テナガエビの生態
テナガエビ釣りの魅力
テナガエビは、東京や大阪といった都会でも釣れる美味しい食材としてベテラン釣り師はもちろん。手軽に釣ることができるためファミリー層からも人気な釣りもの。
テナガエビの生態と生息域
テナガエビは共食いするほど食欲旺盛な肉食性で、釣り餌にも良く反応する好ターゲットです。
テナガエビの生息範囲は青森県から沖縄県にかけてと広く、日本各地でテナガエビ釣りを楽しむことができます。
美味しく食べられる
自分で釣り上げたテナガエビを、家に持ち帰って美味しく食べることもこの釣りの醍醐味です。
テナガエビの美味しい食べ方は、ズバリ“素揚げ”。油で揚げるだけなので超簡単ですね。
テナガエビが釣れる場所
海から近い河口域
多くのテナガエビの仲間は、成長の過程で海水を必要とする生き物なので、潮の満ち引きによって水位が変化するような河口域でも釣ることができます。
河川の下・中流域
もっともポピュラーな“テナガエビ”という種類は、真水でも繁殖や成長できるので、コイやナマズが泳ぐような河川の中・下流域でもテナガエビ釣りを楽しめますよ。
池・湖
テナガエビは、琵琶湖や霞ケ浦といった流れの少ない湖沼にも生息しています。
テナガエビが釣れる時期・時間帯
テナガエビが釣りやすい時期はズバリ“梅雨”!
テナガエビ釣りのシーズン(時期)は、地域や年によって多少の差はありますが、概ね5月中旬から9月下旬ごろです。
なかでも、もっともよく釣れるベストシーズンは梅雨時期です。
・春(3~4月)のテナガエビ釣り
ヒトにとっては快適な陽気で魚釣りに出かけたくなりますが、テナガエビ釣りには少し時期が早いと言えます。
水温が上がりやすい湖沼などを狙うことで、春でも全く釣れない。ということはありませんが、餌に対する反応が鈍いためテナガエビ釣り初心者の方にはオススメできません。
・夏(5~8月)のテナガエビ釣り
GWを過ぎた頃になると川の水温も上昇し、テナガエビが活発に餌に食いついてくるようになります。
テナガエビは梅雨から夏によく釣れると覚えておきましょう。
・秋(9~10月)のテナガエビ釣り
水温の低下や日照時間の変化などから季節の変化を感じたテナガエビは、徐々に深みへと移動していきます。
釣り場でテナガエビの姿が見えている間はまだまだ楽しめますが、秋は日に日に釣れる数が減っていきます。
・冬(11~2月)のテナガエビ釣り
テナガエビの寿命は約2~3年程度であり、低水温によって死んでしまうことはありませんが、真冬はほとんど活動しないため、釣りで捕まえることは無理といっても過言ではないでしょう。
テナガエビを釣りやすい時間帯や天気は?
汽水域でテナガエビを狙う場合は、潮の満ち引きによってよく釣れる時間帯が決まります。
一方で、潮汐の影響を受けない場所では朝・夕が狙い目になります。
またテナガエビは暗い場所や環境を好むため、晴天時よりも曇りや雨の方が良く釣れる傾向にあります。
夜釣りの方がたくさん釣れるって聞いたけど……
テナガエビは夜行性なので、夜になると隠れ家を離れてエビにとって見晴らしの良い場所に出てきます。
昼よりも餌への反応が良くテナガエビの姿も確認しやすいため、夜の生き物探しに慣れた方であれば夜の方が簡単かつたくさん釣れます。
しかし夜の水辺は危険も伴いますので、初心者の方や子供連れの方にはオススメできません。
テナガエビ釣りの竿・仕掛け
テナガエビ釣りに使う竿の選び方
釣り針を使用せず木の枝でもできるザリガニ釣りと異なり、テナガエビ釣りはエビの口に針を掛ける必要があるため竿選びも大切です。
竿先がしなやかでリールを使わない「のべ竿」とよばれるタイプの釣り竿がテナガエビ釣りに適しています。
おすすめの竿はこちら
タカミヤ 白滝 手長エビ・タナゴ竿 180
長さ | 180cm |
---|---|
仕舞寸法 | 36cm |
重さ | 40g |
テナガエビ釣りに使う仕掛けの選び方
釣具店で販売されているテナガエビ用のウキ釣り仕掛けを選びましょう。
ウキの数が1個だったり3個だったり色々な種類がありますが、テナガエビ用の仕掛けであれば大きな差はありません。お手元にあるのべ竿の長さにあった仕掛けを選ぶようにしましょう。
おすすめの仕掛けはこちら
オーナー 手長えび シモリ仕掛
テナガエビ釣りに必要なアイテム
必須 | □延べ竿 □テナガエビ用の仕掛け □餌(ミミズ、赤虫、魚肉ソーセージ、カニカマなど) □ハサミ □ピンセット |
あると便利 | □偏光グラス □タオル |
テナガエビ釣りにおすすめのエサと付け方のコツ
テナガエビ釣りにおすすめのエサは?
