ヌタウナギについて
ヌタウナギはヌタウナギ科の無顎類に属する水生生物で、ヌタウナギ科には7属70種が記録されています。ウナギという名前が付いてますが、ウナギ目とは生物学上あまり近い関係ではなく、同じく無顎類のヤツメウナギと近い関係にあります。正確には魚類ではありませんが一般的には広義の魚類として扱われています。
白っぽい見た目はグロテスクで、漁具を粘液まみれにしたり、網にかかった魚を食べてしまうため漁師からは疎まれていますが、地域によっては美味しい魚として食べられていたりもします。
ヌタウナギの分布
ヌタウナギは日本の本州中部から南と、朝鮮半島南部に分布しています。ヌタウナギ類は殆どの種が深海に生息していますが、ヌタウナギは例外的に浅い海に分布。水深10~270メートルの海底の砂泥中に生息しています。
ヌタウナギの生態
無顎類の名の通り、顎をもっていないのが最大の特徴です。細長い体は粘液で覆われており、体の両側には1~16対の鰓孔を持ちます。骨格は大部分が軟骨でできており、ヒレは尾にあるもののみで、胸ビレや腹ビレは持っていません。
腐肉を主に食べますが、頭足類、甲殻類、多毛類等も捕食することがあります。
ヌタウナギという名前の由来
粘液を出し、これが海水と混じると沼田(ぬた)のようになるためヌタウナギ(沼田鰻)と呼ばれていますが、元はその見た目の特徴からメクラウナギ目メクラウナギ科に分類されていました。また英語ではハグフィッシュ、スライムイールと呼ばれています。
ヌタウナギの粘液は超強力!
ヌタウナギの粘液には「ムチン」という成分が含まれています。これは人間の鼻水にも含まれている成分でもあります。この他に微細な繊維質を含んでおり、粘液が放出された際にこの繊維質が周囲の海水を取り込むことで大量の粘液を発生させます。
この粘液は攻撃してきた魚の鰓に詰まらせて窒息させたり、動きを封じる効果があるほどの強い粘り気があり、漁網で混獲された際に網や船体が粘液まみれになるため漁師からは疎まれています。
ヌタウナギの粘液が原因の交通事故も!
2017年にはアメリカのオレゴン州で大量のヌタウナギを積載したトレーラーが路上で横転。積載していたヌタウナギがこぼれた時に分泌した粘液が路上に広がり、後続の車4台がが次々スリップする事故を発生させ、ニュースにも取り上げられました。
このようにヌタウナギのヌタは、路上を走る車を制御不能に陥らせてしまうほど強力な粘性を持っています。こういった事故になってしまう事は稀かもしれませんが、取り扱いには注意が必要そうですね。
ヌタウナギ料理
ヌタウナギは生で食べるとコリコリとした歯ごたえが特徴で、食感は魚っぽくなくタコやイカ、ホルモンに近いです。また旨味が強く、塩味も強いため醤油をつけなくても十分とまで言われています。
しかし、通常は加熱調理して食べられることが多く、独特の歯ごたえや旨味は加熱調理でも十分楽しむ事が出来ます。ここではおすすめの料理法を紹介します。
ヌタウナギの唐揚げ
ヌタウナギをぶつ切りにしたものに醤油、酒、みりんで下味を付け、片栗粉をまぶして180度から200度の油でカラッと揚げるだけの簡単料理です。ヌタウナギの身は白身で弾力に富み、味、食感ともにタコやモツの食感に近いと言われています。
また、臭みもなく旨味が強いため、言われなければ魚の唐揚げだと気づかないでしょう。
ヌタウナギのコチュジャン炒め
お隣の韓国では、ヌタウナギは人気の食材です。わざわざ海外からヌタウナギを輸入するほど需要があります。最もメジャーな食べ方がコチュジャン炒め。ぶつ切りにして内蔵を除いたヌタウナギをニンニクやその他の野菜とともにコチュジャンで炒め煮にします。
加熱することで身も引き締まり、茹でたタコや焼いたホルモンのような食感を楽しむことができます。ヌタウナギの旨味とコチュジャンの甘辛い味は非常に相性が良く、韓国での人気も頷ける料理方法です。
棒アナゴ
棒アナゴは秋田の男鹿で愛されている食材で、アナゴではなく黒ヌタウナギを干して乾燥させたもの。夏のスタミナ食として男鹿では珍重されていて、干したものをグリル等で炙り焼きにしてぶつ切りにして食べます。
カリカリの皮に、脂がジュワっと出るプリプリの身の組み合わせで、クセになる美味しさだとか。棒アナゴは通販でも買えるので、とりあえずヌタウナギを食べてみたい方にもおすすめです。
ヌタウナギは韓国で人気の食材
韓国では滋養食として軽く味付けして丸焼きにしたり、ブツ切りをコチュジャン等で風味付けして炒めたりして食され広く流通しています。乱獲等により韓国国内の漁獲量が激減しているため、日本やアメリカから輸入されるほど人気の食材です。
鮮度がいいものはホルモンのような柔らかい食感で、塩焼きにしても美味です。日本では日本海側の一部食べている地域もありますが、国内ではほとんど広まっていません。
ヌタウナギって釣れるの?
ヌタウナギは深海生物としての印象が強いですが、実は堤防や漁港からも狙うことができます。ただしわざわざヌタウナギを狙って釣る人は少なく、アナゴ釣りの外道としてヒットしてきます。タックルは基本的にアナゴ釣りの仕掛けや投げ釣りのものでOK。
餌は小魚やゴカイ、イカ等が一般的です。ヌタウナギは針にかかっても、ほとんど泳いだり暴れたりしないため何か仕掛けが重く感じた際は一度仕掛けを引き上げてみましょう。以下にヌタウナギ釣りにおすすめの仕掛けを紹介します。
厳選した素材を使用しており、鋭いフッキングポイントと強さが自慢の仕掛け!
ささめ針 E-232 ブッコミ夜光 ウナギ・アナゴ
実は隠れたグルメ食材?!ヌタウナギを釣って食べてみよう!
ヌタウナギの見た目はグロテスクで釣り上げてもなかなか食べてみようとは思えないですが、塩焼きや唐揚げ、コチュジャン炒め等でとても美味しく食べる事ができます。
また陸っぱりからも狙うことができ、アナゴやウナギの仕掛けを流用すれば専用の仕掛けもいらず、とても気軽なターゲットです。他の釣りをしている時にヌタウナギが釣れたら、外道として嫌わず持ち帰って独特の食感と旨味を体験してみてもいいかもしれませんね!