子供と一緒にザリガニ釣りに出掛けよう
アメリカザリガニってこんな生き物です

日本には3種類のザリガニが棲息していますが、一般的に「ザリガニ」と呼ばれていて、もっともポピュラーなのはアメリカザリガニという種類です。
アメリカザリガニは、棘のある立派なハサミと赤い体色が特徴。
名前の通り、食用のウシガエルの餌として、アメリカから連れてこられた外来種です。
アメリカザリガニ以外の2種について

ウチダザリガニ(画像左)も北米原産の外来種であり、ひと際大きく育って食味がとても良いのが特徴です。
北海道や福島県、滋賀県などの水温が低い沢や湖に生息し、食用として漁獲される場所もあります。
ニホンザリガニ(画像右)は唯一の在来種であり、ハサミに棘がないことや丸みを帯びた体形、そして体が褐色でアメリカザリガニより小さいことが特徴。
北海道と東北地方の限られた場所に生息しています。
▼ウチダザリガニとニホンザリガニを特集した記事です
名前の由来は後ずさりが得意なこと

ザリガニは前進よりも退る(しさる:後退する)ことが得意で、陸上では躄る(いざる:お尻を擦りながら歩く)ことが多いため、“しさり蟹”や“いざり蟹”が語源になったとされます。
ちなみに、蟹とついておりますが、カニよりもエビに近い生き物です。
生き物を捕ったことがなくても大丈夫

アメリカザリガニ(以下、ザリガニ)は、日本各地の小川や用水路、公園の池といった身近な水辺に生息しています。
針を使わずとても簡単に釣れるので、3才くらいのお子さんとも安全に楽しめる遊びです。
生き物採集が初めてのお父さんやお母さんでも大丈夫なように、ザリガニ釣りの準備やコツ、注意点等をご紹介します。
ザリガニはどんな場所で釣れるのか?
スポットの探し方

都市部にお住まいの方は、「地名・公園・ザリガニ釣り」という3つのキーワードを使ってネットで検索してみましょう。
公園の中の池であれば、池の周りが整備されていたり、トイレや他の遊具があったりしますので安心してザリガニ釣りが楽しめます。
小川や用水路でザリガニを探す場合は、水の流れが緩やかで水深の浅い泥底が狙い目になりますが、まずはお子さんに合わせて安全な場所を優先して選ぶようにしましょう。
釣れるポイントの見極め方

釣り場に到着したら、“底がよく見えていること”、“泥と石(落ち葉でもOK)が混在していること”、この2つの条件を満たす場所を探してみましょう。
ザリガニ釣りのコツと醍醐味は、ザリガニの姿を見ながら釣ることですので、浅い場所が狙い目です。
こんな場所は釣れにくい

田んぼ脇の側溝はザリガニ釣りの超定番ポイントですが、この写真のように濁っていたり、水深が深かったりすると、ザリガニを見つけられないので釣り場としては不向きです。
また、流れがある場所や川底がコンクリートや砂だけだと、隠れ家が少ないのでザリガニがあまりいません。

住宅地を流れるこちらの側溝は、いつもザリガニが良く釣れるポイントです。
特徴は、水深が10cm程度と浅くて水草や落ち葉が多いこと。
日照りが続いても干上がることなく、いつも緩やかに流れているような水辺は期待大ですよ。
ザリガニが良く釣れる時期と時間帯
6月から9月がベストシーズン

ザリガニは水温の下がる晩秋から春にかけては活動を抑えるため、釣れにくくなります。
気温が上がり外遊びに出掛けたくなるゴールデンウィーク頃は、ザリガニ釣りにはまだちょっと早いことが多いです。
地域によって多少の差はありますが、6月から9月がザリガニ釣りのベストシーズンと言えます。
朝夕が狙い目

ザリガニは夜行性の強い生き物ですので、昼間よりも朝夕の方が見つけすい場所に出てきます。
真夏は気温も水温も高くなりますので、人間とザリガニの快適性といった観点からもやはり朝夕がオススメです。
静かにしていると出てきます

日中だとまったく釣れないかと言えばそんなことはなく、陰になっているような涼しい場所を狙ってみると良いでしょう。
ザリガニが見当たらない場合、隠れ家となる石の陰や落ち葉の下近くに餌を垂らして数分間ジッと待っていると、ニオイにつられて出てきます。
ザリガニをニオイでおびき出す時は、餌を動かさないのがコツ。
子供たちはなかなか待っていられないので、竿を2本用意して1本は少し離れたところに置きっぱなしにしておくのも良い作戦です。
ザリガニ釣りの持ち物&服装
必須アイテム

ザリガニ釣り用の道具を揃える時は、釣り具店よりもホームセンターや100円ショップの方が便利です。
夏になるとザリガニ釣りコーナーが設置されている店舗もあります。
短い竿 or 木の枝
プロマリン PGザリガニ釣りセット
付属品 | 糸・エサ付け用クリップ |
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竿は木の枝でも十分。拾ってくる枝の長さは、30cm~1m程度を目安に選んでください。
これから魚釣りも始めてみようと思う方は、タナゴやテナガエビ用の60cm~1m程度の短い延べ竿を購入しても良いでしょう。
釣り竿でザリガニを釣ると、ザリガニが尻尾を振って逃げようとする感触が伝わってくるので面白さが増しますよ。
餌はアタリメ
餌はアタリメがオススメ。匂いが強くて硬いので、ザリガニが寄りやすくてハサミでつまみやすいです。
他にも、煮干しやソフト裂きイカなどでも釣れますが、煮干しは水面に浮いてしまうと釣れません。
餌が浮いてしまう場合は、洗濯バサミやクリップなどを使って餌を挟むと沈みますよ。
釣り糸やタコ糸
ザリガニ釣りにはウキや針は使いません。糸も専用の釣り糸を使う必要はありません。
タコ糸が定番ですが、太めの刺繍糸でもOK。餌は“かた結び”で縛るだけでOKです。
あったら役立つ便利グッズ

