ジギングにベイトリールを使う理由とは?

ジギングに使うベイトリールは、近海から中深海、大物釣りと、対象魚や釣り方によってその選択肢は多岐に渡ります。
その釣りごとにベイトリールに求められる要素は大きく異なるため、釣り物に合った適切なベイトリールを選ぶことが大切です。
本記事では、元釣具屋の筆者がジギング用ベイトリールの選び方を解説し、おすすめの機種を紹介します。
リール選びにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
ベイトリールの構造的な利点について
ベイトリールが活躍するシチュエーションについて
ジギング用ベイトリールの選び方
リール選びのポイント
サイズ(番手・糸巻き量)

ベイトリールのサイズは水深やターゲットによって適切なものが異なります。
近海ジギングと深場・大物狙いに分けて、それぞれに適したリールサイズを解説します。
近海ジギングには小型ベイトリール

水深が100mより浅く、ターゲットがブリクラスまでなら、PE2〜3号を200mほど巻けるサイズを目安にしてください。
2号以下の細糸を中心に使うライトジギング(近海青物・タチウオなど)では、シマノの200〜300番、ダイワの100〜200番程度が適しています。
大型青物の魚影が濃くて2号以上のラインを使う場所では、シマノの1000〜1500番、ダイワの10〜15番がおすすめです。
深場・大物狙いには大型ベイトリール

深場・大物狙いのジギングでは、レベルワインダーが無い大型ベイトリールを用います。
大型青物や水深300m前後の中深海(アカムツなど)を狙う場合は、シマノの1500〜2000番、ダイワは15番を選んでください。
それ以上の深場や大型魚を視野に入れる場合は、シマノの3000〜4000番、ダイワの35番といったサイズが必要です。
リールのタイプ

ベイトリールのボディ形状には、ロープロファイル型と丸型の2種類があります。
一昔前までは丸型しかありませんでしたが、近年はロープロファイル型の人気も高まっています。
ロープロファイル型

ボディが扁平形状かつコンパクトなので握りやすいことが特徴です。また、樹脂が多く用いられているので、軽くて低価格なことも大きなメリット。
近海のライトジギング向きのリールに多い形状で、パワーよりも操作性を優先させたい釣り物におすすめです。
丸型に比べて剛性と巻き上げ力が低いことが弱点ですが、最近は青物も十分に狙える剛性が高いモデルも増えてきました。
丸型

金属製のものが大半を占める丸型リールは、ボディの剛性が高く、大きなギアを搭載できるので巻き上げ力が強い特徴があります。
そのため、重たいジグを使う時、深いポイントを狙う時、大きな魚が掛かった時にはロープロ型より力強く巻き上げることが可能。
重くて高額なことが弱点なので、小型番手を検討する際はロープロファイル型と持ち比べて比較してみてください。
レベルワインドレスの丸型

シマノの1000番、ダイワの10番以上の大型ベイトリールには、レベルワインド(偏りなく糸をスプールに巻くための機構)がありません。
そのまま糸を巻くとスプール内で糸が偏るため、ジグの回収やファイト時には指で糸を捌きながら巻く必要があります。
糸捌きには少々慣れがいりますが、大型青物や大型根魚、中深海にはレベルワインドレスの大型リールを使ってください。
レバードラグ

ベイトリールはクラッチ式が一般的になっていますが、ジギングではレバードラグタイプのベイトリールも使われます。
レバードラグリールにはクラッチが存在せず、ドラグの調整やスプールフリー状態への切り替えもレバードラグで行うのが特徴。
スタードラグよりも、ドラグの設定を素早く正確に調整できるのがメリットで、マグロジギングやカンパチジギングといった大物釣りで好まれます。
▼レバードラグリールを特集した記事です
ギア比(巻き取りスピード)

ジギングはジグの回収距離が長く、ジグに初速を与えることが求められるため、ハンドル1回転当たりの巻き取り量が多いハイギアモデルがおすすめです。
ハイギアは巻きが重たくなるデメリットがありますが、ベイトリールはそもそもの巻き上げ力が強いため、巻き重りは気になるほどではありません。
ゆっくりと巻きたい方や、力に自身がない方はノーマルギア(パワーギア)もアリですが、まずはハイギアモデルを選ぶのがセオリーです。
使って良かった!おすすめのジギング用ベイトリール9選
ここからは、筆者&編集部が実際に使って良かった、おすすめのベイトリールを紹介します!
ぜひリール選びの参考にしてみてください。
シマノ グラップラー 300HG
自重(g) | 325 |
---|---|
ギア比 | 6.2 |
最大ドラグ力(kg) | 7 |
巻取り長さ(cm) | 84 |
PE糸巻量(号-m) | 3-250 |
「このリールはめちゃくちゃ優秀やで!」と、馴染みの釣具屋が熱弁するので買ってみたグラップラー300。
実際に使ってみると、まさにその言葉通り! コスパ抜群のライトジギングリールでした。
主な用途は、タチウオジギングやベイエリアの青物ジギング、タコ釣り。

