クロシビカマスについて
クロシビカマスは、スズキ目サバ亜目クロタチカマス科の魚。食用とされていますが、市場に出回ることは少なく、スーパーなどの店頭に並ぶことがほとんどない魚ですが、一部の地域では、市情評価が高く重珍されています。
特徴
クロシビカマスは細長い体型、金属のような光沢のある黒い体色が特徴。体長は、最大で80センチ前後まで成長し、大きく丈夫な口と、鋭い針状の歯で小魚を捕食します。
スミヤキと呼ばれてた魚
クロシビカマスは、過去に標準和名『スミヤキ』とされていました。名前の由来は、炭で焼いたような黒い皮膚が関係しています。その名残として、主な産地である神奈川県の小田原では現在もスミヤキの名で親しまれています。
生息域
クロシビカマスの生息域は大陸斜面の中層域。相模湾から九州南岸の太平洋沿岸をはじめとした暖かい海域に生息しています。昼は水深500メートル前後の深海、夜はエサを求めて水深150メートル前後まで浮上します。
クロシビカマスの捌き方
皮裏に鋭い骨が張り付いているクロシビカマス。捌く際には少々の手間がかかります。ここでは捌く手順をご紹介します。
まずは3枚おろし
生食用の下準備として、まずは3枚おろしにします。
1):頭を落とし、腹から包丁を入れて内蔵とワタを抜いて内部を洗浄。その後に背びれに沿って背身に切り込みを入れます。
2):背びれに続き、尻ひれ側からも切り込みを入れます。
3):尾の付け根に包丁を入れ、半身を切り取ります。
4):反対側に向けて、尾の付け根に包丁を入れ、半身を切り取ります。
5):背骨部分、半身二つになったら、半身部分に包丁を入れて腹骨を取りのぞきます。
刺身の手順
クロシビカマスは、皮裏に鋭い骨が張り付いているので、綺麗な刺身とはならず、すり身状の刺身となります。手順は、三枚おろしを行った後に、身を取ります。
1):半身部分の皮裏に付いている鋭い骨を取り除きます。大型スプーンで骨の上をなでるように身を取ります。
2):頭を切り落とした付近にある血合骨が残っているので注意が必要です。
三枚おろしの際に重宝。魚の生臭さが苦手な方にオススメ!
焼身の手順
塩焼き用の下準備作業を行います。三枚おろし同様に、頭を落として、内蔵を取り除き洗浄。その後の手順です。
1):腹の内部に付着している黒い腹膜を拭き落とします。
2):背ビレ、尻ビレの両側から包丁で深めに切れ込みを入れます。
3):ヒレの端を包丁で押さえ、胴体を引いて背ビレ、尻ビレを取り除きます。
4):適当な大きさの筒切りにし、準備完了です。
骨切りの方法
クロシビカマスの皮裏に鋭い骨の処理方法として骨切りもあります。皮のほうから骨にあたるまで包丁を細かく入れるのがコツ。皮のすぐ内側にある細かい骨には軽く包丁を入れるようにします。
クロシビカマスの料理方法
市場での取り扱いは少ないものの、各地で食用とされ、神奈川県相模湾周辺では珍重されているクロシビカマス。どの様な調理方法で味わわれているのでしょうか。
塩焼き
塩焼きはクロシビカマスの料理の定番。クロシビカマス独特の脂の多さ、クセの強さがアクセントとなっています。焼きたてを皮と一緒に食べるのがオススメの食べ方です。
煮付け
煮付けはクロシビカマスの切り身の水分を良く切って酒、砂糖、醤油を加えてよく煮ることで独特のこってりとした味わいが楽しめる料理。酒と塩だけ加えてあっさりとした風味にすることもできます。
刺身
クロシビカマスの刺身。すり身状で脂が強いのが特徴です。脂に独特のクセがあり、刺身醤油に「すりおろしショウガ」を加えて食べるのがオススメです。
なめろう
クロシビカマスのなめろうは掻き出した身に、味噌とネギなどの香味野菜を合わせて包丁で叩いて作る料理。粘り気が出るまで細かく叩くか、粗く叩くかはお好みで。なめろうはご飯に乗せて食べると一層美味しいでしょう。
クロシビカマスは手間はかかるが旨い魚!
クロシビカマスは市場で流通されている量が少なく、スーパーの鮮魚コーナーでも殆ど見かけない魚。皮裏に鋭い骨がびっしりとあり、捌く際に手間がかかりますが、その美味しさは格別。千葉県南房総や、神奈川県小田原に訪れた際に、クロシビカマスを入手して、味わってみてはいかがでしょうか。