西日本で人気の鯛サビキ
鯛サビキは船から鯛を狙う釣り方のひとつで、明石海峡や鳴門海峡、瀬戸内を中心に古くから親しまれてきました。
元々は鳴門方面の伝統釣法をアレンジしたもので、10m前後の長いサビキ仕掛けを使うことが特徴。
針数が多くて広い層を効率よく探れるため、鯛を釣るには非常に合理的な仕掛けです。
本記事では、鯛サビキの仕掛けや釣り方を詳しく解説します。
鯛サビキの時期
鯛サビキは11月〜翌5月頃まで楽しめるエリアが多く、瀬戸内方面では1〜3月頃がハイシーズンとされています。
時期によってエサが海苔だったりイカナゴだったりするので、釣り方や仕掛けをマッチさせるのが重要です。
もっとも釣りやすい時間帯は、朝イチの潮が動くタイミングでしょう。
鯛サビキのタックル
ここからは鯛サビキに適したタックルを解説します。
竿
ダイワ アナリスター 瀬戸内タイサビキ 270
全長 | 2.7m |
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自重 | 140g |
継数 | 2本 |
仕舞寸法 | 140cm |
オモリ負荷 | 20-60号 |
喰い込みに優れる5:5調子や6:4調子の船竿が適しています。
長さは2〜3m程度で、硬さは30号前後を目安にしてください。
鯛サビキ専用竿がベストですが、スペックが近い汎用船竿やタイラバロッドも代用できます。
リール
シマノ バルケッタBB 150DH-PG
自重 | 220g |
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ギア比 | 5.8 |
巻取り長さ | 58cm |
最大ドラグ力 | 5kg |
PE糸巻量 | 1.5号-200m |
小型のベイトリールが適しており、水深を把握しやすいカウンター付のリールが便利です。
スローな等速巻きで誘うため、予算が許せば小型の電動リールもおすすめです。
ライン
リールには0.8〜1.2号のPEラインを200m以上巻いておきましょう。
カラーマーキングがあると、水深や巻き上げ速度をイメージしやすいです。
リーダーはフロロカーボンの3〜6号を1ヒロ(約1.5m)ほど結ぶのが一般的ですが、遊漁船によってはリーダー無しを推奨していることもあります。
鯛サビキの仕掛け
鯛サビキの大きな特徴が、全長10mにも及ぶ長い仕掛けです。
水深にもよりますが、仕掛けが長ければ長いほど広い層を効率良く探れます。
ただし近年は、初心者の方でも扱いやすい5m前後の仕掛けも多く発売されるようになりました。
また、擬似餌の種類にはチョクリとサビキの2パターンがあり、エサの種類によって使い分けるのが重要です。
チョクリ
チョクリとはビニールを針に巻いた仕掛けです。
鯛が海苔やプランクトンなど喰っていることが多い、シーズン初期から中盤にかけ有効とされています。
竿をゆっくりと大きく上下に動かし、仕掛けを上げて落とすのを繰り返す“シャクリ釣り”で使われることが多いです。
サビキ(サバ皮)
魚皮を用いたサビキは、メインベイトがイカナゴなどの小魚になるシーズン後半に有効な仕掛けです。
基本的には、着底後ゆっくりと等速で巻き上げて誘います。
おすすめの仕掛
人気の鯛サビキ仕掛けを集めました。ぜひ仕掛け選びの参考にしてください。
オーナー めっちゃ短い真鯛チョクリ T-627
初心者でも扱いやすい、全長5.8mの短いチョクリ仕掛けです。
テープを厳選したうえに、細かな動きが出るようにカットしています。
フッキング率アップを狙い、フックはケイムラ仕様でチモトには赤いバイトマーカーが巻いてあります。
テープは3色なのでオールラウンドに使える仕掛けです。
全長 | 5.8m |
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ハヤブサ 鱗真鯛 全長ショート鱗ケイムラサバ皮MIX5本 SD846
ショートロッドでも使いやすい、全長3.8mのサビキ仕掛けです。
紫外線で発光する鱗模様のサバ皮を採用しており、リアルな生命感で真鯛にアピールします。
MIXカラーのサビキが使われているので、さまざまな状況に対応できる仕掛けです。
全長 | 3.8m |
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がまかつ 瀬戸マダイ シラスプロサビキ FD-174 小豆島
瀬戸内の鯛サビキに特化した仕掛けで、厳寒期の小豆島周りで実績の高い紫・ケイムラ・緑・黄のサビキを採用しています。
全長は10mで、鯛に警戒されにくいように枝の間隔は150cmの設定。エダスは絡みにくいように25cmです。
小豆島とは別に、明石や須磨に特化したカラーラインナップもあります。
全長 | 10m |
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鯛サビキの釣り方
他の釣りと同じく、船長の合図があれば仕掛けを投入します。
しかし、他の釣りと大きく違うのが、仕掛けの全長と針数!