一昔前のロープロタイプといえば、剛性・耐久性・巻き上げ力が不足していて、なかなかジギングには使えませんでした。
しかし、グラップラー300なら、丸型のオシアコンクエストとまったく同じ用途で使えます!
しかも軽くて握りやすくて、安いときたら……。間違いなく、買って損は無い1台です!
by 編集長しみけん
▼グラップラー300のインプレ記事です
シマノ オシアコンクエスト 300XG
自重(g) | 355 |
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ギア比 | 7.5 |
最大ドラグ力(kg) | 7 |
巻取り長さ(cm) | 101 |
PE糸巻量(号-m) | 1.5-500 |
ベイエリアの青物ジギングでの主力となっているのが、オシアコンクエスト300XG!
グラップラー300よりも重くて高価ではありますが、丸型特有の剛性やレベルワインドのシンクロ機能を備えており、絶対的な性能ではやはりオシコンに軍配が上がります。
長年にわたってベイジギングのど定番となっているだけあって、こちらも間違いの無い選択です。

23モデル最大のトピックは、“100cm/1回転”を巻き上げるXGモデルの登場でしょう。
ジグの初速を上げやすいので、とくにロングジグをスライドさせる釣り方には好相性!
ただし、XGゆえにトルクが薄いため、青物ジギングなら“150gメイン・MAX200g”ぐらいが快適に使えるボーダーだと感じました。
それより負荷が大きくなる場合は、HGモデルかオシアジガーがおすすめです。
by 編集長しみけん
▼オシアコンクエストのインプレ記事です
ダイワ ソルティガIC 300H-SJ
自重(g) | 405 |
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ギア比 | 7.3 |
最大ドラグ力(kg) | 10 |
巻取り長さ(cm) | 98 |
PE糸巻量(号-m) | 2-400 |
カウンター付ベイトリールの中でも、とくにジギングで人気なのがソルティガICです!
新しい設計思想であるハイパードライブデザインに基づき、各性能が非常に高いレベルで実現されています。
高剛性な丸型金属ボディに新設計のギアを搭載した恩恵か、巻きの軽さと静粛性には驚かされました!
300gのメタルジグも、ウィンチを巻いているような感覚でスルスル巻けるので、ちょっと深場のスロージギングなんかもできてしまいます。

カウンターを搭載しているのでボディはやや大柄ですが、形状が工夫されており、大きさを感じさせない握り心地です。
青物ジギングやスロージギングには300番がおすすめですが、タチウオジギングやライトジギングがメインなら軽い100番もおすすめ。
「ジギングはしんどい」というイメージがある方に、ぜひ使ってもらいたいリールです!
by tsuki
▼ソルティガICのインプレ記事です
シマノ オシアジガー Fカスタム 1500HG
自重(g) | 430 |
---|---|
ギア比 | 6.4 |
最大ドラグ力(kg) | 7 |
巻取り長さ(cm) | 98 |
PE糸巻量(号-m) | 2-500 |
ジギング用ベイトリールの代名詞とも言えるのが、シマノのオシアジガーシリーズです。
どの点をとっても良くできているのですが、特筆すべきはその耐久性。
かれこれ4年以上、青物ジギングから中深海のスロージギングまで幅広く使っていますが、まったくトラブルがありません!

Fカスタムはフォールレバーが付いており、ジグのフォールスピードを変化させられるので、とくに根魚狙いのスロージギングでは有効です。
一般的な青物ジギングや中深海の根魚なら1500番で十分ですが、トンジギやカンパチジギングには2000番がおすすめ。
安いリールではありませんが、使用感や汎用性、なにより耐久性を考えるとコストパフォーマンスは非常に高いと思います!
by tsuki
▼オシアジガー Fカスタムのインプレ記事です
ダイワ ソルティガ 15-SJ
自重(g) | 480 |
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ギア比 | 6.3 |
最大ドラグ力(kg) | 10 |
巻取り長さ(cm) | 103 |
PE糸巻量(号-m) | 3-400 |
“そのカテゴリー”でオシアジガーが圧倒的に人気なのは事実ですが、22年モデルのソルティガ15はぜひ使ってもらいたい1台!
最大の特徴は、従来の15番と35番の中間的なサイズ(オシアジガー1500と2000の中間に相当)に設計されていること。
つまり、従来の15番より巻き上げトルクが強く、汎用性も高まっているわけです。

