ヒゲダイという魚について
ヒゲダイは、名前にタイとついていますが、スズキ目イサキ科に属する海水魚。独特な形状の頭と下あごに生えた白いヒゲが特徴的な魚です。イサキ科の魚の中でも最も漁獲高が少なく、市場にも滅多に並ぶことがないため、一般的な知名度は非常に低いのですが、食味は非常によく、高値がつくこともある魚です。
古くから知られていた魚でしたが、学術名が未登録であったため2005年に新種としてようやく学術名が登録されたという経緯を持っています。今回はそんなヒゲダイについて、以下にご紹介していきます。
ヒゲダイの分布・生息域
伊豆半島以南の南日本太平洋側や朝鮮半島南部に生息していますが、日本海側の沿岸ではごく少数しか居なく、見かけることはほとんどありません。岩礁帯や砂底帯が主な生息域ではありますが、大陸棚の砂泥地にも生息していることが確認されています。
ヒゲダイの生態や食性
小魚、またはエビなどの甲殻類、ゴカイやイソメなどの多毛類を主に捕食する肉食性を持ち、突き出た口で岩の隙間や砂に隠れている小動物を探し捕食します。寿命は長く、飼育環境下において25年を超えて生きることがあります。
ヒゲダイの形態
体長は、成魚でおおよそ40~50センチにまで成長し、若干の個体差はあるもののヒレ、体表が黒ずんだ色をしています。体高が高く、側扁しており、突き出た口先から背中に向けて大きくせり上がるような特徴的な形をしています。下あごの先端には名前の由来となっているひげ状のものが多数生えています。
ヒゲにはどんな役割がある?
ヒゲダイのトレードマークでもある特徴的なアゴヒゲには、他のヒゲのある魚と同様に感覚器が備わっておりセンサーの役割を果たしています。アゴヒゲで砂の中や岩の隙間にいるエサとなる小動物の存在を、視覚に頼らず感知することができ、また味までもを感じ取ると言われています。
ヒゲダイの刺身は絶品!
ヒゲダイは、他のイサキ科の魚と同様、あるいはそれ以上に食味の優れた魚です。定置網などの漁法で獲れることはありますが、漁獲高は非常に少なく、市場に流通することはあまりありません。
水揚げがされた場合でもそこそこの浜値がつけられることになるようです。そのため、食品スーパーなどに鮮魚として並ぶことはほとんどなく、寿司屋など、魚料理を提供する店でも定常的に置かれることはないため、一般の人々にはその食味の良さはほとんど知られていません。