GT(ロウニンアジ)釣りの魅力
南国の真っ青な海、20センチを超えるルアーをフルキャスト、豪快に上がる水柱、想像を超える強烈な引き! ルアーフィッシング最大級ターゲットのひとつ「GT(ロウニンアジ)」。そのやりとりは一度味わうと忘れられない魅力をもっています。
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そんなGTフィッシングの魅力とともに、初めてチャレンジするために知っておきたい“GTの生態” “釣るためのロッド・ルアーなどのタックル” “実際の狙い方やポイント”をまとめてご紹介します。
GT釣りのルーツ、そして世界記録
古くはハワイのオフショア、パラオの磯釣りなどからはじまったと言われています。日本におけるGTフィッシングは1980年代頃から始まり、GTタックルを中心に商品をリリースするメーカー「FISHERMAN」鈴木文雄氏がGTフィッシングのパイオニアの一人と知られています。当時はナイロンラインでGTを狙っていたそうで「PEライン」が定番の現在からは考えられない時代です。
GTの釣りは、船からルアーのキャスティングで狙うことがほとんどですが、餌釣りでも狙うことができます。条件は絞られますが国内ではトカラ列島の堤防、また沖縄では河川などでも狙うことも可能です。
GT釣りの特徴
まず、簡単には釣れる魚ではありません。また食用価値が低いため詳しい研究が行われず、正確な生息数は公開されていませんが、絶対数はそう多くないと思われます。
そういったこともあり、ルアーでGTを狙う場合は、食べる目的ではなく「キャッチ&リリース」が前提です。これは今後もGTフィッシングを続けていくためにも必要なルールです。
キャッチ後は、船にのっている全員が協力し、船のデッキを海水でぬらし、GTのエラからホースをいれてエラ呼吸させ、計量、撮影など、釣り上げるだけでなく、リリースのためにも最善を尽くします。
GTの生態
まずはGTの名前の由来や生態、生息地域などをみていきます。
名称、名前の由来
GT(ロウニンアジ)は「Giant Trevally」(ジャイアントトレバリー)の頭文字をとって「GT」と呼ばれます。
ビッグフィッシュハンターで知られる大久保幸三氏は、ロウニンアジへの強い思いから「魚強」でGTという造語をつくってしまうほどです。
生態
スズキ目アジ科ギンガメアジ属のロウニンアジは、アジの仲間では最も大きい部類です。一般的に釣れるサイズは20〜30キロクラスですが、50キロオーバーが釣り上げられることもあります。
性質
成魚になったGTは外洋の沿岸域、水深100メートルまでの浅い海に生息しサンゴ礁の際「リーフエッジ」や海底へと続く急斜面、断崖の「ドロップオフ」などを回遊しています。
肉食性で幼魚のときはイカ・タコなどの頭足類も捕食し成魚になると小魚を捕食します。
生息地域
インド太平洋海域に分布し、日本近海では小笠原諸島、なかでも鹿児島県、沖縄県はGTが釣れることで有名です。
幼魚時代には黒潮とともに関東地方沿岸にまでやってくることもありますが、冬には低水温のためにほとんどが死滅してしまいます。
釣れる地域
GTが釣れる地域としては、世界的にはインド太平洋海域など熱帯・亜熱帯地域に分布する、モルディブ・パラオ・バリ・コモド・オーストラリア・ミャンマー・アンダマン・クリスマスなど、日本国内では種子島・奄美・トカラ列島・沖縄本島、宮古、石垣、与那国、小笠原などが有名です。
釣れる場所のシーズンなど
■日本
沖縄やトカラ列島など国内の場合、3月〜11月くらいがGTを狙いやすいシーズンで、水温が23度を超えるくらいから活性が上がるようです。なかでも産卵期と適水温が重なる4月〜6月、台風シーズン後がよいとされます。
