アンタレスのスペック
■アンタレス(オリジナル)のスペック
ギア比 | 6.2:1 |
ドラグ力 | 4.5㎏ |
自重 | 260g |
糸巻量(号-m) | 3-100 / 3.5-90 / 4-80 / 5-60 |
最大巻上速度 | 72㎝ / ハンドル一回転 |
ベアリング数 | 10 |
上で紹介したのは最初に発売された、オリジナルモデルのスペック。
後に、ギア比が5.0:1の『アンタレス5』や、深溝スプールにロングハンドルを装備し、カバーフィシングやソルトウォーターにも対応した『アンタレスVer.2』などが追加されるなど、オリジナルの発売(1998年)以降、さまざまな派生モデルやバージョンが誕生しました。
また、2000年に入ってからは、3/8オンスを徹底的に扱いやすいようにリファインされた『アンタレスAR』という機種も発売され、その死角なきラインナップが完成したのです。
アンタレスと純正パーツにまつわるエピソード
アンタレスの最大の特徴は軽量で浅溝のスプールといってもいいでしょう。
これが異次元の飛距離を生み出すことにありました。最近は技術も進化し、回転のいいスプールが当たり前に存在していますが、当時は画期的なことだったんですね。
しかし、それゆえに太いラインを多く巻くことができず、困っていたアングラーがいたのも事実。そんな要望に応えるように、深溝スプールを搭載した『アンタレスVer.2』が発売されたのですが……。
なぜか『アンタレスVer.2』には、左ハンドルのラインナップが存在しなかったのです。
カバーフィシング用に“Ver.2のLH”を使いたいという欲求=破産
つまり、アンタレスの左ハンドルで太いラインを使ったパワーゲームをしたい場合、オリジナル・アンタレスのLHを購入しスプールとハンドルは『Ver.2』のものをイクイップメントする必要があったのです。いったい、いくら使えばいいでしょうか(汗)
事実、シマノでは純正パーツとして「深溝スプール」と「パワーハンドル」を別売り。当時の釣具店では、時計や貴金属のようにショーウィンドウを彩っていたのです。
それすらかっこよく見えていたのも、アンタレスが持つ魅力の奥深さを物語っています。
美しさの中に宿る強さ
高級感溢れる、美しい流線型のボディに鏡面仕上げ。“リール界のクレオパトラ”と表現したくなるような、見ているだけで虜になってしまうような外観です。
しかし美しいだけで終わらないのが、シマノの工業製品としての真骨頂。一度、回転させればシルキーで滑らかな巻き心地がアングラーの感性を刺激します。
「フィールドでこれを巻いたら、さぞ気持ちいいだろうな」。当時の大人たちは、釣具店でそんな妄想をしていたのでしょう。
高級感を演出する「芸の細かさ」
キャスコンノブを回すとクリック音。そんな、所有欲を満たす細かな芸も光ります。
釣行において大きく影響する要素ではありませんが、筆者のように「なんかよくわかんないけどスゲー」と思ってしまうタイプであればあるほど、購買意欲をそそられてしまうものです。
アンタレスのシンボル・マグネシウムスプールは革命的だった
アンタレスのシンボルとも言える、マグネシウムスプール。
薄いゴールドのルックスに宿る軽量感は、当時の最先端。アンタレスの回転性能は『無重力』と表現されるほど、使う人にインパクトを与えました。
購入してから、さっそくフィールドで試投。軽い力で飛んでいく感覚は、今でも決して色あせてはいない。個人的にはそんな風に感じました。
シマノのSVSといえばやっぱりコレ(偏見)
シマノのリールといえば遠心ブレーキ。
そんなシマノのブレーキシステムも時代とともに進化しました。現在ではSVSインフィニティが中心なので、最新の機種に見慣れている方からすると、この透明で簡素なブレーキに違和感を感じるかもしれませんね。
バスバブル時代にシマノリールを使い始めた人間にとっては「コレこそがシマノのブレーキ」と、少々オヤジ臭く発言したくなったり……そのあたり共感していただける方も少なくないはず。