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引っ掛け釣りは極悪非道?やってみて分かった“邪道の正体”。

引っ掛け釣りは極悪非道?やってみて分かった“邪道の正体”。

「邪道」とも言われる釣り方——それが“コロガシ釣り”です。

魚の意思に関係なく針を掛けるこの釣法は、しばしば批判の的になります。

しかし、実際に体験してみると見えてくる景色もありました。

今回は、そんな“コロガシ釣り”を実際に試して感じたことをお伝えします。

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目次

引っ掛け釣りは邪道なのか?

産卵を控えた落ち鮎

皆さん、引っ掛け釣りって正直どう思いますか?

邪道な釣り、魚が可哀そう、もはや釣りと呼べないだろ……。

さまざまなご意見があるかと思います。

僕はもともと漁具や漁法にも興味がある人なので、引っ掛け行為にも抵抗はありません。

あえて一つ言うなら、「これを“釣り”と言えるのかな」という点ですね。

山根

そこで今回は、実際にコロガシ釣りを体験してみて、感じたことをお伝えします!

鮎のコロガシ釣りをやってみた

コロガシ釣りに使うオモリ

鮎のコロガシ釣りとは、その名の通り丸いオモリを使い、専用仕掛けを川底でコロコロと転がしながら群れる鮎を引っ掛ける釣法です。

餌や集魚剤を使わず、オモリと複数の針だけで、魚の意思とは関係なく掛けていきます。

友釣りとの違い

友釣りで掛かった野鮎

鮎の友釣りも引っ掛け釣りと言えばそうですが、オトリと呼ばれる生きた鮎を使って1匹ずつ鮎を釣り上げていきます。

オトリを使って鮎を引き寄せるという点がコロガシ釣りとの大きな違いと言えるでしょう。

実釣前にルールを確認しよう

鮎釣りの遊漁券

極悪非道とも思えるこのコロガシ釣りですが、多くの河川では、竿釣りの一種として認められています。

一方で、コロガシ釣りが楽しめる時期や区間、針の数など漁協ごとに細かなルールが設定されているため、実釣する場合は遊漁券の購入に加えてルールの確認が必要です。

一般的に、鮎が縄張りを持たなくなり友釣りで釣果が得られなくなる9月から10月頃に解禁されることが多いです。

山根

河川によって差はありますが、一般的にコロガシは11月から12月まで楽しめます。

鮎のコロガシ釣りに使う道具

竿

コロガシ釣りに使う竿

コロガシ釣りは、リールを使わないのべ竿(振り出し竿)を用いるのが一般的。

鮎竿を代用すると折れるリスクもあると思い、今回は万能竿を選びました。

ちなみに、専用竿も多く販売されており、釣り業界ではれっきとした一つのジャンルとして確立されています。

    ダイワ ライトコロガシ H72M

    全長7.2m
    継数7本
    仕舞寸法132cm
    標準自重240g
    オモリ負荷1.5~6号

    オモリ

    コロガシ釣りに使用する丸オモリ

    オモリは中通しオモリにタコ糸を通したものを使い、タコ糸の両端に道糸とハリスを結びます。

    形状は丸型やそろばん型が一般的、重さは2号〜4号程度の中から流れの強さや水深、引き方に合わせて選ぶのがセオリーです。

    コロガシ仕掛け

    オモリの下には蝶針(2本針)を沢山結んだ仕掛けを取り付けます。

    鮎釣りが盛んな地域の釣具屋さんにはこんなセット仕掛けも販売されています。

    釣り糸(水中糸)

    コロガシ釣りに使用する道糸

    道糸にはメタルラインや複合メタル、PE、フロロ、ナイロンなどあらゆる素材が使われるようですが、今回は使い古したPE1.2号を選択してみました。

    友釣りと違ってオトリに気を使う必要がないので、竿の強度とバランスが取れていれば良いのかなと感じます。

    ヨリモドシ

    コロガシ釣りに使用するスイベル

    これは必須ではないかもしれませんが、オモリがコロコロと転がるなら糸もヨレるだろうと思い、回転性能の高そうなスイベルをオモリの上に付けてみました。

    具体的には、オモリの上にフロロ3号ほどのラインを20cmほど結び、その先にスイベルを使ってPEラインと接続しました。

    釣り場の選び方と釣り方

    鮎が目視できる浅瀬

    落ち鮎が群れる川

    実釣当日、多くの釣り人が流れのある瀬に集まっていましたが、僕のような初心者が流れの中でうまく立ち回れるとは思わないので、こんなポイントを選んでみました。

    水面を揺らさない程度に緩やかな流れがあって、根掛かりの心配が少ない小石底、そして何より鮎の群れが目視できる場所です。

    山根

    やって分かったことなんですが、流れが緩すぎて鮎の群れがすぐに散ってしまうんですよね……。

    次回は激戦区にも挑戦してみたいものです。

    扇状にオモリを転がします

    コロガシ釣りの竿捌き

    水辺に立ったら仕掛けを対岸よりほんの少し上流に振り込み、竿を振りながら自分の下流方向へ扇状にさびいていきます。

    「コロコロ」というリズム(ズル引き)だと根掛かりが多発しますが、「コーン、コーン」というテンポで竿を動かすと、不思議と根掛かりしません。

    感覚的に一投あたり3〜5回のボトムタッチくらいのペース。

    根掛かり対策としては、竿捌きの速度とオモリの重さが重要だなと感じました。

    掛かったぞ!