真夏はGTを狙えないこともないですが、正直なところ人間のほうが暑さにまいってしまいます。
■世界
・モルディブ
乾季の11月〜4月が狙い目。ただし、雨季でも釣れる。
・パラオ
乾季の11月~5月がおすすめ。
・バリ
1年中狙えるが、日本の冬期にあたる雨季の11月~3月がおすすめ。
・コモド
雨季にあたる主に10月~3月。乾季は冷たいの風の影響で水温が下がりGTの活性が低くなる。
・オーストラリア
凪の日が多い雨季の10月~1月。雨季といっても1日中降ることはないそう。
・ミャンマー
12月~5月くらいまでシーズンが狙い目。
・アンダマン
ベストシーズンは乾季にあたる1月~4月頭くらい。
・クリスマス
年中風は吹いているが、1年中OK。
GTを釣るためのタックル
豪快なキャストだけでなく、繊細なアプローチとルアーアクションも必要となるGTフィッシング。100グラムを超えるルアーを1日中何百投と繰り返しますので、かなり体力を消耗します。ここでは非常に重要になってくるタックル選びの基準や、最初に揃えておきたいルアーの種類とともに、揃えるべきGTタックルやアイテムをご紹介します。
ロッド | GTキャスティング用で販売されている8〜8.6フィート前後 |
大型スピニングリール | シマノ10000〜14000番、ダイワ5000〜6500番クラス 使用ラインが200メートル以上巻けるもの |
ライン | PE6〜10号クラス |
ナイロンリーダー | 130〜220ポンドクラスをリールに巻き込まないか、一巻きする程度の長さ |
ルアー | ダイビングペンシル・ポッパー・シンキングルアーなど 重さが80〜200グラム程度 |
ロッド
初めてGTフィッシングに挑戦する方であれば、いきなり大きなポッパーを扱うようなパワー重視の硬いロッドですとキャストや魚とのファイトが体力的にきついと思います。
まず最初の一本を選ぶのであれば、90グラム〜120グラムあたりのペンシルベイトが扱える、GT用キャスティングの比較的柔らかめのもの、もしくはヒラマサキャスティング向けのロッドが扱いやすいでしょう。
GTフィッシングにはまってしまい、次のもう一本が欲しいとなったとき、自分好みのキャストフィールや釣りのスタイルからロッドを選択しましょう。
ペンシルベイトから小口径ポッパーを扱え、GT・マグロ・ヒラマサにも!
ヤマガブランクス ブルーリーフ 80/8 Dual
自重:400g
継数:2本
ルアー重量:Max 160g
適合ライン(PE):Max 8号
安定した遠投性能と曲げて獲るスタイルに
シマノ オシアプラッガー BG モンスタードライブ S86ML
自重:452g
継数:2本
ルアー重量:Max 160g
適合ライン(PE):Max 8号
優れた携帯性能で遠征の釣りに最適!
ダイワ ソルティガ エアポータブル C83XHS
自重:460g
継数:3本
ルアー重量:40-120g
適合ライン(PE):4-8号
1日中振り切れる軽さとシャープなキャスト性能
リップルフィッシャー ウルティモ 83M Nano
自重:362g
継数:2pcs / グリップジョイント
ルアー重量:MAX 170g
適合ライン(PE):MAX 7号
リール
使用するラインが200メートル以上まけ、ドラグ性能が良く、できるだけ重量が軽いものがオススメです。またポイント移動の際など波風でバンバンと潮をかぶりますので耐久性が高いものがよいです。
ステラSWの構造を随所に採用
シマノ 15 ツインパワー SW 14000XG
自重:650g
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:134cm
PE糸巻量(号-m): 6-300/8-200/10-165
シマノ史上最強のスピニング!
