知られざる淡水専用リールの世界
リールを長持ちさせるというのは永遠の課題です。回転性能を犠牲にせず、いかにリールを水や塩から守るかということを命題に、防水機構は進化を続けてきました。
そんな中、防水機構を排除した「淡水専用リール」があるのをご存知でしょうか。
どんなメリットがあるのか、海では使えないのか、知られざる淡水専用リールの世界をリールマニアが解説します。
なぜ淡水専用リールが必要なのか?
水の侵入を防ぐためには、パッキンやグリスを用いて防水するのが一般的です。
回転性能への影響が少ないように設計されているものの、パッキンやグリスは回転部品と接する以上、わずかながらも回転性能を落としてしまいます。
しかし、小さなアタリや流れの変化を「巻き」で感じたいアングラーにとっては、少しの回転抵抗ですら邪魔になってしまうのです。
そんなユーザーの声に応え、“防水性能を犠牲にして回転性能を追求した”のが淡水専用リールです。
淡水専用リールとは
淡水専用リールは、基本的には通常のリール(海水対応)をベースにして設計されています。
そのため、ベースモデルから回転抵抗となる防水機構を取り除いたリールが、淡水専用リールといえるでしょう。
細かなところに言及すると、通常ではグリスが用いられている部分がオイルに変更されたりと、とにかく回転性能が重視されています。
海で使えるのか?
「淡水専用リールを海水でも使えるの?」という質問に対して、筆者は「イエス」と答えます。
もちろん、耐久性が低いので注意点があるのは当然ですが、それを踏まえても淡水専用リールを海で使うメリットは十分にあるのです。
巻き感度が大切なのは、なにも淡水に限った話ではありません。海でも、潮流の変化などをリールから感じ取れるのは大きなメリットです。
そのため、アジングなどで淡水専用リールを用いるコアなアングラーも少なくはありません。
海で使うときに注意すべき点
注意すべき点は、もちろん防水性能の低さです。当然ではありますが、同じペースで使っていても淡水専用リールの方が早く劣化します。
そのため、使用後の水洗いや注油を欠かさず、早いペースでオーバーホールをする必要があります。
「耐久性を犠牲にしている」ことを理解した上で使うようにしてください。
ぜひ体感してほしい!
現在は非接触防水が主流になってきており、防水機能による回転抵抗も非常に少なくなっています。
しかし、究極の巻き感度を求めるならば、淡水専用リールを選ぶのもひとつの選択肢でしょう。
淡水専用リールが気になった方は、ぜひ釣具店で巻き比べてみてください!
マニアイチオシの淡水専用リール
シマノ '17 ヴァンキッシュ FW 1000S
ダイワ 19バリスティック FW LT1000S-P
筆者について
佐藤稜真
某リールチューンメーカー在籍時、Facebook・Instagram運営を手がけながら全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。
中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。