釣り上げたザリガニを入れるバケツやたも網、ザリガニを素手で触るのに抵抗がある方は手袋や水槽用の小さな網があると良いでしょう。
虫よけスプレーや日焼け止めなどもあるとGOODです。
服装

朝夕は藪蚊対策として、日中は日焼け対策として長袖長ズボンがオススメ。
水深が数十cmあるような場所では、お子さんにライフジャケットを着用させてあげると安心です。
▼子供用ライフジャケットを特集した記事です
ザリガニの釣り方&コツ
餌は大きくつけ、たまに交換しよう

餌のアタリメはザリガニがハサミでつまみやすいように、大き目に結びましょう。
また、時間が経つにつれてニオイが少なくなってきますので、たまにに交換するのがコツです。
触覚や爪の先を狙って餌を静かに沈める

ザリガニは視覚だけでなく嗅覚も使って餌を探す生き物ですので、餌を動かす必要はありません。
ザリガニを見つけたら触覚や爪の数cm先を目がけて、静かにゆっくりと餌を沈めます。
すると、大きな爪を振り上げてアタリメに掴みかかってきますので、隠れ家に戻ろうとする前にジンワリと水面に向かって引き上げましょう。
水面で逃げられないために

水面まであと少しで餌を離しちゃった……とか、岸に上げる直前にポチャンと落ちちゃった……。
これもザリガニ釣りの醍醐味ですが、こんな時お父さんやお母さんがたも網で上がってきたザリガニを水面近くで掬ってあげると良いですよ。
釣り上げる最中のザリガニは餌に夢中になっていますが、たも網に気付くと餌を離して逃げてしまうので、たも網係の人も釣り人と同じくらい慎重さが必要。
親子でドキドキ感を共有しながら楽しみましょう!
釣り上げた後の持ち方や飼育について
ザリガニの持ち方

釣り上げたザリガニを持つ時は、ザリガニの後ろ側からハサミの付け根を狙って親指と人差し指で掴みましょう。
正面から掴もうとするとハサミを振り上げて威嚇するので、ザリガニが左を向いている時は右手、右を向いている時は左手で捕まえると良いでしょう。
特定外来生物法と飼育について

アメリカザリガニは2023年6月から条件付特定外来生物に指定されたため、釣り上げた場所と違う場所に逃がしたり、飼育していたものを野外に逃がしたりすると犯罪行為になってしまいます。
許可を得なくても飼育はできますが、死ぬまで飼い続けることが必要であり、例え脱走であっても野外に出てしてしまうと罰金・罰則の対象。
そのため、飼育する際は強い覚悟と絶対逃がさない飼育設備が必要です。
釣れた場所でのキャッチ&リリースは法律によって禁止されていませんが、公園の池などでは駆除を目的としてリリースを禁止している場合もありますので、釣り場のルールを確認してから釣りを始めましょう。
水質が良ければ食べてみるのもアリ

意外かもしれませんが、原産地のアメリカではスーパーに並ぶこともあるくらい、ザリガニは塩ゆでにすると結構美味しく食べられます。
一方で、田んぼや住宅街の小川は農薬や生活排水、工業排水によって、綺麗に見える水でも汚染されていることがあるので要注意。
水質の良い場所で釣れた場合は食べてみるのも良いかもしれません。
こんな時どうする?
もしハサミで挟まれたら

もし大きなハサミで挟まれてしまった場合は、慌てずにザリガニを水につけてあげるとすぐに離してくれます。
無理やり引っ張ると、写真のようにしがみつこうとして強く挟んでくるので逆効果です。
もしハサミが取れちゃったら

ザリガニのハサミや脚が取れてしまっても、時間が経つと再生してきますので安心してください。
これは身の危険や痛み、強いストレスを感じると自らその部位を切り落とす自切(じせつ)という行為です。
余談になりますが、ザリガニをバケツでキープする場合は、写真のように甲羅が出るまで水を減らしてあげると酸欠になりにくくなります。
もし餌が余ったら

ゴミはもちろんのこと、ザリガニ釣りの餌が余ってしまったり、餌を交換したりする場合も、その場に捨てずに持ち帰るように心掛けましょう。
ザリガニ以外に出会える生き物
カエルの仲間

ザリガニ釣りに出掛けると、他にも色々な生き物と遭遇する機会があります。
田園地帯ですとアマガエルやツチガエルの仲間、トノサマガエルの仲間が姿を見せてくれます。
亀の仲間

公園の池ではアカミミガメやクサガメと出会えることでしょう。
天気の良い日は岸辺で甲羅干しをしている姿が観察できます。
魚の仲間

釣り針を使っていないので釣ることはできませんが、魚たちの様子も観察できます。
先日、ザリガニ釣りを楽しんでいると突然ナマズが現れました。
石の上に出てきていたザリガニたちは一斉に隠れてしまいましたが……。
水辺に出掛けよう!

水辺で過ごしていると色んな生き物との出会いがあり、子供も大人も普段と違ったひと時を過ごせます。
釣れるか分からないドキドキ感や釣れた時の達成感を味わうために、ご家族でザリガニ釣りに出掛けてみてはいかがでしょうか?
撮影:山根央之