シマノ 13 ステラ SW 14000XG
自重:690g
最大ドラグ力:25kg
巻取り長さ:134cm
PE糸巻量(号-m): 6-300/8-200/10-165
マグシールドがもたらす耐久性
ダイワ 15ソルティガ 5000H
自重:625g
最大ドラグ力:15kg
巻取り長さ:121cm
PE糸巻量(号-m): 4-400/5-300/6-250
ダイワ究極のソルトルアーゲーム用
ダイワ ソルティガ エクスペディション 5500H
自重:635g
最大ドラグ力:15kg
巻取り長さ:121cm
PE糸巻量(号-m): 5-350/6-270
クロマグロにも対応する糸巻き量
ダイワ ソルティガ 6500H
自重:835g
最大ドラグ力:30kg
巻取り長さ:131cm
PE糸巻量(号-m): 5-500/6-400/8-300
ルアー
現在ではダイビングペンシル・ポッパー・シンキングルアーといった3種類のルアーを主に使いGTを狙います。
GTフィッシング用のルアーといえば、一昔前は高額かつ生産量の極めて少ないウッドプラグしかありませんでしたが、ヒラマサやマグロキャスティングゲームの流行以降、プラスチック製ルアーの種類がだいぶ増えてきました。
基本的にはダイビングペンシルを使うことが多いですが、状況や場所によってポッパー、シンキングルアーを使い分けてみてください。各タイプごとに数個ずつ用意されると良いでしょう。カラーはご自身が「これだ!」と思ったもので最初は問題ないと思います。
また重量のあるルアーの長時間のキャスティングは体力的に厳しいですので、これからGTフィッシングをはじめられるのであれば、まずは100グラム以下のルアーを選ぶとよいと思います。
■ダイビングペンシル
カーペンター社「GTγ(ジーティーガンマ)」などに代表されるルアーです。キャスト後、ロッドワークでルアーをジャークし、水面、もしくは水面直下を泳がせます。ジャークしきったら糸ふけを巻き取ります。ジャークの長さ、ポーズの時間など状況に合わせてアクションを使い分けていきます。
アクションさせるときに大事なポイントは、ルアーが転がらずに水面にからんでアクションするよう丁寧に引いてくることが大事です。
使うポイントは水深が深すぎる場所以外、全般的に投げることが多いルアーです。ナブラに向かってキャストし、しばらく放置という使い方でもGTがバイトすることがあります。
「安定のダイビングアクション」
「大型狙いのビッグシルエット」
シマノ オシア ワイルドレスポンス 240F
自重:137g
フック:ST-66 #4/0推奨
SPリング:ヘビークラス 200lb
「アベレージが小型な地域に」
「ウッドに迫るダイビングアクション」
■ポッパー、スイミング系ポッパー
代表的なルアーにハンマーヘッド社「Ecup」などのポッパー、「しゃくれローター」とスイミングポッパーがあります。
ポッパーのアクションの基本はポッピングし、ポーズ。その繰り返しになります。「ボコーン」といった感じで泡と音でGTへアピールします。
泡が丸くでるもの、飛沫を出すものなどのタイプがありますが、基本的な動かし方は変わりません。
スイミング系のポッパーはポッピングさせた後、そのままロッドをジャークしたり、リーリングで水中をダートさせた後、アクションをとめ、水面に浮いてくるのを待ちます。
ダイビングペンシルに比べるとアピールが大きいので、乗船しているメンバー全員がダイビングペンシルを投げている中、よりアピールしたいときや、外洋よりの水深があるポイントなどで使います。
■シンキングルアー
GTはトップウォーターで狙うことが当たり前でしたが、ここ数年ではシンキングルアーを使う状況も多々見られます。
カーペンター社「パンドラ」、マングローブ社「ベベルスイマー」がGT用シンキングルアーにあたります。
基本はキャスト後、任意の水深まで沈め、早巻きをします。トップ系のルアーと違いアクションは一番シンプルです。その反面、GTフィッシングの醍醐味のひとつであるバイトシーンが見られないといった点もあります。
リーフ周りなどの浅いポイントだと根がかる確率が高いので、こちらも水深があるポイントやGTが水面までできらない状況で使います。
「トップにできらないそんなときに」
ライン&リーダー
PE6〜8号を巻くことが多いですが、根ズレの多いポイントやベテランの方は10号、12号を使うという方もいます。当然細いほうが飛距離がでますが、キャストし続けるGTフィッシングではスレなどに対する耐久性も重要となってきます。
