モクズガニについて
モクズガニは軟甲綱十脚目モクズガニ科に属するカニです。内湾や河川で見られ、甲幅は7-8センチ、体重200グラムほどまで成長します。川に産するカニの中では大型種です。鋏脚(ハサミ)に毛が生えるのが大きな特徴で、英語ではその姿から”Mitten crab(手袋ガニ)”と呼ばれています。
この毛は黒褐色ですが、野生の状態では付着物が覆っていて、真っ黒に汚れて見える事が多いです。体色は白い腹部と胸部腹甲を除き、全体的に濃い緑がかった褐色です。頭胸甲はやや後方に拡がった六角形で、側縁部にはノコギリの歯のようなトゲがあります。
モクズガニの分布・生息域
モクズガニは小笠原を除く日本全国に分布しています。国外では樺太、ロシア沿海州、朝鮮半島東岸、済州島、台湾、香港周辺まで分布します。生息域は川やその周辺の水田、用水路、河口、海岸など広きにわたりますが、一般的に、同じ川に産するカニであるサワガニよりは下流域で見られることが多いです。
美しい清流はもちろん、都会の家庭廃水由来の洗剤が流れ込む汚染された川まで、流量があり外海と繋がってさえいればどこでも姿を見ることができます。
モクズガニの生態
モクズガニが小さい頃(幼生)は塩分濃度の高い海でないと成長ができません。そのためモクズガニは一生の間に海と河川の間を行き来する「通し回遊」を行います。海で孵化した幼生は海や汽水域で大きくなり、成体(親)になると河川や湖沼で暮らします。晩秋から冬になると産卵のために成体は再び海に下るのです。
モクズガニの地方名
モクズガニは全国各地に生息しているため、地方名が沢山存在します。ここではその一部をご紹介します
・カワガニ/北海道、秋田県、福井県、鳥取県、岡山県、愛媛県
・ケガニ/福井県、徳島県
・ツガニ/高知県、佐賀県
・ヒゲガニ/徳島県
・ヤマガネ/福岡県久留米市田主丸
他にはズガニと呼ぶ地域も全国に点在しています。
モクズガニは上海ガニの親戚?!
モクズガニは、あの高級食材として有名な上海蟹と同じイワガニ科に属します。上海蟹は、英語でChinese mitten crabと呼ばれます。日本語に訳すとチュウゴクモクズガニ。つまり上海蟹はモクズガニの仲間なのです。上海蟹は中国東岸部から東北部、朝鮮半島西岸に分布しています。