インチクについて

「インチク」は、タイラバなどと同じ漁師の方が使っていた漁具を発展させ生み出された和製ルアーです。「丸子鉛(マルゴナマリ)」と呼ばれる砲弾のような鉛に、ラバー製の「タコベイト」が付いている特徴的な形をしています。
人間からみるとイカを模しているような、または別の何かのような想像がつき難い形状のインチクですが、青物から根魚まで多くの魚を釣ることができます。エサも使わずに良く釣れるため「インチキ釣法」が訛って、インチクと呼ばれるようになったとの説もあります。以下ではインチク釣りについてご紹介いたします。
インチクのメリット
インチクは、丸子鉛のシルエットとタコベイトの揺らめきによって魚にアピールし食わせる釣法です。エサを必要としないため、エサ代はもちろん、エサ付けの手間などがなく非常に効率的に釣りをすることができます。
丸子鉛とタコベイトがリトリーブやフォールによる水流によって自発的に自然なアピールをしてくれるため、ジギングのようなロッドを使ったアクションをしなくても良く、初心者の方にも向いていると言えます。
インチクの選び方とおすすめのインチク7選

インチクは、様々な重さの物が販売されており、狙うターゲットや水深、現場での潮の速さなどによって使い分けることが重要です。基本的には底まで落としてから巻き上げるようにするため、潮に流されずに底がとれる重さの物を使用します。重さを選ぶ基準としては水深(メートル)に50グラムを加えた重さと覚えておくと良いでしょう。
つまり、水深40メートルの場所では、40+50=90グラムを基準とします。潮が緩ければ軽いものを選択することも可能ですが、確実に、速やかに底をとれるものを選ぶようにしましょう。
フォール時とリフト時の異なるアクションで魚を魅了。
ハヤブサ インチク ジャックアイ キックボトム 150g
遊動式でインチクとしてはもちろんタイラバとしても使えるマルチインチク。
ジャッカル ビンビンインチク80g
強波動を生み出すボディシェイプで広範囲にアピール。
デュエル ソルティーベイト 100g
縦の釣りはもちろんキャスティングゲームにも最適なアクション。
ハヤブサ ジャックアイキックテイル 60g
根魚に特化したフォールアクションの遊動式インチク。
シマノ 炎月 ロックホッパー 240g
幅広い巻き速度とロッドワークに対応した芸達者。
シマノ 炎月 ボトムシップII 135g
サーフでのズル引きでも魚を魅了する万能型インチク。
ダミキジャパン ビッグマウス 60g
インチクを使う時のタックル

インチクは、一部のメーカーで専用ロッドを作っていますが種類は豊富とは言えないのが現状です。ただ、使用するフィールドによって様々なロッドで扱うことができます。船やカヤックなどオフショアからの釣りではタイラバロッドやジギングロッドなどが良いでしょう。スピニングロッド、ベイトロッドは好みで構いませんが、インチクの重さに対応しているものを使います。
岸からのキャスティングで使用する場合は、3メートル(10フィート)前後のシーバスロッドやショアジギングロッドで扱うことができます。こちらもインチクの重さに対応しているものを使います。
ジギングタックルの流用

クセの少ないジギングタックルは、とりあえずインチクを始めてみるのにおすすめです。ロッドのジグ適合重量に合ったインチクを使用しますが、ジグのように激しくしゃくることは無いため若干オーバーしていても構いません。
リールは、スピニング、ベイトのどちらかと言えばベイトがおすすめです。リールは、PE1号が150~200メートル巻ける物を用意します。
優れたパワーで青物にフォーカスしたベイトジギングロッド。
シマノ オシアジガー B60-4
シマノ オシア カルカッタ 300HG
タイラバタックルの流用

インチクとタイラバは使い方が似ていることもあり、タイラバロッドでも問題なく使用することができます。ただし、タイラバロッドはジギングロッドに比べ柔らかいロッドであることが多いため、若干硬めのものが魚とのやり取りが楽になります。
リールはジギングロッドの時と同様にPE1号が150~200メートル巻ける物を用意します。
コストパフォーマンスに優れパワーも十分なタイラバロッド。
シマノ 炎月 BB B69M-S
水深表示とメトロノーム搭載で高精度な釣りが可能です。
シマノ 炎月 CT 100PG
インチクでの釣り方・アクション

インチクは、基本的にはただ巻きをするだけで魚を誘うことができ、テクニカルなアクションや誘いは必要ありませんが、底をしっかりと取ることと、その日の潮や魚の傾向に合わせたリトリーブスピードを見つけることが重要です。リーリングに不慣れな方は、動きがカクカクするような不自然な巻き方(三角巻き)になりがちですので、一定の速度で巻き上げるようにします。
また、カラーによっても釣果に差がでることも少なくありません。乗り合い船などであれば釣れている人のリトリーブスピードや使っているインチクのカラーを参考にするのも良いでしょう。
基本は着底→巻き上げの繰り返し

船などでは、基本的には着底させてから巻き上げるの繰り返しになります。しっかりと着底させることと、着底後はすぐに巻き上げを開始することが重要です。魚はフォール中から追いかけてきていることが多く、着底後にもたつくと見切られてしまうになりますので、常にフィールドの水深を把握しておくように気を付けましょう。
アタリはどう出る?アワセはどうする?