初めての方がPE8号で投げても、なかなか飛距離を出すことが難しいと思いますので、まずは飛距離を優先しPE6号を選んでみてください。
リーダーはナイロンのもので130〜220ポンドクラスが多く使われますが、PE6号であれば130〜170ポンド、PE8号であれば170〜210ポンドクラスを合わせるのがよいと思います。
■PEライン
「GTゲームに特化した張りと視認性・耐久性」
「耐摩耗性能と耐久性が従来PEラインの200%以上アップ!」
「キャスティング精度と耐磨耗耐久性を追求」
■ナイロンリーダー
フック
各メーカーの大物に対応した太軸フックで3/0〜7/0クラスから、ルアーのサイズ・重量に合わせてメーカー推奨のフックサイズを選んでみてください。最近ではトレブルフックだけでなく、ヒット後のバラしが少ない、魚へのダメージが少ないということでシングルフックも増えてきました。
■トレブルフック
■シングルフック
接続金具
ルアーとリーダーとの接続には溶接リングとスプリットリングをつなげたものや、ベアリングスイベルなどを使います。
サイズが大きすぎるとルアーの動きに影響がでますので、#6〜#8のサイズで変形強度が100ポンド以上のものを選んでみてください。またルアーとフックの接続にも150〜300ポンドクラスのスプリットリングでルアーとのバランスを合わせて選ぶのがよいでしょう。
プライヤー
GTルアーのフックをとりつけるスプリットリングは、150ポンドから250ポンドクラスなど大きいので、大型スプリットリングがあけられるプライヤーがあるとよいでしょう。
ギンバル
GTとのファイトは背筋を中心に、全身と体重移動を使って魚をリフトアップします。ギンバルなしではロッドエンドを当てる下腹部を痛めてしまいますので自分にあったギンバルの選択とベルトの調整を事前に行っておいてください。
GTを船から狙うポイント
リーフエッジ・ドロップオフ・根回り・スリット・水中の壁といったGTがついていそうなポイントに対し、船が離れた場所からエンジンを切り、風と潮の流れにまかせた「どてら流し」で船をポイントに近づけていきます。
リーフエッジなど目で確認できるポイントはわかりやすいですが、水中の地形変化は海流のヨレや、水深による水色の変化から読み取ったり、船によっては船長が水深や地形などを説明してくれますので、船が流したポイントに対しルアーをキャスト、アクションさせGTにアピールしていきます。
キャストの着水ポイントですが、基本はポイントの少し奥にキャストし、アクション開始〜GTにルアーに気づいてもらい、ポイントの手前側でヒットさせられるのがベストです。
水中の根の奥などでGTがヒットすると、根に巻かれるなどキャッチが難しくなりますので、ポイントの手前でGTにバイトさせるイメージで狙います。
GTフィッシングのおすすめ遊漁船
船からGTフィッシングをする手段としては、チャーターや乗り合い、プロショップや旅行代理店のツアーなどがあります。初めてでしたらプロショップなどのツアーがおすすめです。
ということで、最後に補足情報としてGTフィッシングを得意とする船宿やツアーをご紹介します。
国内
国内のGTフィッシングで出船している船をご紹介します。
種子島
鹿児島の海で幅広いジャンルの釣りが楽しめる
種子島宇宙センターに一番近い釣り宿
奄美
奄美から秘境トカラ列島の遠征まで。
奄美近海からトカラ遠征。船中泊にも対応。
沖縄
沖縄の海遊びを全網羅。船中泊での遠征も。
沖縄でのオールジャンルの釣りに対応。
慶良間をメインにGTからグルクン釣りにも
宮古
宮古島のGT、ジギングガイド船
石垣
GT、カンパチ、マグロキャスティングにも対応
世界
モルジブ、パラオなどGTフィッシングなど海外の釣りツアーを取り扱っている旅行代理店をご紹介します。
「フィールドゲート」HPはこちら
「フィッシュナビ」HPはこちら
「アングラーズネスト」HPはこちら
GTフィッシングにチャレンジ!
GTフィッシングをはじめる前に知っておきたい、GTの生態や釣るための準備などをご紹介しました。GTを釣るにはタックル、体、心の準備から遠征費、天気、海況、船長の読みなど、なかなか簡単ではありません。またリリースするために全員が協力して準備をするなど、GTフィッシングは船にのったメンバーが、チーム一丸となる側面ももっています。
そんな苦労を乗り越えて初めてGTを釣り上げたとき、船長や仲間からの祝福は、一生忘れられない思い出になるでしょう!ぜひ機会があれば、釣り人のロマンがつまった「GTフィッシング」にチャレンジしてみてください!