防水性能が上がったデメリット
メンテナンスの難易度が上がった
防水機構の中には、分解してしまうと効果を失ってしまうものもあります。そのため、メーカーはユーザーによる分解を嫌い、対策のされた製品が増えました。
その結果、ネジの形状が変わったり、注油禁止箇所が増えたりしてユーザーがメンテナンスできる箇所が激減。
とくにラインローラーなどはこまめなメンテナンスが要求される箇所なだけに、逆に耐久性が落ちてしまっているのではないかと筆者は懸念しています。
水が抜けにくくなった
当たり前ですが、水が入りにくいということは、1度水が入ってしまったらなかなか抜けないということです。
以前のリールには水抜き穴が備え付けられていましたが、現在のリールにはほぼ見当たりません。
シャワー洗浄や軽度な水没程度なら全く問題ありませんが、長時間の水没などによって水が浸入した場合は、以前のリールよりも格段に水が抜けにくくなっています。
浸水の疑いがある場合は、以前のリールよりも速やかにオーバーホールに出さなければなりません。
回転の抵抗が増えた
防水機構は、接触型防水と非接触型防水の2通りに分けられますが、接触型防水には回転抵抗が大きくなるというデメリットがあります。
大型番手であれば巻くときにかけるエネルギーが大きいので、摩擦による巻きの重さはそんなに気にはなりませんが、小型番手は影響が大きく出てしまいます。
そのため、繊細な巻き心地が求められるエリアトラウトやアジングの世界では、“防水機構レスチューニング”が流行しました。
また、昔のリールの方が回転が軽かったと、10年以上前のリールが定価以上の価格で取引されていたこともあるのです。
過信は禁物!
デメリットについても言及しましたが、防水性能が向上したことは多くのユーザーにとって“基本的には良いことだらけ”なのです。
しかし、それを過信しすぎると、逆にリールの寿命を縮めてしまうことになりかねません。
どんなに技術が進化しても、リールを大切に扱い、日頃のこまめなメンテナンスを欠かさないことが大切です。
筆者の紹介
佐藤稜真
某リールチューンメーカー在籍時、全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。
中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。