青物の巣窟
京都府北部に位置する丹後地区は、青物の魚影が非常に濃く、明石と並ぶ関西の人気ジギングフィールドです。
しかし、明石とは正反対と言って良いほどフィールドの特性が違い、タックルや釣り方もまったく異なります。
本記事では、丹後エリアのタックルや釣り方を解説し、ジギング船を一覧で紹介します。
丹後エリアの特徴
丹後エリアは潮汐による干満差が少ないため、潮の流れが弱く、潮の動き方を読めない海域です。
そのため、潮周りから魚の活性が上がるタイミングを判断できず、実際に釣りをしてみないと分かりません。
また、潮が走らないので2枚潮も頻繁に発生し、これらの状況を攻略するために丹後ジャークが生み出されました。(丹後ジャークについては後述)
その一方で青物の魚影は濃く、ハイシーズンには10kgオーバーをコンスタントに狙え、時には船中100匹を超える釣果が出ることもあります。
丹後のジギングシーズン
丹後は1年を通してジギングを楽しめ、シーズンに関係なくタイミングが合えば10kgオーバーが釣れ、数釣りも楽しめるフィールドです。
その中でもハイシーズンは春と秋で、春(3〜5月頃)はイワシの群れに付いたブリを狙いやすく、秋(9〜12月頃)はアジやイカ、イワシなどに付いたハマチの数釣りを楽しめます。
夏(6〜8月)も青物自体は釣れますが、近年はケンサキイカ狙い(イカメタル)で出船する船が多くなり、ジギングでの出船が少なくなるので注意しましょう。
冬(1〜2月)の日本海は季節風の影響で荒れやすく、出船率がかなり低くなりますが、出船できれば脂の乗った寒ブリやサワラを狙えます。
とくに秋は数を釣りやすいので、ジギングデビューや丹後デビューにおすすめです。
丹後のタックル
ここからは丹後のジギングに適したタックルを解説します。
ロッド
丹後は船をドテラで流し、ハイピッチ系のアクションを主体とするので、スピニングタックルを使うのがセオリーです。
200g前後のジグをしっかりジャークし、ブリをリフトできるパワーを備えた#4クラスのロッドがおすすめ。
スピニングタックルでシャクり続けるのは体力的な負担が大きいため、サブでベイトタックルがあると疲れた時に重宝します。
リール
シマノ・ダイワとも、8000〜10000番のスピニングリールが最適です。
ハイギアで1日中シャクり続けるのは体力的な負担が大きいため、巻き上げトルクの強いローギア(パワーギア)が推奨されています。また、同じ理由で6000番サイズも不向きです。
ハードなジャークとファイトが多いので、できればハイスペックなリールを選びましょう。
ライン
2〜2.5号のPEラインを最低でも300m巻いておきましょう。
強度が高くて表面が滑らかな、8本撚りのラインがおすすめです。
ショックリーダーは、フロロカーボンの8〜10号程度を3ヒロ程度(約4.5m)接続します。
おすすめのメタルジグ
ジグは150〜250g程度を用意しておき、船の流れ方や水深に応じて使い分けましょう。
シルエットはセミロングをベースに、ショート系もいくらか準備しておいてください。とくに青物がイカを捕食しているときは、ショート系のジグが有効です。
カラーは、シルバー系とゴールド系の2パターンで考えておけば問題ありません。
以下で、丹後エリアで人気のジグを紹介します。
シマノ スティンガーバタフライ キングスラッシャー
細身で引き抵抗が少ない、センターバランスのロングジグです。
ジャークすると大きくスライドし、ヒラを打ちながら水平フォールするので喰わせる間もとりやすくなっています。
上下左右が非対称なので、時折イレギュラーに動くことも特徴。
比較的リーズナブルなのも魅力です。
ラインナップ | 120-240g |
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ダイワ ソルティガ FKジグ
フォールでのフラッシング性能にこだわった、左右非対称のショートジグです。
ややフロント寄りのセンターバランスに設計されており、横を向いた時に一瞬ポーズして捕食スイッチを入れます。
シルエットがコンパクトなので、ベイトがアジやイカの時におすすめです。
ラインナップ | 110-250g |
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ウロコ ウロコジグ オリジナル
幅広い使い方に対応するセンターバランスのセミロングジグです。
軽い力でジャークするだけで、クイックなダートアクションを発生。
テールのへこみが水を噛むのでジグが横を向きやすく、簡単に水平フォールを演出できます。
速い誘いでも遅い誘いでも使いやすい万能ジグです。
ラインナップ | 80-400g |
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セカンドステージ セカンドジグ ヤイバ
「誰が使っても釣れる、使いやすい」がコンセプトのセミロングジグ。
フラットなボディが潮を受け流すため、引き抵抗が非常に軽いです。
リーリングだけでも綺麗に泳ぐので、小さなロッドアクションでもしっかりアピールできます。
フォール時はフラットなボディがフラッシングします。
ラインナップ | 140-320g |
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ロッツオブアート ナムジグ ジョーカー
コンビネーションジャークに対応する、センターバランスのショートジグです。
