トラフグとは
トラフグはフグ目フグ科に属する魚。同じフグ科の中でも最も高級品として知られ「フグの王様」とも称されます。その身は上質な旨味が凝縮されており、中でも白子は極上の味とされています。天然ものは特に高値が付き、特に旬を迎える冬には1キロ2万円を超す事も珍しくありません。
分布・生息域
トラフグは日本近海でみても広く分布し、北限は北海道室蘭市付近から、南は種子島周辺まで生息しています。遠洋での生息をあまり好まず、湾内など比較的沿岸部での生息を好むトラフグは、大きく成長するまでは産卵場である浅瀬部分から離れず、時には河口などの汽水域に生息していることもあります。
特徴
背面から尾びれにかけて、黒色の斑点模様が連なっているという外見がトラフグの大きな特徴です。成体の全長が75センチメートル程度にまで成長し、日本近海に生息する約50種のフグ科の中でも大型なフグとなります。
生態
トラフグは口に鋭いくちばし状の歯を4枚持ち、それによって甲殻類や貝類をかみ砕いて捕食します。春から夏にかけて産卵期を迎え、その頃になると産卵を迎えたトラフグは湾口や島と島の間の浅瀬部分などに移動し、砂の中に浅く埋めるように産卵します。
トラフグの毒性と部位
トラフグはその体にテドロドトキシンという猛毒を有しています。テトロドトキシン毒は口や手足の痺れなどの軽微な反応の後、筋肉のけいれんや呼吸困難などの危険な発作を起こします。最悪の場合、わずか3時間ほどで死に至ってしまう強力な毒であるため、各都道府県の条例によってフグの調理については免許制による厳しい制限を設けています。
【注意】フグを判別するには素人では難しいので、必ずフグ調理師免許を有する人に判別し、調理してもらいましょう。
毒の部位
特に肝臓と卵巣が猛毒部位であり、他にも腸にも弱い毒を持っています。皮膚や精巣、身の部分は全くの無毒ではありますが、やはりその分別や下処理は一般人には難しい作業である為、下処理後の猛毒部位の処分も含めて専門家による調理は必須となります。
トラフグの旬と狙いたいシーズン
トラフグの旬は何といっても身の締まる真冬の時期です。旨み成分であるアミノ酸が凝縮された冬のトラフグは、同じく冬が旬であるカニと並んで、冬の味覚の代名詞として有名です。
東京湾で狙えるシーズン
比較的歴史の浅い東京湾でのトラフグ釣りは、主に春先のシーズンで産卵を迎えて湾内に集まったトラフグを対象に狙います。実は東京湾で初めてトラフグを釣ったのは青物狙いのルアー漁船であり、そこでのトラフグの大量報告を受けて東京湾での繁殖が確認されたため、東京湾でのトラフグ釣りが爆発的に広まったと言われています。
東京湾でも狙えるトラフグのカットウ釣り
トラフグに限らず、フグを狙う上で最も用いられているのがカットウ釣りです。針にアオヤギなどの貝類を付けるのですが、そのハリに食わせるのではなく、ハリから下に垂らしたカットウバリによって餌を食べているフグを引っ掛けて釣るという引っ掛け釣りの一種であり、鋭い歯をもつフグにとても効果的な釣法です。
竿
カットウ釣りをする上でのロッドは、餌を食うだけという特徴的なアタリをしっかりと捉え、引っ掛ける際にもシャープな動きで反応することの出来るような弾力性の高いカットウ釣り専用の竿で臨むと、大きな釣果を生むことが出来ます。
専用ロッドだからこその釣果を生む安定感!
リール
トラフグを狙う上で、タナ(水深)調整が釣果を左右すると言っても過言ではありません。船長の指示される水深に仕掛けを落とし込む上で、リールカウンター付きのものが必須になります。
リールカウンターでどんな釣りにも対応!
仕掛け
トラフグの特徴である鋭い歯。通常のハリスでは簡単に噛み切られてしまうばかりか、太刀魚用のワイヤーであっても飲まれると切られれてしまう程。専用の相乗り船では仕掛けを用意してくれる船もありますので、有無を確認してみましょう。
カットウ専用の掛け針!
基本的な釣り方
カットウ釣りでは、底付近に仕掛けを落とし込んだら徐々にタナを上げながらトラフグを誘っていきます。群れに当たれば連発で狙う事もできますので、当たりのあった魚影の濃い層を常に意識しておくことがポイントになります。
トラフグの美味しい料理
トラフグは釣り上げた後が最大の楽しみ。最高級魚のトラフグを存分に堪能しましょう。専用船であれば船長の多くが調理師免許を持っているため、毒を取り除き、身を捌くまでをしっかりとフォローしてくれます。
薄造り
まず味わってみたいのが薄造りです。向こう側が見えるほどに透き通ったトラフグの身には旨み成分が凝縮され、噛めば噛むほど味が口の中に広がっていくような高級な味わいが楽しめます。
てっちり鍋
寒い日や体を温めたい時などに楽しみたいのがてっちり鍋です。淡白な味わいの中に、しっかりとダシがしみ込んだてっちり鍋はお酒との相性も抜群です。弾力あるトラフグの身を楽しんでください。
唐揚げ
小さなお子様に最も人気の調理法が唐揚げです。せっかくのトラフグが少々もったいないようにも思えてしまいますが、実は揚げる事によって旨み成分を逃がさず、トラフグ本来の旨みを一番贅沢に味わうことが出来るのがこの唐揚げです。
ヒレ酒
トラフグのヒレが手に入ればぜひとも味わいたいのがヒレ酒です。軽くあぶって日本酒に落とし込めば、二級酒が特級酒に変わると言われるほどの豊潤な風味と独特なコクが口いっぱいに広がっていきます。
天然のトラフグを狙ってみよう
トラフグと言えば養殖のイメージが強く、中々釣りの対象魚としては敷居が高いように思えるかもしれません。しかし、今ではたくさんのトラフグの釣り船があり、また下処理まで代行してくれるようなサービスも豊富です。次の釣りは少々変わり種として、トラフグを釣ってその高級な味わいを楽しんでみるのはいかがでしょうか?