テナガエビは雑食性なので、ミミズや赤虫といった動物性のエサなら比較的なんでも食べてくれます。とくにニオイと味が強く、食いついたエビが餌を離しにくい“ミミズ”が一番オススメ!
どうしてもミミズや赤虫が触れないという方は、魚肉ソーセージやカニカマでもテナガエビを釣ることができますよ!
ミミズは比較的どこの釣具店でも置いていますが、赤虫はテナガエビ釣りやワカサギ釣りなどに力を入れているお店でしか取り扱っていません。
事前に、ミミズや赤虫の取り扱いがあるか電話で確認すると良いでしょう。
エサは小さく切って付けてみよう
どんな餌でも共通なのが、餌の大きさは針の2倍程度にするということです。小さめを心掛け、ハサミで切って使用しましょう。
テナガエビの釣り方
Step1:障害物のある場所(ポイント)に仕掛けを投入
テナガエビは障害物などの物影に潜んでいます。消波ブロックや流木、石やゴミなどが絶好のポイントです!
テナガエビ釣りは、テナガエビが釣り人に寄ってくるのを待つのではなく、釣り人側からテナガエビの住み家に餌を運んであげるイメージですね。
Step2:ウキは水面より5cm程沈むように調整しよう
今回の記事の最重要ポイント。ウキを使うテナガエビ釣りですが、ウキは必ず“沈めて”使いましょう!
テナガエビは川底に住んでいるため、餌を確実に川底に落とす必要があるのでウキは沈めて使います。
多くのテナガエビ用のセット商品は、ウキが沈むように予め調整されていますが、ウキが浮くタイプの商品はオモリを追加しましょう。
Step3:障害物の隙間に投入し30秒待つ
障害物の隙間に仕掛けを入れたら、アタリを待つ時間は30秒程度で充分です。
エビがいれば10秒もしないうちに食いついてきますので、竿を動かさずにジッと待ってみましょう。
アタリが出なければ、少し面倒ですがウキの位置を水深に合わせてその都度調整しながら次から次へと違う障害物を探っていきます。
Step4:色々なアタリが出るが、焦らずに待つのが大事!
テナガエビは、魚のようにウキが急に引き込まれるような明確なアタリはありません。
モゾモゾしたり、スゥ~っと横に動いたりするのがテナガエビ特有の前アタリです。前アタリでアワセても釣れないので、じっと耐えるのが大事!
Step5:アワセは焦らずゆっくりと
テナガエビは、餌をハサミで捕まえると自分の隠れ家まで移動してから口に運びます。つまり、ハサミで餌を持っている段階で竿を上げても掛かりません。
ウキが動き始めたら、エビが障害物の奥に逃げない程度に糸を張って心の中で20秒数えてみましょう。
ちょっと重たいような、何か抵抗感を感じたらテナガエビが食いついてる証拠です。すぐに上げずに、ここでも心の中で5秒数えてみましょう。
さっきよりも少し力を入れて、ゆっくり引き上げましょう。
▼テナガエビ釣りHowtoを水中映像も交えて動画でチェック!