仕掛けが絡まないように注意し、丁寧に投入しましょう。
基本的な釣り方はタイラバと同じく、着底後はゆっくりと等速で巻くだけです。
速過ぎても遅過ぎてもアタリは出ないので、潮や活性に合ったスピードを探すのが重要。指示棚の中でアタリが無ければ、再度底を取って巻き上げます。
また、状況によっては竿を上下させて誘うシャクリ釣りも有効です。
アタリがあっても竿ではアワせず、そのまま巻き続けて針掛かりさせます。
やりとりは一定の速度で行い、強く引き込んだ場合は巻くのを止めましょう。
鯛サビキのコツ
鯛サビキで釣果を伸ばすためのコツを紹介します。
仕掛けの管理
絡ませずに素早く投入できるように、仕掛けの管理をしっかりしておきましょう。
マグネットシートが便利で、竿が風上・仕掛けが風下になるよう配置します。
とくに群れが小さい場合は投入が遅れると釣れないので、素早く投入するのはかなり大事です。
スピードを合わせる
巻き上げスピードも非常に大切なので、さまざまなスピードを試してください。
また、巻き上げ中は竿を揺らさないのも重要です。
波が高い場合は船のアップダウンに合わせて竿先を上げ下げし、海中の仕掛けを安定させるようにしてください。
アワせない
アタリがあっても焦ってアワせないのも重要です。
竿でアワせても仕掛けが長くて力が伝わりにくく、針は掛かからずスッポ抜けるだけ。
竿が強く引き込まれてもそのまま巻き続け、反転したタイミングで針掛かりさせるのが確実です。
コツコツっと連続したアタリがあって追尾してくるようなら、少し巻きスピードを速めて掛けにいくのもアリ。
瀬戸内で実釣!
小豆島周りに行ってきた!
ここからは筆者が2月下旬に小豆島周りへ釣行した際の、実釣の様子をお届けします!
この日は兵庫県相生市出船のS-styleさんにお世話になりました。
大潮周りで天候は晴れです。
1年越しのリベンジなるか!
ちょうど寒波が来襲していてこの日の最低気温は-0.1℃、出船時の6時半頃でも3℃程度と極寒……。
凍てつく寒さの中、1時間ちょっとかけて小豆島周りまで移動しました。
ポイントに到着しましたが、風がかなり強めです。
船長曰く「昨日出船していた僚船は激渋だった」とのこと。
船長から配られたのは、全長13.5mのチョクリ仕掛け。
タックルは、2.4mの鯛サビキ専用ロッドにカウンター付リール、PEは1号です。
船長が魚探で喰いそうな反応を見つけたのでスタート!
二流し目までは反応が無く、なんとなく怪しい雰囲気が漂っていましたが……
三流し目で船長が「コレ喰いそう!」と、こちらもテンションアップ!
程なくして、竿先を引き込むアタリが!
無事に瀬戸内マダイをキャッチできました♪
とりあえず昨年のリベンジを果たせて一安心です。
その後、船内でも続々と鯛が上がって何だか良い感じに。
モーニングサービス的な時合いで、筆者も良型を1枚追加できました!
しかし、油断していると仕掛けがグチャグチャに……(笑)
釣れているタイミングでやってしまうと時合いを逃すので、仕掛けの管理はきっちりしておきたいですね。
スタートから1時間ほどは誰かしら竿を曲げている状況でしたが、徐々にアタリが少なくなり、筆者も2枚でストップ。
時合いはそう長く続かず、船長が喰いそうな群れを探して船を着けてくれるも中々反応しません。
けっきょく海上もさらに荒れてきたので早めの帰港となりました。
時合いが長く続けば二桁も狙えるようです!
食べるのも醍醐味です
釣果は渋めでしたが、2枚もあれば食べるには十分!
早速お寿司にしてみましたが、鯛はやはり美味いです。
身の旨みが強いですね。
鯛はカルパッチョにも合います。
養殖の鯛よりもあっさりした感じが丁度良いです。
味付けはオリーブオイルと岩塩、ブラックペッパーだけで十分。
釣行した週の週末に友人の結婚式があり、そこで出てきたのが瀬戸内真鯛のポワレ。
まさかの産地まで一緒で、かなり美味しかったので、すぐに真似て作ってみました。
オリーブオイルで皮目をカリッと焼き、バターやオリーブオイルで味付け。
身がフワっとしていて高級感もあり、最高です。
アラで出汁を取って、鯛出汁ラーメンに。
旨みが強く、良い出汁が出ています!
締めの味噌汁も最高です。
とても美味しかったので、今度はもっと釣りたいですね!
仕掛けの扱いに慣れればカンタン!
10m以上の特殊な仕掛けは、慣れるまで扱いに苦労しますが、釣り自体は巻くだけと非常にシンプルでカンタン。
仕掛けの扱いが不安な方は、短めの仕掛けを用意すると良いでしょう。
良い日に当たれば、数釣りも楽しめる釣りですので、ぜひチャレンジしてみてください。