化型の機種が断然おすすめです。
ロッドもベイトロッドとしては弱めなLクラスを使用し、スピニングタックルでは扱うのが難しい太めのフロロラインを合わせています。
シマノ アルデバラン BFS XG
ギヤ比:8.0:1
ドラグ力(最大):3.5kg
糸巻量:ナイロン8lb-45m フロロ8lb-45m
巻上長(ハンドル1回転あたりの長さ):最大80cm
スプール寸法:径32mm / 幅22mm
ハンドル長さ:42mm
ベイトフィネスは適材適所で強い武器に!
ベイトリール初心者の方は、慣れるまで時間がかかるかと思います。ですが、使いこなすことさえできれば、確実に釣果が上がるのもベイトフィネス です。
“カバーを制する者はバスフィッシングを制する”の言葉の通り、バスとカバーは切っても切り離せない存在だと実感しています。
みなさんのフィールドにも、多かれ少なかれカバーは存在しているのではないでしょうか。ぜひベイトフィネスを使いこなして、タフコンディションを乗り切ってみてください!
編集後記:ベイトフィネス不要論争に終止符!?
Googleで「ベイトフィネス」と検索すると、ページ下部に表示される「他のキーワード」の中に「ベイトフィネス 意味ない」「ベイトフィネス いらない」などと表示される事がありますよね。
これは、ベイトフィネスの必要性について疑問視している方が一定数いるというを事を表しています。
現在も、ネット掲示板やブログ等で度々見かけるベイトフィネス不要論。ベイトフィネスが普及し始めた2011年頃から語られており、未だ決着を見ないテーマですよね。
それに対しての私の回答は「ベイトフィネスは必要な人もいるし、不要な人もいる。アングラーの数だけの正解が存在する」です。なんだか、ハッキリとしない回答ですがこれが真理かと思います。
すごく極端な話しをします。「釣り」はこの世に必要でしょうか? 私は絶対に必要だと思いますが、釣りをしない人はこう言います。
「魚を捕りたいなら、網でも電気ショッカーでも良いじゃない?」「魚を食べたいならスーパーやお寿司屋さんに行けば良いじゃない?」「もっと良い手段が、他にあるじゃない?」と。
現代社会において、釣りは魚を獲ったり、食べる上では非常に非効率でコスパの悪い手段です。でも我々は、釣りを選びました。
それは魚釣りが最高に楽しくて、我々の生活に欠かせない存在だからですよね。
これは、ベイトフィネスが非効率だという例え話しではありません。ベイトフィネスは、ある人にとっては欠かせない存在ですし、ある人にとっては不要な存在だという事をお伝えしたかったのです。