    アユとのやり取り

    そうこうしていると、開始5分ほどで鮎が掛かりました! それも2匹同時に!

    下流に走られてしまい、認めたくはありませんが、完全にのされてしまいました。

    山根

    強烈な鮎の引きを味わえるのもコロガシ釣りの醍醐味かもしれません!

    思いのほか釣りとして面白い

    やってみると難しくて奥深い

    コロガシ釣りで釣れた落ち鮎

    かくかくしかじか、3時間ほどの実釣で20尾もの鮎を釣り上げることができました。

    でも、目の前に見えている鮎の数から想像すると名人なら何倍も釣れたんじゃないかなって思えたのも事実。

    コロガシ釣り初心者でもそれなりに掛かりましたが、繁殖期の鮎の生態や専用道具の特性をもっと理解したいと感じた一日でした。

    初心者向けではない

    絡まってしまったコロガシの仕掛け

    一方で、仕掛けが頻繁に絡む釣りなので、初心者には少しハードルが高いかも……と感じたのも事実です。

    長い仕掛けの振りこみもメチャ難しく、まったく鮎釣りをしたことがない人なら、もしかしたら友釣りの方が簡単に感じるかもしれません。

    これは、魚釣りと言っても良いかも

    コロガシ釣りの醍醐味を感じた瞬間

    肝心の「コロガシ釣りは“釣り”と呼べるのか」という問題について。

    魚の生態を読み取り、その行動を予測して、針のついた仕掛けを操る──。

    山根

    あくまで私的感覚ですが、コロガシ釣りも“釣り”と呼んでいいのではないかと思いました。

    邪道と嫌われる理由も分かった

    針が川に残りやすい釣り

    木の枝に絡まった仕掛け

    そんなコロガシ釣りですが、実際に挑戦してみて“嫌われる理由”もよく分かりました。

    どうしても川の中に針が残りやすいんですよね。

    とはいえ、比較的早く錆びて朽ちる針ではあります。

    丸い石には意外と引っかからないのですが、木の枝となると話は別。

    コロガシ仕掛けが絡みついた流木が沈んでいる光景も、実際に目にしました。

    他の魚も掛かってしまう

    コロガシで釣れてしまったニゴイ

    川底を無作為に引き回す釣りのため、どうしても鮎以外の魚が掛かることを避けられません。

    オイカワやカワムツのような小さな魚には、致命傷になることもあるでしょう。

    また、コイやニゴイのような大型魚の場合は、取り込めず、針(カエシはありませんが)を魚体に残してしまうこともあります。

    沢山釣れる

    コロガシ釣りで釣れたアユ

    技術さえ身に付ければ、友釣りのように高価な道具を使わずとも多くの鮎を釣ることができる——それも、コロガシが敬遠される理由の一つだと思います。

    山根

    実際に経験してみて、コロガシ釣りができる区間や時期が明快に決められていることに納得しましたね。

    落ち鮎の味のお味は?

    旬を過ぎた鮎

    旬を過ぎた落ち鮎

    まず前提として、夏の鮎と比べると身は痩せてしまい、脂も香りも抜けてしまっているので、旬の鮎の味を期待して食べると、間違いなく落胆します。

    また、一般的にコロガシ釣りで釣れるのは“落ち鮎”と呼ばれる繁殖期を迎えた鮎ですが、産卵前と後で大きく食味が異なります。

    塩焼き

    落ち鮎の塩焼き

    産卵前の落ち鮎、卵や白子をたっぷり持っている鮎なら塩焼きでも美味しく食べられます。

    一番美味しいとされる7月の鮎と比べると皮が硬く、身もスカスカ……。鮎らしい香りもありません。

    一方で、7月の鮎では味わえないまるでシシャモのようなプチプチっとした卵の食感が楽しめます。

    甘露煮

    落ち鮎の甘露煮

    産卵後の鮎は、白子も卵もなく、身もさらに痩せているため、甘露煮にするのが一般的です。

    緑茶で煮込み、醤油と砂糖で味付けするのですが、正直なところ、かなり手間のかかる料理です。

    確かに美味しい一品ではありますが、「鮎だから旨い」と言うより、「甘露煮そのものが旨い」と表現したくなります。

    素揚げがベストかも

    落ち鮎の唐揚げ

    ずぼらな僕がたどり着いた、産卵後の鮎を手軽に美味しく食べる方法は「素揚げ」です。

    二度揚げすれば、頭も骨も丸ごと食べられますし、南蛮漬けにしても絶品。

    アジや小サバの唐揚げが好きな方なら、きっとハマる味です。

    “邪道”の先に見えたもの

    コロガシ釣りで釣れたアユ

    今回は、コロガシ釣りに対してさまざまな感情を抱いていた僕が、実際に挑戦して感じたことを書かせていただきました。

    邪道と言われる理由も理解しましたが、やってみると確かな醍醐味もありました。

    来年、友釣りで釣果が伸びなくなったら、またコロガシ釣りに挑戦してみようと思います。

    撮影:山根央之

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