【スピニングリールのオーバーホール】手順やリスクをリールマニアが解説

2020/01/09 更新

リールは機械であるゆえに、摩耗・消耗を避けることはできません。そのため、日常のメンテナンスに加えて定期的にオーバーホールをする必要があります。今回は、リールマニアがオーバーホールの手順やリスクを解説します。


アイキャッチ画像提供:佐藤稜真

スピニングリールをオーバーホール

リールのオーバーホールの画像
撮影:TSURI HACK編集部
リールは機械ですので、使っていくうちに摩耗・消耗していきます。

そのため、日常のメンテナンスに加え、定期的(1年に1回程度)なオーバーホールが必要です。

今回は、15ストラディック(シマノ)を例に、リールマニアが解説しながらオーバーホールを行います。

※本記事は個人でのオーバーホールを推奨するものではありません。オーバーホールは製造元メーカーのアフターサービスを利用するのがおすすめです。

使う道具はこちら


(上から)ピンセット、メガネレンチ(10-12)、トルクスドライバーT10/T8/T6、プラスドライバーPH0/PH00、マイナスドライバー0/00/3

※必要なドライバーの種類は、リールの機種などによって異なります。


キッチンペーパー


パーツクリーナーを瓶に吹いたもの。ギアなどの洗浄に使います。


(左から)粘度が高いオイル、低いオイル、ギアグリス、ドラググリス。


外部パーツのメンテナンス

スプールやハンドル、ラインローラーといった外部パーツは、以前紹介したメンテナンスとやるべきことは同じです。

オーバーホールだからと言って、特別なことをする必要はありません。

スプール


スプールを上から見た図がこちら。バネを外すときに飛ばしやすいので注意してください。指で押さえながら外すのがベターです。


こちらがドラグフェルト。フィネスタイプなので一枚だけですが、機種によっては複数枚入っていることも。

このリールの場合、たくさん魚を釣ったためか、光が透けてしまうくらい薄くなっています。

摩耗するとドラグの動作に支障をきたすので、今回はフェルトを交換しました。


内部のパーツを外したら、パーツクリーナーを吹いて綿棒で汚れを落としましょう。

汚れが落ちたら、写真のようなピカピカの状態になります。


ドラググリスはたっぷりと塗ります。他の箇所のグリス・オイルとは異なり、薄く塗るとデメリットしかありません。

後は、順番通りにパーツを戻せばスプール部分は完成です。

ハンドルノブ


まずはハンドルノブをハンドル本体から取り外します。

ハンドルキャップを外すには、リールに付属している針金のような工具が便利です。


ハンドルノブを外すと、ベアリングもしくは樹脂カラーが登場します。

写真をみていただくと、グリスが汚れて劣化していることがお分かりになると思います。


ベアリングはこの通り、砂まみれの状態でした。サーフで釣りをする方や、リールを地面に置く方はこのような状態になりやすいです。

巻き心地の低下に繋がるだけではなく、砂がベアリングを傷つけて摩耗します。

写真のような状態の場合、恐らくベアリング自体にダメージが及んでいるので、今回はベアリングを交換しました。


取り外したノブは、内部を綿棒で掃除しましょう。内部を洗浄すると、ご覧のような赤茶けた錆のような汚れが……。

オイルに砂や錆が混じった汚れなので、きれいに拭き取ります。


ベアリングとハンドルシャフトにオイルを1・2滴注油し、順番通りに組み付けます。

手で回しみても、回転性能が高まったのを感じていただけると思います。

ラインローラー


次はラインローラーを分解します。ビスの形状は、メーカーや機種、年式によって異なるので、適切なものを用意してください。

ネジを舐めると修理費が高額になるため、決して無理は禁物です。

15ストラディックの場合は、ビスが特殊な形状なのでトルクスドライバーのT8を使いました。

パーツが抜け落ちないように、慎重にラインローラーを外します。


こちらが取り出したラインローラー。近年の一体型ラインローラーは、これ以上分解することはできません。

15ストラディックも一体型ローラーなので、内部のベアリングが摩耗した場合はローラーごと交換することになります。


ローラーを拭いてみると、劣化したグリスが。もちろん動作不良の元です。

ラインローラーが正常に動作しないと、糸ヨレの増加、ライントラブル・ブレイクの増加、飛距離の低減といったトラブルを招きます。


パーツクリーナーで洗浄した後は、ラインローラーに注油します。

とにかく回転性能を求める場合はオイル、海水使用が多くて耐久性を求めたい場合はグリスでもOK。

これにてラインローラーは終了です!

