テンスという魚について
テンスは顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系ベラ亜目ベラ科テンス属に分類される海水魚です。市場に流通することはほとんどなく、知名度は非常に低いといえる海水魚です。稀に水族館で飼育されていることもありますが、それでもマイナーな魚種であることには変わりないでしょう。
ただ希少種というわけではなく普通種で、定置網で漁獲されることもあります。釣りにおいても沖釣りで度々釣獲され、釣り人を驚かせることもしばしば。今回はユーモア溢れる姿をしたテンスという魚に迫ります。
テンスの分布・生息域
テンスは大西洋西部からインド洋東部にかけて広く分布しています。温暖な海を好み、あまり水温の低い海域には生息していません。日本においても南日本に生息しています。太平洋沿岸では房総半島以南、日本海沿岸では新潟県以南が分布域になっています。砂泥地を好み、水深25~30メートル以深に生息しています。
テンスの生態や食性
テンスは砂低に住んでいるため、普段は底生動物などを捕食していると言われています。また面白い生態としては、夜休憩するときなどは砂中に潜ります。基本的には全身を砂の中に埋めますが、時には潜り切れずに体の一部が見えてしまっているお茶目な光景もしばしば目撃されます。危険を感じた時にも同じように砂に潜ります。
テンスの形態
テンスは鮮やかな赤色を帯びた体色を持っています。ベラの仲間ということが納得できる体色でしょう。また顔つきも高さはありますが、ベラ類のそれで、体は側扁しています。歯は他のベラ類と同じく鋭いので注意が必要です。先端の二対の犬歯は特徴的です。
テンスとイラの違い、見分け方
テンスによく似た魚にイラが挙げられます。どちらもマイナーな魚である上に、姿かたちはよく似るために釣り上げた時に迷ってしまう釣り人も多いでしょう。一番簡単に見分ける方法は斑点と縞模様の違いです。テンスには背びれの直下にひとつの斑点が存在します。イラは胸鰭から背びれにかけて黒い縞模様が伸びます。テンスは斑点、イラは縞模様で覚えましょう。