ヒスタミン中毒とは?

ヒスタミン中毒とは、魚が原因で起こる食中毒のこと。
食後に「じんましん」が出たり、嘔吐や下痢、頭痛などの症状を起こすアレルギーに似た食中毒です。
腸炎ビブリオや大腸菌などの細菌を原因とする一般的な食中毒とは発症の原因や予防方法が少し異なります。
赤身の魚が原因になりやすい?

日本国内においてヒスタミン中毒を起こす主な原因となるのは、赤身魚やその加工品がほとんどです。
赤身魚には、カジキやマグロ、カツオやブリ、サバやサンマ、アジやイワシなどが挙げられます。
ヒスタミン中毒が起きるメカニズム

何故、ヒスタミン中毒が起きるのでしょうか?
それは、赤身魚に含まれるヒスチジンというアミノ酸が、ヒスタミン産生菌によってヒスタミンに変換されてしまうからなのです。

モルガン菌などのヒスタミン産生菌が常温で増殖し、魚に含まれるヒスチジンをヒスタミンへ変えてしまいます。
食品100グラム中に、6ミリ以上のヒスタミンが生成されると、食中毒の可能性が出てきます。
それ、ヒスタミン中毒かもしれません
食物アレルギーがないにも拘らず、食後1時間足らずで「じんましん」などの症状が出た場合は、ヒスタミン中毒を疑っても良いかもしれません。
ヒスタミン中毒は、一般的には重症にならずに済むと言われています。具体的にはどのような症状が出るのでしょうか。
皮膚の異常

ヒスタミンを多く含む魚を食べてしまうと、食物アレルギーのようにじんましんが出たり、口の周りなどの顔面や耳が赤くなったりといった皮膚の異常が現れます。
頭痛や発熱、嘔吐や下痢

ヒスタミンが原因で、頭痛や発熱、嘔吐や下痢を起こすケースもあるようです。
しかし症状は重くなりにくく、通常は6~10時間程度で回復に向かうとされています。
重症の場合……

万が一重症化すると、呼吸困難や意識不明に陥る可能性があります。しかし、国内における死亡事例はありません。
ご高齢の方やお子様、体が弱っている時などはヒスタミン食中毒を起こさないよう、特に気を付けましょう。
ヒスタミン中毒の対策方法
ヒスタミン食中毒を起こさないために、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
ここで、ヒスタミン中毒の予防・対策方法などをご紹介します!
過熱すれば大丈夫?

ヒスタミンは、加熱をしても壊れることのない物質です。多くの食中毒の原因菌は、十分な加熱によって死滅します。
しかし、ヒスタミンが一度産生されてしまうと、もうどうすることも出来ません。
冷蔵・冷凍すれば大丈夫?

常温に放置することでヒスタミンが作られてしまうことは前述の通りですが、では、冷蔵・冷凍すれば大丈夫なのでしょうか。
ヒスタミン産生菌の中には、0~10度の低温下でも活動するものがいるため、冷蔵してもヒスタミンの産生を100%防ぐことは出来ません。早めに食べてしまうことが肝心です。
また、冷凍をすればヒスタミンの産生を防ぐことができます。しかし、冷凍前に作られたヒスタミンはそのまま魚の身に残ってしまいます。
常温に放置するのは危険

最も禁忌なのが、魚を常温に放置してしまうことです。常温では、ヒスタミンの産生が多くなることが分かっています。
例え冷凍した魚でも、それまでに常温に置かれていた場合は、ヒスタミンを多く含んでいる可能性があります。
常温に置かれて鮮度の落ちた魚は食べてはいけません。
釣れたらすぐにエラと内臓を取り除こう!

ヒスタミン中毒などの食中毒を起こさないためには、まず何よりも鮮度を落とさないことが大切です。
赤身魚が釣れたら、速やかにエラと内臓を取り除き、しっかりと冷えたクーラーボックスに入れて持ち帰りましょう。
▼ 魚が釣れたらどうする?
食べる時も……

魚を食べた時に、香辛料を使っていないにもかかわらずピリピリとした刺激を感じたら、ヒスタミンを多く含んでいる可能性があります。
まず調味料をつけずに味見をし、もし舌に刺激があったら、食べるのを諦めた方がいいでしょう。
最初が肝心!

釣った魚は最後まで美味しく、安全に味わいたいですよね。ヒスタミンによる食中毒は、加熱・冷蔵しても原因を除去することが出来ない、特殊なものです。
赤身魚を釣ったら適切に処理をして、魚の鮮度を新鮮なままに保ちましょう!また、出来るだけ早めに食べてしまった方が安心かもしれません。