本体の分解

ドラグユニットを外す


まずはスプール座金(ワッシャー)を外し、ドラグユニットを全て取り外します。

この際、シマノ製リールの多くは、精密六角ドライバーの0.9ミリが必要です。

ローターを外す


ドラグユニットが終われば、ローターを外していきます。

15ストラディックはローターナットに黒いキャップが付いていたので、それを先に外します。


メガネレンチでローターナットを外しますと……


この通り、ローターが外れました。

ワンウェイクラッチを外す


ネジが何本か存在しますが、本体とワンウェイクラッチをつなぐネジのみを外します(15ストラディックの場合は赤矢印のネジ以外)。

ワンウェイクラッチ本体を固定するネジ(赤矢印)もあるので、こちらは外さないように注意してください。


ここで、ワンウェイクラッチ周辺に砂が大量に入っていることを確認。もちろん、砂が入ると異常の元になります。

釣行後の水洗いを欠かしていないリールでしたが、それだけでは流せない異物もあるということです。

こういった部分まで発見・対処できることが、オーバーホールをする意義と言えるでしょう。


ワンウェイクラッチを外すと、ピニオンギアがお目見えしました。

グリスが劣化して黒くなっていることがわかります。ピニオンギアを抜けば、ワンウェイクラッチ周辺のパートは終了です。

ボディの分解


ボディを開けるには、まずはボディカバーを外します。


次に、左右のボディを固定しているネジを外します。


ネジを外すと、この通り。中心に見えているのが、リールの心臓であるドライブギアです。


ダイワのモノコックボディなどを除き、大半のリールのボディは2ピース構造になっています。

リールフットが付いている方にはベアリングしかパーツがなく、シンプルな作りです。


こちらがドライブギアを取り除いた図。

水没歴は無いと聞いていましたが、海水が入った痕跡が見受けられます。

こういったことも、オーバーホールをして内部を開けない限り気付けないのです。


これがリールの心臓。個人的にドライブギアは大好きなパーツです。

ギア類の洗浄


パーツクリーナーで満たした瓶に、ドライブギア・ピニオンギア・ベアリング類をドボン。

頑固なグリスや汚れを浮かせます。


瓶から引き上げたピニオンギア・ドライブギアは、綿棒を使って歯面のグリスをしっかりと取り除きます。

漬けるだけでは落ちない汚れもあるので、この工程は必須です。


仕上げ


取り外したパーツを展開した姿がこちら。意外と少なく感じるのでは無いでしょうか。

パーツ点数は機種によって異なり、一般的には高級機種ほどパーツ点数が増加します。

注油・組み付け


各パーツの洗浄が終われば、ビスの締め具合を調整しながら、順番通りに組み付けていきます。


ギアにはギアグリスを、ベアリングにはオイルをそれぞれ添付します。

間違っても、ギアにドラググリスを挿すのは禁物です。

グリスと言えど性質が全く異なるので、リールが壊れます。

動作確認


順番通りに組み付け、最後に動作確認をして完了!

オーバーホール後(とくにギア交換を行った場合)は、回転が重くなったように感じることもあります。

しかし、大半のケースはギアやグリスが馴染んでいないことが理由なので、使用を重ねるうちに解消されるはずです。

オーバーホールの注意点

最後に、オーバーホールをするときに大切なポイントをおさらいします。

1. 無理は禁物

固着して外れないビスなどは、ヘタをすると舐めてしまいます。

パーツを潰してしまうと修理費が高額になるため、無理をせず、取り返しが付かなくなる前に作業を止めましょう。

2. 取り外したパーツは綺麗に並べる

代表的な失敗は、パーツの紛失や、パーツの組み付け順が分からなくなることです。

慣れないうちは、絵具用パレットなどの上に、取り外した順に綺麗に並べることをおすすめします。

3. 基本的に個人ではやらない方がいい

「ここまで書いておいてなんなんだ!」と思うかもしれませんが、個人でオーバーホールをするのは危険です。

場合によっては、メーカーの保証が効かなくなる可能性や、症状が悪化することも。そのため、オーバーホールは製造元のメーカーに依頼することが原則です。

個人でオーバーホールをする際は、「失敗するかもしれない」という前提で進めるようにしてください。
画像提供:佐藤稜真

筆者の紹介

佐藤稜真
撮影:TSURI HACK編集部
佐藤稜真

某リールチューンメーカー在籍時、Facebook・Instagram運営を手がけながら全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。

中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。

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佐藤 稜真
佐藤 稜真

某リールチューンメーカー在籍時、年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つリールマニア。TSURIHACK TVへの出演、個人チャンネル「リールマニア/ Reel Mania」で活動中。

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