オオクチバス|恐らく日本一有名であろう外来生物に迫ってみた

オオクチバスは、スズキ亜目サンフィッシュ科オオクチバス属の淡水魚。日本では外来魚として有名な魚で、それと同時にバス釣りの対象魚としても知られています。オオクチバスの生態や、外来種としての問題、食味などについてまとめてみました。


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オオクチバスという魚について

オオクチバス
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オオクチバスはスズキ目スズキ亜目サンフィッシュ科オオクチバス属の肉食淡水魚です。Micropterus salmoides(ミクロプテルスサルモイデス)という学名がつけられています。英語ではノーザンラージマウスバスと呼ばれます。大型化することで有名なフロリダバスはノーザンラージマウスバスの亜種で、2種間での交配も可能です。

よって日本においては多くの場合、ノーザンラージマウスバスとフロリダバスを総称してオオクチバスとして扱うことが多いです。日本の釣り人には和名のオオクチバスでなく、“ブラックバス”の呼び名が浸透しています。

オオクチバスの形態的特徴

オオクチバス
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オオクチバスは和名の通り大きな口が特徴で、この大きな口で餌を捕食します。時には自分の体長の半分ほどの大きさの餌まで丸呑みしてしまうほどです。体型は紡錘形で扁平しており、唇の内側には鋸歯状の細かく歯が並んでいます。

ブラックバスと呼ばれますが、全体的な体色は黒ではありません。薄い緑、薄い金色、白濁色と生息する環境によって変化し、背面と側面に入る模様は黒色です。

オオクチバスの分布・生息域

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オオクチバスはアメリカに自然分布しています。五大湖周辺からミシシッピ川流域、中部および東部、フロリダ半島など分布域は広いです。元々は北米のみに棲んでいる固有種ですが、食用やゲームフィッシングの対象魚として世界中に移入されました。

日本においては全都道府県でその存在が確認されています。琵琶湖や霞ヶ浦、八郎潟、河口湖等がオオクチバスの釣り場として有名です。

オオクチバスの生態・生活史

オオクチバス
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オオクチバスは肉食の魚で、基本的には魚を食べて生活しています。昆虫や両生類、エビなどの甲殻類、時にはネズミなどの小動物も捕食します。産卵は春に行われ、メスが産んだ卵をオスが守る習性があります。

真冬の低水温下では、餌の捕食を行わなくなるというのがこれまでの定説でしたが、近年では真冬でも生息場所の環境や餌の状態によって捕食行動をとることが知られています。

オオクチバスの国、地域別の呼び名

オオクチバスは原産地北米では“バス”と呼ばれています。日本で用いられる“ブラックバス”は北米においてコクチバスのことを指します。現在の日本においてオオクチバスは“ブラックバス”“ラージマウスバス”と呼称されることが殆どですが、移入初期は“クロマス”や“オオクチクロマス”と呼ばれていました。

琵琶湖においては食用に売り出すため、“ビワバス”や“近江スズキ”の名をつけていたこともありました。


オオクチバスにおける外来種問題

オオクチバス
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元々日本にいなかったはずの生き物は“外来種”と呼ばれます。外来種の中で日本の環境に適応できる生き物は元来日本に生息していた生き物たちの生活を脅かし、バランスを保っていた生態系を崩してしまうという危険性をもっています。近年メディアにも取り上げられる事の多い外来種ですが、その外来種の中で最も有名なのがオオクチバスでしょう。

肉食性のため在来魚を捕食するところが目に見える点、北米産であるため多くの外来熱帯魚とは異なり低水温にも耐性がある点などから、日本はもちろんのこと、韓国や台湾においても侵略的外来種としてその影響を危惧されています。

日本に移入された経緯

芦ノ湖
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オオクチバスは1925年に実業家である赤星鉄馬氏により、食用とゲームフィッシングの対象魚として、箱根の芦ノ湖に放流されたのが日本における最初の移入とされています。これは政府認可のもと行われた放流でした。その後、在日米軍、会社や個人などによるゲームフィッシング対象魚としての放流により各地にオオクチバスは拡散されました。
オオクチバスの食害が問題として浮かび上がった頃には無許可の放流が禁じられる流れとなっています。

オオクチバス移入後の影響

在来魚
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オオクチバスの移入後、特定水域の在来種のサンプリング等を用いた調査によって、オオクチバスの食害を指摘する論文が数多く発表されています。

多くの場合、オオクチバスが侵入した止水域と侵入していない止水域での比較調査が行われ、コイ科の小型種やハゼ科の個体数を比較すると、オオクチバスが侵入した止水域のほうがコイ科の小型種やハゼ科の魚類が少ない傾向にあるという結果が調査水域によって出ています。

侵入影響は魚種や環境により異なる

環境情報科学論文集22(角田ら,2008)には、オオクチバスの侵入影響は池ごとにも魚種ごとにも異なるとの見解が示されています。例えばドジョウ等の魚類は比較的影響を受けにくいという調査結果が出ています。