ベイエリアや中深海ジギングはもちろん、100m以深のディープドテラなんかもOK!
旧15番よりボディは少し大きくなっていますが、フレームをスプール側へと傾斜させることで、コンパクトに握れるようになっています。
SJモデルはカーボンハンドルを搭載していて繊細な操作が可能ですが、なかなか高価なので、コストパフォーマンス重視の方にはノーマルモデルがおすすめです。
by 編集長しみけん
▼ソルティガ15のインプレ記事です
スタジオオーシャンマーク ブルーヘブン L50Hi AE85
自重(g) | 515 |
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ギア比 | 6.3 |
最大ドラグ力(kg) | 10 |
巻取り長さ(cm) | 110 |
PE糸巻量(号-m) | 3-650 |
SOMのブルーヘブンは、根強い人気があるレバードラグリールです。
レバードラグの中ではかなり軽い部類で、筆者が使ったのはハイギアモデルでしたが、メジロクラスでは相手にならないほどの巻き上げトルクでした!
「ドラグの特性にややクセがある」とも言われますが、あまり気になるレベルではないと思います。

巻きの滑らかさは、オシアジガーやソルティガと比較するとイマイチですが、そこはブルーヘブンに求めるものではありません(笑)
構造がシンプルなのでセルフメンテナンスもしやすく、スプールの交換も簡単です。
高価ですが、カラーやハンドル等の仕様が異なる限定モデルも多く、道具好きの方なら所有欲も満たされると思います。
by tsuki
▼ブルーヘブンのインプレ記事です
エイテック マーフィックス C3
自重(g) | 660 |
---|---|
ギア比 | 4.8 |
最大ドラグ力(kg) | 8 |
巻取り長さ(cm) | 100 |
PE糸巻量(号-m) | 1.5-1200 |
マーフィックスはロングセラーのレバードラグシリーズです。
大柄で自重も660gと重めなのですが、これでもシリーズの中では一番ライトなモデル。
この大柄なボディによって大きなスプール&ギアを搭載でき、それによってローギアながら100cm/1回転の巻き上げ量を確保しています。
つまり、巻き上げ量を基準に考えると、「他のリールよりもめちゃくちゃトルクが強い」ということ!

カーボンドラグワッシャーを用いており、ドラグの動作も非常に滑らか。
PE1.5号で20kgクラスのキハダマグロを掛けましたが、難なく船縁まで寄せられて驚きました!
また、シンプルな構造なのでメンテナンスしやすく、ギアが分厚くて頑丈なので耐久性もGOOD。
軽さや握りやすさはイマイチですが、強さやパワーを重視する方にはおすすめの1台です!
by tsuki
▼マーフィックスのインプレ記事です
マクセル レイジ R25H
自重(g) | 401 |
---|---|
ギア比 | 6.2 |
最大ドラグ力(kg) | 7.6 |
巻取り長さ(cm) | 93 |
PE糸巻量(号-m) | 1.5-600 |
レイジR25はベイジギングでも扱いやすい、コンパクトなレバードラグリールです。
自重はオシアジガー1500とほぼ同じですが、ボディの幅が狭く作られており、握り込みやすくなっています。
手の小さな方でもホールドしやすく、操作性は抜群!

小型ながらも、カーボンドラグワッシャーがスプールの両端に配置されており、ドラグの安定性も文句なし。
取り扱いしている店舗が少ないのが難点ですが、その分人と被りにくく、デザインが個性的なのも魅力です。
by tsuki
▼レイジのインプレ記事です
ジギング用ベイトリールのメンテナンス

使用後は、一般的なリールと同様にできるだけ早く、流水で汚れや塩分を洗い流しましょう。
お湯での洗浄はグリスを流してしまうので厳禁です。
洗浄後は、風通しのよい日陰で乾燥させてください。その際、リールの下部に水抜き穴があるため、水抜き穴を下側に向けて置きましょう。

レバードラグリールは作りがシンプルなものが多く、セルフメンテナンスも可能です。
展開図などを参考にすると、あまり難しくありませんよ。
ベイトリールを使いこなそう!

ジギング用ベイトリールを選ぶ際は、対象魚・釣り方・水深・ラインの太さを考慮して、適切なものを選ぶことが大切です。
不要に大きいリールを使っても、小さいリールを使っても快適に釣りをすることはできません。
ぜひ、本記事を参考にして釣り方に合ったベイトリールを選んでくださいね!
撮影:TSURI HACK編集部 / tsuki
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