テナガエビを釣るために押さえておくべきコツ
一つの場所(隙間)にこだわらない
テナガエビ釣りで釣果が出ないケースの多くは、同じ場所で釣りを続けてしまうことが原因です。
テナガエビのアタリや姿が無い時ほど、どんどん移動しましょう。
水深1m前後の浅い場所を攻める
梅雨から夏にかけてのシーズン中であれば、水深20cmもあればテナガエビが潜んでいる可能性があります。実際にテナガエビが川底にいる姿を確認できることもしばしば。
深い場所にもテナガエビはいますが、あえて釣り辛い水深で釣る必要はありませんので、水深1m前後を目安に浅い場所を狙ってみましょう。
潮の満ち引き
潮汐の影響を受ける汽水域へ釣行される場合は、潮見表を確認して実釣する時間帯を決めましょう。
釣り場によって満潮が良い場合と干潮が良い場合があり、一概にこのタイミングが良いと言い切れません。ただし、流れが強いと釣り辛いため、引き潮の時間帯は避けた方が無難。
また、大潮の干潮時は川が干上がっている可能性があるため、こちらも避けた方が良いでしょう。
その釣り場の釣れるタイミングが分かれば、次からは短い実釣時間で楽しむことができますよ。
途中で餌を離してしまった時
テナガエビ釣りは、初心者の方でもたくさんのアタリが出る楽しい釣りですが、針に掛けるとなると腕の差が出る釣りでもあります。
アタリの途中でテナガエビが餌を離しても、もう一度同じ隙間に仕掛けを投入すれば再びテナガエビが食いつく可能性大!
よく釣れるポイントの見つけ方
テナガエビが釣れる場所を探す上で目印になりやすいのは、消波ブロックです。
google mapの航空写真を見て、消波ブロックが積まれている河原や湖岸を探してランガンしてみましょう。
ついつい深い場所を狙いたくなるかもしれませんが、テナガエビは足元の浅い場所にいます。例えば、上記画像のような場所では岸壁とテトラの間が一番狙い目ですよ。
テナガエビの持ち帰り方と下処理の仕方
テナガエビを美味しく食べるための持ち帰り方
テナガエビに限らず、甲殻類は死んでしまうとクーラーボックスで冷やしても魚よりも早く傷みます。
釣れたテナガエビは活かしておくのがベスト! 観賞魚用のブクブク(エアレーション)を使って酸欠を防止しましょう。
テナガエビの泥抜きは必要?
テナガエビは雑食性なので、丸ごと素揚げにするため、胃の中身も一緒に食べることになります。
ミミズで釣ったし、ちょっと気になる……という方は、数日テナガエビを飼育してしっかり排泄させてから調理すると良いでしょう。
泥抜きの期間と方法
できるだけ大きい容器(バケツや発泡スチロール)を用意します。
カルキを抜いた水道水に釣ってきたテナガエビを入れ、数が多い場合はブクブク(エアレーション)を入れましょう。乾電池タイプだと電池切れを起こすのでコンセントタイプがオススメです。
水が汚れてきたり匂ってきたらその都度、水を全部変えましょう。通常1日から2日程度で水が汚れなくなるので、その頃が食べごろです。
3日以上、餌を与えずに飼育すると共食いを始めるので注意です。
死んだエビを放置すると水質が悪くなり全滅の可能性もあるので見つけたらすぐに取り除きましょう。
テナガエビの美味しいレシピ
酒で締める
タッパーに活きたままのテナガエビをいれて、エビがしっかり浸かる量のお酒を入れてすぐに蓋をしめましょう。
蓋をするタイミングが遅れると、エビが暴れてキッチンがお酒まみれになりますのでご注意を……。
泥抜きをしなかったテナガエビの下処理
冷蔵庫で15~30分酒締めにしたテナガエビはもう暴れません。
ここで、どうしても胃内容物が気になる方は爪楊枝を使って取り出しちゃいましょう。テナガエビの口の部分から爪楊枝を差し込みグリっと穿ると黒い袋が出てきます。
素揚げ
塩コショウで下味をつければ準備OK。片栗粉をつけても良いでしょう。
170℃に熱した油で揚げればテナガエビの素揚げの完成です!
塩を振っても良し、レモンをサッと絞っても良し!
おつまみや子供のおやつに最適!
外道で釣れたハゼも天ぷらにしちゃえば、夕食の1品としても十分ですね。
“安・近・短”なアウトドア。テナガエビ釣りがおすすめ!
テナガエビ釣りの時期やたくさん釣るためのコツをご紹介しました。
テナガエビは身近な生き物でありながら、魚釣りの面白さがギュっと詰まったターゲットですので、ぜひこの夏はテナガエビ釣りに出かけてみてはいかがでしょうか。