インチクへのアタリは、バイトしてきた魚やバイトのタイミングなどによって様々な出かたをします。フォール中のアタリは明確に出ることがあまりなく、竿先の変化やライン放出に違和感がでます。
リトリーブ中は、引ったくるような強いアタリから、巻き抵抗が強くなるだけのはっきりしないものなどがあります。リトリーブ中は巻きアワセ、フォール中のアタリは竿でアワセをすると良いでしょう。しっかりと針掛してからは追いアワセをするのもアリです。
誘いを入れるのも有効

インチクの基本は一定速度で行うタダ巻きですが、メタルジグのようにジャークや、ボトムバンピングなどを入れてみることで、タダ巻きとは違った魚の反応を得ることができる場合があります。同じポイントでじっくりと魚を狙う場合などは、タダ巻きに加え上記のような誘いを織り交ぜていくことで魚に見切られないようにするのも良いでしょう。
巻きスピードとレンジで対象魚が選べる

様々な魚が釣れるインチクですが、棚やリトリーブスピードを変えることで、ある程度狙う魚を絞り込むことができます。泳力が高く動体視力も良い青物は逃げ惑う魚をイメージした早巻きがおすすめです。また、底から上を見ている根魚はフォール時のアピールが重要です。ヒラヒラとフォールさせるスラッグフォールをしてみるなど工夫をしてみても良いでしょう。
インチクで狙える魚
イカのようなタコのような、それでいて小魚とも言えなくもない不思議なシルエットのインチク仕掛は、非常に多様な魚が釣れる漁具です。ワラサやサバなどの青物から、マダイをはじめとした鯛類、ヒラメやマゴチなどの底物、カサゴなどの根魚が釣れ、時にはタコやイカまでもが掛かるため、共食いか!とツッコミたくなるようなことも少なくありません。以下ではインチクで釣れる上記の魚について、ご紹介いたします。
マダイ

真鯛は強烈なファイトと優れた食味で、インチクで釣れる魚の中でも満足度の非常に高いターゲットです。春先は桜鯛とも呼ばれ20~50メートル前後の浅場でも釣れるようになります。主に中層から底付近にいることが多く、フォールの時点で追いかけてくる反応の良さをみせます。一定速度のタダ巻きが有効です。
青物(ブリ、ヒラマサ、カンパチ)

インチクで釣れる魚の代表格の一つが青物です。イワシの群れなどについて泳いでいることが多く、ひったくるようなアタリが多いのか特徴。非常にパワフルであり、取り込む間際まで抵抗するスリリングなやり取りを楽しめます。タダ巻きでも釣れますが、早巻きやジャークなどを入れると捕食スイッチが入ることが多くあります。
根魚(カサゴ、ハタ類)

カサゴやハタなどもインチクで良く見かける好ターゲットです。岩礁帯などでボトムから巻き上げてすぐにアタリがくることが多く、竿先がズンと重くなるようなアタリが多いです。フォール中から狙いを定めてきているため、着底後は素早く巻上げを開始すると良いでしょう。ある程度巻き上げると減圧により抵抗が弱くなることが多いです。
ヒラメ・マゴチ

砂地などでのキャスティングゲームで良く見かけることができるヒラメ、マゴチなどの底物もインチクで釣ることができます。ヒラメは岩礁帯にも多くおり、底からかなり中層まで追いかけてくることもあります。基本的にはタダ巻きで釣ることができます。カヤックやボートではやや斜めに巻きあげるようにし広い範囲を探ると良いでしょう。
タコ・イカ

イカやタコもインチクで釣れることがあります。インチクのフックの形状から狙って釣り上げることはなかなか難しいのですが、フォール中やボトムのズル引きなどでインチクに抱きついてくることが良くあり、運が良ければフッキングしてくれます。ボトムからあまり高く巻きあげずに細かいリフト&フォールを繰り返すと良いでしょう。
インチクの自作

先にご紹介したように、近年では多くの釣具メーカーから多様なインチクが発売されていますが、材料を揃えることでオリジナルのインチクを比較的安価に作成することができます。インチクは底を取ってからのリフト&フォールが基本アクションであるため、どんなに気を付けていても、根掛かりによるロストが発生してしまいます。
自作のものであれば安価に数を揃えておくことができるため安心感をもって釣りができ、また、自作で釣れた際の喜びはいつも以上のものになることは間違いありません。以下ではインチクの自作についてご紹介いたします。
用意するもの
・丸子鉛
・タコベイト
・フック(チヌ・伊勢尼など8~11号)
・ライン(シーハンター10~15号)
・夜行玉
・スプリットリング
・工具(ニッパー)
手順1
ラインを25センチほどの長さに切り、両端にフックとラインを結束します。フックとラインは内掛け結びや外掛け結びで結束し行きます。結び目には瞬間接着剤をたらし固定するか、熱収縮チューブをかぶせ保護をしておきます。
手順2
フックが付いたラインを折り曲げ、折り返し部分から夜行玉に通します。フックには段差ができるように折り曲げておきましょう。
手順3
タコベイトの頭頂部を少し切り穴(3ミリほど)を開け、フックにかぶせるようにタコベイトを取り付け、再び夜行玉を通します。
手順4
手順3で作ったパーツのラインの折り返し部分を、丸子鉛の穴に下から上に向かうように通します。フックの抜け止めとしてラインの折り返し部分にスプリットリングをつけたら完成です。
何がかかるかわからないドキドキ感をインチクで楽しもう!

インチクを使った釣りの魅力は、なんと言ってもくじ引きのようなドキドキ感。予想もしていないような魚がかかることもあり、使っていると飽きるどころかますます夢中になってしまいます。多くのタックルで扱うこともできるので、タックルボックスにいくつか入れておけば、新たな魚との出会いができるかもしれませんね。機会があれば是非チャレンジしてみてくださいね!