護岸工事によって在来種の隠れ場所が失われているなど、環境要因も大きく影響に関わっているため、オオクチバスの被害を一概に明確に示すことは現段階では難しいと言えるでしょう。

駆除などの対策も

オオクチバスは環境省の定める“外来生物法”における“特定外来生物”に指定されています。これは無許可の販売や放流、運搬などの行為を禁止するもので、現在生きたオオクチバスを公道を越えて運ぶことは法律で禁止されています。再放流が禁止される都道府県もあり、滋賀県や埼玉県が有名です。

駆除も全国行われており、網による直接的駆除をはじめ、所により電気ショックによる捕獲も行われています。この方法は在来種への影響も危惧されており、賛否両論があるのも事実です。

漁業権が指定されている場所も

外来生物法により放流が禁止されているオオクチバスですが、特例により漁業権を設定することでオオクチバスを正式に放流している湖が存在します。山梨県の河口湖、山中湖、西湖がそれにあたります。

また管理釣り場においても特例が存在し、生業としてオオクチバスを扱っている場所は、定められた条件を満たした上で運搬・放流が認められています。


オオクチバスとコクチバスの見分け方

コクチバス
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オオクチバス属サンフィッシュ科に分類される淡水魚の中でオオクチバスの他に日本に移入された魚がいます。それがコクチバスです。コクチバスはアメリカ北部を原産としており、釣りの対象魚として親しまれています。コクチバスはアメリカで“スモールマウスバス”と呼ばれており、この呼名は日本においても使用されています。

国内では桧原湖や野尻湖が生息地として有名で、釣りの人気対象魚です。オオクチバスと比較し、低い水温を好みます。また流水域にも対応するため、オオクチバスが侵入していない川の上流部においても姿を見ることがあります。

見分けるポイントは?

コクチバスはオオクチバスと比較して口のサイズが小さいです。また体色や模様も大きく異なっています。体色は茶色または褐色であり、状態によっては黒い虎柄模様が出ることが特徴です。ただしこれらは個体差があるため正確な同定方法とは言えません。正確に見分けるためには側線上部鱗数の数を比較する必要があり、はオオクチバスが8枚、コクチバスは11-13枚となっています。

オオクチバスは食べられる?

オオクチバス料理 原産国である北アメリカにおいてオオクチバスは食用にされる事が一般的で、いわゆるキャッチ&イートで楽しまれている魚です。ルアーフィッシングや餌釣りで釣り上げられたオオクチバスを釣り人が持ち帰って食すのはもちろんのこと、水産資源として一般的に認知されています。

もちろん日本に生息しているオオクチバスも本国アメリカと同様食べることが出来ますが、日本においては食用魚として一般的には受け入れられていないのが現状です。なお、日本で釣ったオオクチバスを食す場合は現場で締めて持ち帰る必要があります。これは外来生物法で生きたままの運搬を禁じているためですので注意しましょう。

オオクチバス、淡水魚としては非常に美味!

気になるオオクチバスの食味ですが、水産資源として扱われている他の淡水魚、海水魚にも劣らない美味である魚です。癖がない淡白な白身はまるで海水魚のスズキのようで、洋風の味付けに合うと評価されています。

琵琶湖や芦ノ湖周辺のレストランではオオクチバスの料理を提供しているところもあります。

おすすめの食べ方は?

ムニエルやフライなどが一般的な調理法と言われてますが、洋風の味付けであれば大方の料理法で美味しく頂けます。皮に臭みがあるため、皮は排除することと可能な限り澄んだ水域で獲れたオオクチバスを選ぶ事が美味しく食べるコツです。

また、水質が良くない場所で捕獲されたオオクチバスは泥臭さが残ることもあります。そういった個体は牛乳に半日ほど浸けておくと臭み抜きになります。寄生虫のリスクが有るため生食は避けてください。

オオクチバスは様々な側面を持った魚

オオクチバス
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オオクチバスは日本の生態系に悪影響を与えている生物として拡散の防止や駆除が全国で行われています。しかしその一方でプロの大会が行われているほど人気のある釣り対象魚という側面もあります。

オオクチバスは生態系への悪影響というマイナスの面だけでなく、経済効果をもたらすプラスの面を持っており、オオクチバスに関する法律、メディア報道のあり方は外来種問題が浮かび上がった頃より今に至るまで議論され続けています。

釣り人はもちろんのこと、そうでない人もこの魚を取り巻く環境の知識を正しく身に着け、オオクチバスに対する様々な物事のあり方を、それぞれの立場から考えることが重要なのではないでしょうか。

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高田雄介(ビックリマン高田) 全国47都道府県を全て釣り歩き、現在のホームグラウンドは海外。 淡水海水、大物小物問わず魚が大好きです。 皆様に魚の魅力や、釣りの楽しさを全力でお伝えします。

 

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