ダートがイレギュラーで、側面のS字ラインによってスパイラルフォールを演出します。
また、ただ巻きでもバイブレーションするため、コンビネーションジャークをするとこれらのアクションが混じって艶かしく動きます。
ラインナップ | 80-200g |
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アングラーズリパブリック ジガロ
ロッドワークへのレスポンスに優れる、左右非対称のセンターバランスジグです。
ワンピッチジャークでは、バタつきを抑えた水を切るようなスライドアクションを発生します。スライド後は水平フォールでバイトを誘発。
ソフトにジャークすれば、ナチュラルなスイムアクションも演出できます。
ラインナップ | 60-300g |
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丹後ジギングの釣り方
丹後は明石のように船は立てず、風と潮に任せて船を流す“ドテラ流し”が一般的です。
着底後は素早く糸フケをとってから、速巻き・ワンピッチジャーク・ロングジャークを組み合わせ、船長の指示棚までシャクり上げます。
ちなみに、丹後は中層まで感度が出る(水深100mの30mラインなど)ことも多く、シャクり上げる距離が長いことも特徴です。
糸が斜めになりすぎてジグが大きく船から離れると、アクションをしにくく、狙いのレンジからも外れやすくなるため、ある程度流れたら一旦回収して再投入しましょう。
丹後ジャークの意味
丹後ジャークは、速巻きでジグに初速を与え、そこからロングジャークで大きくスライドさせるアクションです。
これには、ラインを常に張る(2枚潮対策)、広範囲に強くアピールする、青物に捕食スイッチを入れる、といった意味があります。
つまり、潮がなくて低活性なことが多い丹後エリアを攻略するにあたって、合理的なアクションというわけです。
もちろんシンプルなワンピッチジャークで釣れる時もありますが、ぜひマスターしてみてください。
丹後ジギングに挑戦してみた
ここからは、筆者が11月中旬に丹後へ釣行した時の模様を紹介します!
当日は雨が降ったり止んだりの不安定な天候、小潮周りでした。
お世話になったのは、宮津田井ヨットハーバーから出船のEbisuさん。
「青物上向いてきたよ〜」という船長の言葉に期待しつつ、午前9時頃にいざ出船!
ポイントの白石グリまでは、1時間ちょっとほど走ります。
雨は相変わらずの降ったり止んだりで、風も強くて少し荒れ模様。
少しハードモードですが、釣りスタート!
釣れるかな〜?
水深は100m前後、「ボトムから30mほどを探ってみてください」との指示。
速巻きからのロングジャークとワンピッチジャークを織り交ぜた、丹後らしいクションでファーストヒット!
パワフルな引きで上がってきたのはメジロ!
深いところから青物を上げてくる楽しさも丹後ジギングの魅力のひとつ。
開始から1時間ほどで活性が上がってきたのか、船中でも続々と青物が上がります!
釣れそうなタイミングだったので、電動ジギングに切り替えてペースアップを試みます!
より速く巻けて回収も楽な電動タックルは、丹後ではメリットが大きそうです。
着底後、速巻きしながらのワンピッチで誘い続けます。
回収も速いので、投入回数も増えます。
200mほど流し、長い距離をひたすらワンピッチで誘い続けるとヒット!
電動タックルはカウンターが付いているので、どれくらい流しているかが判りやすいのも利点ですね。
じつは、この前に1匹ヒットさせたのですが、バイトの衝撃でラインブレイク。電ジギは、ちょっと太めのライン&緩めのドラグ設定がおすすめです。
ハマチをゲット!
青物は高活性な様子で、船中ではスピニングでも電動でもベイトでも釣れています。
電動ジギングで少し楽をしたので、もう一度スピニングタックルに持ち替えて後半戦へ。
後半戦は青物の活性がさらに上がり、船中はお祭りモード!
ハマチ・メジロがどんどん釣れ、皆さん続々と魚をリリースしています。
筆者もスピニングタックルでハマチを2本キャッチ。ヒットジグはウロコジグ200gでした。
今度は速めのただ巻きオンリーで誘っていると、またまたヒット!
リールの回転をドンっと止められました!
80cmちょうどのギリギリブリをキャッチできました!
ジャークもファイトもハードですが、気持ちの良い疲労感です(笑)
ここで船のクーラーが満タンになったので、この日は早上がりになりました。
結局、船中の釣果は50本を超え、リリースしながらも大漁の釣果!
筆者もハマチ3本・メジロ1本・ブリ1本と、丹後のジギングをバッチリ堪能しました。
毎回こんな釣果とはいかないでしょうが、またチャレンジしたいですね。
丹後のジギング船まとめ
最後に、丹後エリアでジギングが楽しめる船宿を紹介します。
Ebisu
翔舞丸
ワープゾーン
青龍
ハピネスⅡ
ドリームチェイサー
ENS
ポセイドン
宮本丸2
まるいち丸
オーシャンブルー裕凪丸
アルバトロス
ブルーウォーター
和丸
LUSTER(ラスター)
釣船FALCON
WAKAMARU Ⅱ
丹後のジギングは楽しすぎ!
明石に比べて体力的にタフなフィールドですが、ジギングらしいスポーティーな釣りを楽しめるのが丹後エリアです。
ジャーク中にガツンとくるアタリを一回体感すると、病みつきになってしまうはずです!
釣期も長く、魚影も非常に濃い釣り場なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。