ミナミハタンポとは

ミナミハタンポは、スズキ亜目ハタンポ科ハタンポ属に分類される海水魚です。ミナミハタンポは略されて”ハタンポ”とも呼ばれます。食用では流通しない魚の為、一般的にはとてもマイナーな魚と言えます。
釣りでよく釣れる魚で、見栄えもいいとは言えないため、可哀そうなことに釣れても捨てられてしまったりする不幸な魚ですが、とても美味しい魚ということをご存知でしょうか?今回はそんな南はミナミハタンポについて迫ります。
ミナミハタンポの分布・生息域

出典:PIXTA
ミナミハタンポはその名の通り、日本においては南方に分布する魚です。千葉県以南の沿岸に広く分布しています。特に九州では防波堤で普通に見られるほど生息数は多い魚です。海外にも分布しており、台湾やインド、西太平洋でも見られる魚です。生息域としては内湾の浅い岩礁域を好みます。
ミナミハタンポの生態や食性
ミナミハタンポや夜行性です。釣りにおいては夜釣りで釣れることが多いでしょう。大きな群れを作る習性があり、1匹つれ始めると続けて連続で釣れ続けることも多々あります。肉食性で動物プランクトンから、甲殻類、小魚まで捕食します。
ミナミハタンポの形態

撮影:TSURI HACK編集部
ミナミハタンポや特徴的な体つきをしています。体に対しての目が非常に大きいのが特徴です。体高は高く、卵円形で強く側扁しています。体の後ろ側は尾びれに向かって急激に細くなっています。これによりひし形のような全体像と言えるでしょう。体色は黒がかった銀色です。
外道としてお馴染み?の魚
ミナミハタンポは一般的な知名度は低い、マイナーな魚であるものの、西日本の釣り人にとってはお馴染みの魚と言えるでしょう。波止釣りや時には海のライトルアーゲームでも群れに当たれば連発することがあります。特に夜釣りで出会うことの多い魚です。専門に狙われることはほとんどなく、外道として扱われています。
ミナミハタンポとネンブツダイの見分け方

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ミナミハタンポと共に、波止釣りでよく釣れる外道にネンブツダイが居ます。生息を好む条件が似ているのでミナミハタンポと混じって、外道として釣れてくることがあります。体の扁平具合などの見た目は少し似ているものの、ネンブツダイは茶褐色で目に黒い縦線と、鰓蓋後方が黄色い斑点が特徴で、黒がかった銀色一色のミナミハタンポとはすぐに見分けがつくでしょう。
波止の中でも釣れる条件としてはミナミハタンポのほうがネンブツダイと比べて潮通しのよいところを好みます。防波堤の先端などで釣れることが多いでしょう。反対にネンブツダイは流れのない、漁港の中などに入っていることも多いです。
ミナミハタンポ、実は美味しい魚

撮影:TSURI HACK編集部
ミナミハタンポは波止釣りやルアー釣りの外道として釣れてくる魚ですが、一般的にはリリースされる魚で食べられる魚とは認知されていません。漁においても定置網に入りますが、市場に出回ることはなく、一部の地域を除いて市場価値自体がない魚です。見栄えも美しいとは言えないため、味がほとんど知られてい
ない魚と言えます。
ところが実際は想像を超えて美味な魚です。透明感のある白身でとても脂がのって甘味があります。淡白で癖もありません。骨は柔らかく、少ないため食べやすいというよいところもあります。
ミナミハタンポの刺身

撮影:TSURI HACK編集部
ミナミハタンポは最大でも20センチ程度の魚ですが、ミナミハタンポの巨大サイズを釣ることが出来たらまずは刺身を試してみてください。身が柔らかく心地よい歯触りを楽しめます。脂ものっているので甘味も十分。少し寝かせるとより甘味が出るでしょう。
ミナミハタンポの塩焼き
ミナミハタンポの淡白な白身を堪能するうえでお勧めの食べ方がシンプルな塩焼きです。鱗と内臓をとり、表面の色が変わるまで焼きます。脂がのっているので甘味は勿論のこと、臭みが皆無なので絶品です。下調理も楽なのでたくさん釣れたら塩焼きで賞味してみましょう。
ミナミハタンポの干物
ミナミハタンポを食す地域で昔から食べられているのが干物です。日持ちが良くなるのはもちろんのこと、甘味や味わいが増幅されます。干物の場合は内蔵や頭部を切り落として、鱗をとったものを開きにします。通常の干物を作る手順と同様です。ご飯のお供として病みつきになること間違いなしです。
マイナーだけど美味しい外道

ミナミハタンポは一般にはあまり知られていない魚です。釣り人にとっても”食べられない外道”として扱われてしまっています。しかし実際は美味しく食べやすい絶品魚。人によっては高級魚に匹敵すると評する人もいます。波止釣りからライトルアーゲームでも目にすることの多いミナミハタンポ。是非一度賞味してはいかがでしょうか。